先日珍しくタクシーに乗った。
乗ると運転手さんがいきなり「あなたは運がいい」と切り出してきた。
何のことか分からず「・・・・・?」
よく見ると運転手さんは真っ赤なチャイナドレス?
(男性にもそういうのか不明)を着ていた。
「あら~ すごい!ランタン祭りだから着ているんですか?」
「そうです。でも全員ではなく、
数百台あるうちの20台の運転手だけが着用しているんですよ」
ここでお断り。数字は適当。近い数だとは思うけど。
「その中でも、この車に乗ったのはとても運がいいですよ」
と言いながら、運転手さんはなにやら20CMぐらいの針金にぶらさげた物を、
私に手渡した。
「これは私の手作りですよ。手芸店に行って材料を買って作りました」
と言う。
見ると1.5CMぐらいの丸い玉が2個ちりめんに包まれて、
スパンコールがほどこされている。
上下には金のモールのような飾りがつけられ、下にはフサもついていた。
それはランタンをイメージした飾りだった。
「すごいですね。いつも作るんですか?」と訊ねると、
「四季を感じさせる物を作るんですよ。
3月はお雛様を作ろうかと思っています。」と言った。
お雛様と聞いて、ほとんどタクシーに乗らない私でさえ、
3月も乗りたいなあと思った。
それは本当に小さな飾り物だったが、温かみを感じさせるには十分だった。
今、マイカーにはその小さなランタンがユラユラ揺れている。
今頃運転手さんはお雛様を作っているのかもしれないと想像すると、楽しくなる。
そんな運転手さんと出会って、やっぱり運がよかったのかもね。