浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

アメリカのアジア戦略③

2012-02-12 05:37:55 | 資料

 

2012年2月11日

【社説】日本と中国の二者択一を迫る米国

 かつて米国で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたブレジンスキー氏は「近い将来、中国とインドが浮上し、米国は衰退する」と分析し、それによって「地政学的に危険な状況」に陥る代表的な国の一つとして「韓国」を挙げた。同氏は最新の著書で「覇権国が交代し、世界の秩序が変化する影響を最初に、そして直接的に受ける国」として、まず旧ソ連に属していた人口460万人の小国グルジアと台湾を挙げ、その次に韓国を名指しした。

 ブレジンスキー氏は「米国の衰退は韓国に苦渋の選択を迫るようになるだろう」とした上で、韓国には「中国による東アジアの覇権を受け入れ、中国とさらに接近する」道と「歴史的な反感にも関わらず、日本との関係をさらに強化する」という二つの道が選択肢として提示されていると明言した。しかし「米国の強い後押しがない場合、日本が中国に対抗できるかは疑わしい。米国の衰退で、米国が提供してきた“核の傘”への信頼が低下すれば、韓国と日本は(米国以外の)新たな核の傘を求めるか、あるいは自国での核武装を迫られるだろう」「中国は韓半島(朝鮮半島)統一問題にも決定的な影響を及ぼすと考えられる。その場合、韓国は“中国が後押しする統一”と、“韓米同盟の縮小”などを取り引きせざるを得なくなるかもしれない」と予想した。

 ブレジンスキー氏は「韓国の将来に決定的な影響をもたらす国際情勢の変化の時期」について「中国が経済面と軍事面の双方で米国を追い越すとみられる、およそ20年後」と予想した。つまり世界の覇権国・米国は、20年後に太平洋の反対側で中国が自分たちに対抗する経済面・軍事面での覇権国になるという主張だ。これが事実なら、中国と陸地や海でつながっている韓国は、それよりもはるかに早い5年後、あるいは10年後には、巨大化した中国の圧力を、政治面、経済面、軍事面のあらゆる分野で実感するようになるだろう。

 ブレジンスキー氏が提示した米国の東アジア政策をめぐるこれらの展望は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権が戦時作戦統制権の韓国軍への移管を推進した際、米国が速やかにこれに応じた時点ですでに予想されていた。韓国で将来、大統領を目指す人物や、次の政権獲得を目指すセヌリ党、民主統合党などは、ブレジンスキー氏が突きつけた厳しい質問への回答を提示しななければならない。ブレジンスキー氏は、「たとえ韓国が米国との同盟を強く望んだとしても、米国が韓半島(朝鮮半島)から手を引く時代は少しずつ近づいている」と指摘する。同時に「そうなれば韓国は中国に頼るか、あるいは日本と手を結ぶかという選択を迫られる」としている。「中国に頼る」ということは、中国の覇権秩序における付属品のように屈従して延命を図り、その圧倒的な影響の下で生き延びるという意味だ。「日本と手を結ぶ」ことについては、改めて説明する必要もないだろう。与党も野党も、あるいは右も左も関係なく、韓国のあらゆる政治勢力は、この状況で5000万の国民をどちらの方向に導くか、決断を下さなければならない。

 ブレジンスキー氏は「中国は韓国統一の過程で決定的な影響力を行使すると予想される。その場合、“韓米同盟の縮小と中国による統一支援”を取り引きせざるを得ない状況になる可能性がある」と予想しているが、韓国の政治勢力は、この言葉に込められた意味合いをしっかりと受け止めなければならない。米国は何か機会があるたびに「韓国と米国は共に血を流し合った血盟関係だ」などと強調してきた。しかしその一方で米国は、韓国が現在あるいは将来の国益をかけてどのような決断を下すかに注目しており、それに伴う対応策についても慎重に検討を進めてきた。韓国では前政権の民主党が韓米自由貿易協定(FTA)に向けた交渉を最初に提議し、一定の結論を下した。ところがその民主党の流れを受け継ぐ民主統合党は、韓米FTAが妥結すると同時にその破棄を公言している。このように不安定な状況を目の当たりにした米国は、政府と民間の双方が、これまで自分たちが韓国に提供してきた安全保障面での支援について検討し直しているわけだが、これはある意味当然のことかもしれない。

  ブレジンスキー氏が投じた最後の質問にも、韓国の政治家や政治団体は回答を提示しなければならない。新たな核の傘を提供する米国以外の強大国を探すのか、あるいは韓国が独自に核兵器を開発するのかということだ。この問題も、韓国の安全保障政策の方向性に決定的な影響を及ぼすだろう。

  世界の同盟史には、強大国に浮上する隣国への吸収や影響を拒絶するために、その強大国の影響力を相殺する他の同盟国を探し求める国の苦労が数多く描かれている。韓国ではこれまで60年にわたり、米国がその役割を果してきたわけだが、これについても決定的な選択の時期が近づいているのだ。韓国で政治に責任を持つべき者たちは、インターネット放送「ナヌン・コムスダ(私は小ざかしいの意、通称ナッコムス)」のように軽々しく無責任な言動を取るべきではない。このような態度は国と5000万の国民を危険な状況に追いやってしまうからだ。政権獲得を目指す人物も政党も、今なお厳然と近づいている国家生存の岐路で、大韓民国と国民が今後も生存し続けるために進むべき道を提示する義務がある。


http://news.livedoor.com/article/detail/6270568/ 

早速「朝鮮日報」で先日のブレジンスキーの戦略が、社説として取りあげられた。しかし、これは、ブレジンスキーの「予想」ではなく、アメリカ合衆国の「予定表」であるということを、見落としているようであるが。

だが社説で取りあげるということは、韓国にとってこの予定表が、国の将来を左右する重大な現実であると、キチンと捉えているということを顕している。それを韓国国民に緊急に知らせるべき事として、社説で告知しているということだ。

それに引き替え、我が日本のメディアはどうであろうか。これはブレジンスキーや韓国の「世迷いごと」ではない。

「今そこに有る、これから起こりうる国家にとって国民にとっての重大な現実を示している」ということを、まったく考えていない。もし情報を得ていて報道しないのであれば、「このことは日本国民には知らせないでおこう」という悪意に見える。

もはや日本には、本当のメディアは存在しない。いや、最初から「無い」ということである。


◆ 日本と中国の戦争を画策し、北朝鮮の核ミサイル開発を「支援し続けて来た」、元クリントン政権の国務次官補ウィンストン・ロード。このアメリカ民主党クリントン政権人脈が、2012年の、民主党オバマ政権の大動脈を形成している。

ウィンストン・ロードは、言う。

「米国と北朝鮮には公に出来ない沢山の密約がある。北朝鮮を親米にするため、北朝鮮の小学校で英語教育を徹底化する事、北朝鮮外交官を育成するために沢山の学生を米国に留学させる事、その教育内容は米国政府に一任する事、その費用は全額米国が負担し、極秘に米国は北朝鮮に多額の資金援助を行う事等も、そうした密約の1つである。」

また、CSIS(戦略国際問題研究所)の副所長ウィリアム・テイラーは言う。

「北朝鮮が暴力的であり日本にミサイルを射ち込んだりする事は、日本を怯えさせ、日本に米軍基地を置く事が正当だと日本人を説得する事に役立つ。北朝鮮が暴力的である事は、すなわち北朝鮮が米国に協力的である事を意味し、それは米国の国益になる。」

また、ロックフェラー系のシンクタンク、カーネギー財団のセリッグ・ハリソン(東アジア戦略学者)は言う。

「北朝鮮が日本にミサイルを射ち込み、核武装する事は、米国が日本にMDミサイル防衛構想を売り込む営業促進力となる。北朝鮮は、米国軍事産業ミサイル産業の最も強い味方である。」

「MDミサイル防衛構想、は簡単な技術改良で核ミサイル施設になる。日本は将来核武装する可能性があり、核武装すれば日本は米国核兵器産業の永続的な顧客となる。」


 以上の発言は、北朝鮮の核問題が、日本に核兵器という商品を売り付けるための米国の政策である事を示している。

米国の関心は、「いかに日本の金を米国が吸い上げるか」にある。

 ◆ 米国に、パイオニア基金と言う財団がある。「有色人種等、劣った人種を遺伝子工学を使い、人種改良する」と言う財団である。

 この財団は、「黒人は劣った人種であり、米国の社会を劣化させるので、アフリカに黒人は全員、強制送還すべきだ」という政策を長年、主張してきた。 この財団は、「黒人、有色人種は、犯罪を犯し、暴力に走る遺伝子を持ち、性欲が遺伝的に強く繁殖力が強い」と主張し、放置しておくと地球上から白人が居なくなり、地球は劣ったアジア人と黒人だけになり、劣った有色人種は地球を滅ぼす、と主張して来た。

 この財団は、こうした人種差別政策の研究を行う研究者達に、毎年1人につき20万ドルもの奨学金を支給している。「犯罪を犯す遺伝子」等、いまだに生物学的に発見されてはいないが、この財団の発表する「研究論文」には、「犯罪を犯す遺伝子」が既に発見済み、になって居る。

 この財団は、1937年、ナチス・ドイツがアウシュビッツの強制収容所でユダヤ人の大量虐殺を行った際の指揮官ハンス・ギュンターの指導の下に創立された。

 この財団の活動資金は、ドレイパー一族が全額出資している。ブッシュ大統領一族と共に米国のアヘン専売企業ラッセルを創立し、「劣った有色人種を核兵器で全滅させよ」と主張するキリスト教原理主義教会を創立した、ドレイパー一族である。

 第二次世界大戦末期、ドレイパー一族のウィリアム・ドレイパーは、米国戦争省の最高幹部として、日本が米国に対し無条件降伏を申し出ていたにも関わらず、広島・長崎への原爆投下を決定した。核兵器の威力を実験するために、広島・長崎の市民を、ドレイパーは大量虐殺した。「劣った有色人種=日本人を核兵器で全滅させる」ためである。そこには、キリスト教原理主義教会とパイオニア基金に共通する、ドレイパー一族の人種差別思想が根本に存在した。

 戦後、ドレイパーはダグラス・マッカーサーの上官として、日本の総支配者として来日し、日米安保条約を起草し、日本への米軍駐留を永久化し、自衛隊を創立させる。

 名目は、共産主義中国への防波堤として日本に軍隊を持たせる、つまり中国共産党軍と日本に、「戦争を行わせる」ためである。

 しかし、中国共産党軍は米軍が育てた軍隊であり、ドレイパーの目的は、米軍直結の中国軍と米軍直結の日本の自衛隊を戦わせ、アジア人同士を殺し合わせる事にあった。「劣ったアジア人=有色人種を減らす」ためである(山極晃「米戦時情報局の延安報告と日本人民解放連盟」大月書店)。

 この中国と日本に戦争を行わせ、有色人種を減らす政策は、現在も継続している。

 ドレイパー一族は、ディロン・リード社という兵器売買と兵器購入資金融資の軍事金融企業を経営している。ドレイパーは、中国共産党軍にも、自衛隊にも、兵器を販売している。ドレイパーの兵器販売高をアップさせるために、日本と中国は戦争をする事になる。

 クリントン大統領時代のペリー国防長官が、このディロンの社長である。

 


 

2012.02.01 

 

“金融保護主義”に動く米政権…邦銀の米国撤退も (森岡英樹の金融スクープ

 

 「最近のアメリカの政策は往々にして内向きであるから、必然的に外に対してさまざまな影響を与えている。イランの問題もそうだし、FATCA(2010年成立の外国口座税務に関する法令順守法)の問題も、ボルカー・ルールもしかりということだと思う」

 永易克典全国銀行協会長は19日の記者会見で、米国が進める金融規制「ボルカー・ルール」にこう苦言を呈した。

 ボルカー・ルールは、サブプライム問題に端を発する米金融危機の反省に立ち、再発防止のために10年7月に制定された金融改革法(ドット・フランク法)に盛り込まれた新たな規制である。

 骨子は、銀行や銀行持ち株会社に対し、短期的な利ざや稼ぎが目的の自己勘定での証券売買やデリバティブ取引を行ったり、ヘッジファンドやプライベート・エクイティ・ファンドに投資したり、そうしたファンドの設定を禁じるもの。元FRB議長のポール・ボルカー氏が提唱したことから、こう命名されている。平易に言えば、「銀行は自己の勘定でリスクの高い投機的な取引はしてはならない、伝統的な銀行システムに回帰すべきだ」ということである。

 だが、原理原則は理解できるものの、内容は政治的な配慮もあり、詰めれば詰めるほど細かくなり過ぎた。そもそも金融改革法自体が2300ページにも及ぶ分厚い法律で、昨年10月に作成されたボルカー・ルールの規則案は、全体で298ページ、本文の前に置かれた解説文だけで215ページという大部となっている。オバマ政権は現在、この規則案についてパブリックコメントを募集している段階で、寄せられたコメントに基づき再検討を経て、今年7月から施行される予定となっている。

 問題は、このボルカー・ルール案が米国内にとどまらず域外にも適用されること。しかも「海外の国債などは規制対象になる一方、米国債については自己勘定取引でも、引き受け関連やマーケットメーク(値付け)、リスク・ヘッジなどの取引は規制されない、米国にとっては都合のよい手前みそな内容」(メガバンク幹部)となっている点にある。まさに天動説の規制と言っていい。

 このため、金融庁と日銀は昨年12月28日付で米国に対し、「ボルカー・ルール案について」と題するレターを送付した。レターでは「日本国債の取引に悪影響を及ぼすことを懸念している。ボルカー・ルール案は日本国債の取引コストを増加させ、米国の銀行の日本における現地法人の撤退につながるおそれもある。日本の銀行の中には、米国業務からの撤退や業務の大幅な縮小を強いられるところが出てくる可能性もある」と強い調子で再考を促している。

 「(米国は)自国の国債だけは適用除外扱いにして、他国の国債に影響を強いることはよくないのではないか」(永易氏)との指摘は日本だけにとどまらない。先に来日したガイトナー米財務長官と安住淳財務相との会談でもこの点が問題視されたが、ガイトナー氏は「FRBが対応する」と明言を避けた。このままでは、ボルカー・ルールが目指す哲学から外れ、米国は「金融保護主義」に陥る懸念がある。

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20120201/ecn1202010828001-n1.htm

 

アメリカは同盟国というが、経済に関しての同盟国ではない。むしろ経済では昔も今もずっと敵である。

 

これはTPPと同様に、日米が経済戦争の真っ直中にあるということを示している。

 

しかも、日本の官僚も政治家も経団連もマスコミまでもが、アメリカの味方だという現状である。結果は見えている。

 

◆ 中国CIC(中国投資公司)が、オーストラリアの金属企業=フォーテマキュー・メタルの筆頭株主になる等、外貨ドルを使った中国の鉱物資源「独占戦略」が動き出している。

 一方、タイの大手銀行=泰華国際銀行は、同国の最大手・華僑財閥である李一族、謝一族、伍一族、黄一族の「資産運用先」として、こうした中国共産党政府の「海外資源独占への資金提供」に拍車をかけ始めている。中国の、かつての李鵬首相等との「李一族の血縁ネットワーク」が、タイ華僑財閥の李一族を水先案内人と化し、泰華国際銀行の「タイ=中国一体化ビジネスに大きく貢献している」。

 タイ国内には、こうした華僑財閥に反感を持つ向きも居るが、泰華国際銀行を経営するラムサム一族は、タイの国王一族と歴代、婚姻関係を結び「閨閥」を形成している。タイの王族の財産を管理するCPB・王室財産管理局の王族資産が、泰華国際銀行を通じ、中国共産党の「投機資金」に姿を変えている。

 東南アジアに「触手を伸ばす」、こうした中国金融投機の「根」は、中国を拠点としたロスチャイルド帝国「アジア支店」の「猛毒の浸透経路」となっている。

 

 

 

 

 



 1929年、世界経済恐慌により、市場経済が欠点システムと分かり、世界中で、市場経済から再分配経済への移行が行われた。

 米国では、ルーズベルト大統領のニューディール政策で、豊かな階層から税金を取り、ダム建設等の公共事業を国家が行い、失業者を建設事業で雇用した。

 国家が、市場に代わり、経済運営を担い始めた。ケインズ経済学による、いわゆるケインズ政策である。

 米国の、国家による経済支配・運営は、比較的ゆるやかであった。

 日本の天皇制ファシズム、ドイツのヒットラー、イタリアのムッソリーニによるファシズム体制は、経済のみでなく、人間の生活の全てを、国家により徹底的に管理・統制した。

 一方、ソ連等、共産主義国は、経済部門を国家により所有する方法を採用した。ファシズム体制が、個人企業の国家管理・統制を採用したのに対し、共産主義は企業そのものを国家が「所有」した。

 ケインズ政策、共産主義、ファシズム体制、共にゆるやか、または徹底管理の違いはあっても、「国家による経済運営」という再分配経済システムを採用し、市場経済原理に「見切り」を付けた点では同一であった。

 冷戦時代、アメリカ対ソ連、「資本主義VS共産主義」等と言う対立が主張されたが、ケインズ政策を採用する米国と、ソ連共産主義は、国家主義、再分配経済という点では同一であった。

 フロリダ産のオレンジとカリフォルニア産のオレンジ、どちらが正義か?

 そのような議論は成立しない。どちらもただのオレンジである。ケインズ政策の米国、共産主義のソ連、どちらもただの国家主義である。どちらかが正義等という議論は、成立しない。

 第二次世界大戦で、日本、ドイツ、イタリアが敗戦する事によって、ファシズム体制は崩壊した。

 1991年、ソ連が崩壊した事によって、共産主義は崩壊した。

 残っているのは、ケインズ主義だけである。

 郵政民営化を主張した日本の竹中平蔵のように、全てを市場原理に任せるという事は、1929年以前の時代に逆戻りする事を意味する。

 市場原理とは、戦争である。

 市場原理に全てを任せるという事は、戦争しましょうという事である。29年の経済恐慌から、何1つ学ばなかったという事である。

 「市場原理に全て任せる」という主張は、過去の教訓から何も学ばない愚論か、デマゴギーである。

 デマゴギーの本質は、以下の通りである。

 世界中で、市場原理の欠陥が明らかになった1930年代、世界各国で農産物マーケティング・ボード・システムが採用された。

 農家と国の代表が集まり、コメ、小麦、綿花、オレンジ等、農産物ごとに生産量を管理し、価格を決定し、流通ルートを確保するボード=会議が創立された。

 先述の、農産物の産地直送システムのように、農家に再生産費用を保障するためには、農産物の価格の下落を避け、生産量を過剰にならないよう「計画経済」システムを、採用せざるを得なかったのである。

 ソ連の計画経済を非難し敵対していた、アメリカ、カナダ、英国、フランス等で、この「計画経済」は採用された。国家経済の基本である、食料生産の安定確保は至上命令であり、その分野を国家が徹底管理下に置いたのである。

 形式的には、農民が自主的に集まる協同組合の形を取りながら、「参加しない」事は国家が許さない、「強制的な自主参加・協同組合」であった。

 先進国が採用した、この農産物マーケティング・ボードにより、先進国の農業は保護され、食料自給率は飛躍的に上昇した。カナダが、小麦輸出大国に成長した理由は、このマーケティング・ボードの成功によっている。

 しかし、1960年代以降、このマーケティング・ボードは、少しづつ廃止の方向にある。

 名目上は、農産物の国家管理から、「全てを市場原理に任せる」ためである。

 しかし実際には、世界規模で活動する穀物商社の登場により、農産物を「国家レベル」で管理する事が、規模的に不可能、不適切になったために、マーケティング・ボードは廃止されて行く。

 オレンジジュース市場が、その典型である。

 オレンジジュースは、世界で消費される30%以上をブラジルが単独で生産し、チリ、アルゼンチン等、南米に加え、米国フロリダ州、イスラエル等が主な輸出国である(米国カリフォルニア州のオレンジは生食用であって、ほとんどがジュース加工されない)。

 当初は、輸出各国がオレンジジュース・マーケティング・ボードを持ち、生産管理を行っていた。典型的な事例は、イスラエルである。

 大部分のイスラエルの企業は、日本の八幡製鉄所を手本に創立されている。かつて日本政府は、八幡製鉄所を創立し、経営が軌道に乗ると、民間に払い下げ新日鉄とした。新日鉄の技術者として、この企業経営方式を学んだショール・アイゼンベルグは、新日鉄会長の娘と結婚し、第二次大戦後、イスラエルを建国する。アイゼンベルグは世界最強のスパイ組織モサドを創立する一方、イスラエルを代表する、レウミ銀行、ランベール銀行等を創立し、世界から資金を集め、イスラエル国営企業を大量生産し、経営が軌道に乗ると、民間に払い下げ続けた。イスラエル産業界は、こうして創立された。全て出発点は国営である。それは、日本の八幡製鉄所を手本としている。

 イスラエル農業も、国営のマーケティング・ボードにより管理・運営され、オレンジジュースは、イスラエル柑橘マーケティング・ボードCMBIにより管理されて来た。

 しかし、イスラエルは、ブラジル等、南米からの安価なオレンジジュースとの競合の中、南米オレンジ・ジュースを独占する米国カーギル社、ドレフィス社(この企業はフランス系のイスラエル企業である)との協議体制を形成し、特にヨーロッパ市場へのオレンジジュース輸出では、生産・価格調整体制を作り出す。

 国家のマーケティング・ボードが、穀物商社同士のマーケティング・ボード体制に「移行」したのである。

 カーギルの経営者ロックフェラーは、イスラエルを本拠地とし、ドレフィスもフランス系イスラエル企業であり、イスラエルを中心とした多国籍・穀物商社による「管理体制」が、国家管理に「取って代わった」のである。

 「全てを市場原理に任せる」というデマゴギーの正体は、国家から多国籍企業による「管理体制に任せる」という意味であった。

 世界1位の食料輸出大国アメリカ=カーギル、世界2位の食料輸出大国フランス=ドレフィス、イスラエルが、ヨーロッパ農産物市場において一体化した事になる。

 この農産物市場での一体化を基盤として、ヨーロッパ最大の農業金融クレディ・アグリコルとイスラエルのランベール銀行が、統一EU、そしてユーロ通貨を創立する。創立当初、EU本部は、ベルギーにあるイスラエルのランベール銀行の中に置かれ、通貨ユーロを番人として管理し、ユーロ通貨基金を運営するクレディ・アグリコルの経営は、かつて世界中を奴隷支配した東インド会社=インドスエズ金融が行い、インドスエズ金融の運営は、カーギルの経営者ロックフェラーの銀行ゴールドマン・サックスが担っている。

かつて、東インド会社の別働部隊として、ベトナム、ラオス、カンボジア等を植民地支配したインドシナ銀行の実態は、穀物商社ドレフィスであり、通貨ユーロの担い手が、カーギル、ドレフィス、イスラエルという、「世界とヨーロッパの食料支配企業」の手に、しっかりと把握されている。