滋賀県の大津市において、昨年末に発行した2005年版職員手帳に、大安や仏滅などの「六曜」を記載。県内の人権団体や職員の一部から「人権啓発の主体である市として不適切」との指摘を受け、発行済みの約3,800冊の全面回収と焼却処分をした。
手帳は市の全職員に無償配布し、市民にも510円で販売している。以前は六曜が記載されていたが、やはり、人権団体の意向を受け入れ、1990年版から取りやめていたという。
以上の新聞報道が2月中旬頃になされた。
私は、二つの点で、気を惹かれた。
一つは、職員手帳なるものが、全職員に無償配布されているような自治体が存在しているということ、もう一つは、六曜が「人権啓発の主体である市として不適切」と決め付けられてしまっているということだ。
私が、「大津」と聞いて思い出すのは、中大兄皇子が白村江の戦いの後、都を近江大津京に移し、天智天皇として即位されたということくらいであろうか。たった5年間ではあるが、大津が日本の都、今でいう「首都」であった。ほとんど知られていない、本当の話である。
このテーマは、後日、整理したい。今日は触れない。
今回は、この報道記事を読んで、私が思い起こした金沢市のある行政サービスについて記述したい。
現在、金沢市に、斎場(一昔前までは、「火葬場」と言っていたようだが、今はそうは言わないのだろうか)は鳴和台の東斎場と西泉の南斎場と二つある。
この斎場は、金沢市民の方はもちろん、近隣自治体の多くの方々が、利用されている。
当然のことではあるが、人の寿命である。結婚式じゃあるまいし、事前に「お日柄」を選んでということは、医学的に可能であっても、倫理的にはそうはいかないであろう。
一般的にいって、お葬式は「友引」を避けるというのが、私たち日本人の小市民的感覚である。「友引」は、友を引っぱっていく、と安易な結び付けによるものであろうか。少なくとも、多くの方は、そのようなことに、こだわりは持たないまでも、自分が遺族という立場になった場合、一度は気にはかけることであろう。結果として、様々な事情により、友引であっても、葬儀を行うこともあるかもしれない。ただ、その場合であっても、最後の対面の際に、棺の中に紙でできた人形を入れることが多いという。その紙人形を身代わりに引っぱっていくということらしい。全くもって、非科学的なことではあるが、現実に、決して少なくはない例である。
さて、斎場。
斎場にも「休業日」というものがある。現在、金沢市にある二つの斎場は、1月1日はともに休みである。それは理解できる。その他、1月2,3日、8月15,16日、12月29,30,31日、及び、土・日曜日は、どちらか片方の斎場が休みとなる。これは、他の中核市及び政令指定都市、さらには近隣自治体と比べても、ダントツ抜群に多い休業日数である。二つ以上の斎場があり、土・日にどちらかが必ず休みなんていう施策をとっているのは、おそらくは、全国で金沢市だけであろう。少なくとも私が調べた、中核市、政令指定都市、近隣自治体には一つもなかった。金沢市民は、日にちを気にせずに、おちおち、息を引き取ることも許されない。とは、言い過ぎであろうか。
実は、平成7年まではそうではなかった。
1月1日は両施設とも休業というのは同じである。問題は、交互の休業日である。それまでは、日曜日、友引、1月2,3日、8月15,16日がそれであったが、平成7年からは、さらに、12月29,30,31日と、土曜日が加わった。その理由の主なものとして、「金沢市斎場条例施行規則の一部改正について」によると、「斎場職員の福利厚生および勤務条件を改善するため」と書かれている。ところが、斎場における業務は、専門技術も必要とされるものも多いため、そのほとんどが外部委託されているという。金沢市からは、退職職員の方が、各々斎場に2名いて、受付業務だけを担当されているという。その方たちの「福利厚生および勤務条件を改善するため」の改正といえる。
翌平成8年には、休業日から「友引」が削られている。その理由として、「友引にあたる日という表現が、過去の習慣、習俗によるもので、現代の生活習慣になじまない」としている。
しかし、本当にそうであろうか。確かに、友引をはじめとした六曜は、「過去の習慣、習俗」かもしれないが、「現代の生活習慣になじまない」ものとは一概に決めつけることはできないのではないか。
結婚式が行われるのは、土・日の「大安」なり「先勝」の日の方が、「仏滅」、「先負」よりも数も多いし、ホテル側も料金にしっかりと差異をつけている。民間のホテルが、「現代の生活習慣になじまない」ことをするとは思われない。そんなことをしたら、つぶれてしまう。
先に述べたように、葬式は友引の日をできれば避けたいというのが、一般的な市民感情であろう。
昨年10月から今年1月までの4ヶ月間に、金沢市の東・南斎場で行われた火葬の件数は、友引の日も含めて、その合計は平均して毎日ほぼ12件である。ところが、友引に行われた火葬の件数は、平均6件強である。友引以外の日の半分といえる。そのうち、友引ではあるが、土・日を除いたもの、つまり友引の平日の火葬は、さらに数が減り、平均4.7件となる。11月なんて、平日の友引に行われた火葬は、平均2.5件にしかすぎない。当然、友引の翌日の件数は、平均を大きく上回っている。
つまり、市民感情としては、友引に葬式をしたくないというのは、一般的なものといってもいいであろう。少なくとも、友引というものにこだわらないまでも、気にかけない人はほとんどいないと思われる。以上の数字が物語っている。
現在、中核市35市のうち、友引に斎場の休業日としているのは、22市ある。6割強。ちなみに、日曜日を休業日に入れているのは、やはり、35市中、金沢市と岡山市のみであり、休業日に土曜日なんて入れているのは、金沢市だけである。当然、土・日にどちらかを、しっかりと休ませているのは、本市のみである。
休業日の設定が、あまりにも役所仕事に過ぎるのではないだろうか
長くなったので、「友引」の扱いについては、改めて整理し、次回にお送りしたいと思うが、まずは、金沢市斎場のあり方については、もう一度議論が必要であることは、間違いないであろう。
手帳は市の全職員に無償配布し、市民にも510円で販売している。以前は六曜が記載されていたが、やはり、人権団体の意向を受け入れ、1990年版から取りやめていたという。
以上の新聞報道が2月中旬頃になされた。
私は、二つの点で、気を惹かれた。
一つは、職員手帳なるものが、全職員に無償配布されているような自治体が存在しているということ、もう一つは、六曜が「人権啓発の主体である市として不適切」と決め付けられてしまっているということだ。
私が、「大津」と聞いて思い出すのは、中大兄皇子が白村江の戦いの後、都を近江大津京に移し、天智天皇として即位されたということくらいであろうか。たった5年間ではあるが、大津が日本の都、今でいう「首都」であった。ほとんど知られていない、本当の話である。
このテーマは、後日、整理したい。今日は触れない。
今回は、この報道記事を読んで、私が思い起こした金沢市のある行政サービスについて記述したい。
現在、金沢市に、斎場(一昔前までは、「火葬場」と言っていたようだが、今はそうは言わないのだろうか)は鳴和台の東斎場と西泉の南斎場と二つある。
この斎場は、金沢市民の方はもちろん、近隣自治体の多くの方々が、利用されている。
当然のことではあるが、人の寿命である。結婚式じゃあるまいし、事前に「お日柄」を選んでということは、医学的に可能であっても、倫理的にはそうはいかないであろう。
一般的にいって、お葬式は「友引」を避けるというのが、私たち日本人の小市民的感覚である。「友引」は、友を引っぱっていく、と安易な結び付けによるものであろうか。少なくとも、多くの方は、そのようなことに、こだわりは持たないまでも、自分が遺族という立場になった場合、一度は気にはかけることであろう。結果として、様々な事情により、友引であっても、葬儀を行うこともあるかもしれない。ただ、その場合であっても、最後の対面の際に、棺の中に紙でできた人形を入れることが多いという。その紙人形を身代わりに引っぱっていくということらしい。全くもって、非科学的なことではあるが、現実に、決して少なくはない例である。
さて、斎場。
斎場にも「休業日」というものがある。現在、金沢市にある二つの斎場は、1月1日はともに休みである。それは理解できる。その他、1月2,3日、8月15,16日、12月29,30,31日、及び、土・日曜日は、どちらか片方の斎場が休みとなる。これは、他の中核市及び政令指定都市、さらには近隣自治体と比べても、ダントツ抜群に多い休業日数である。二つ以上の斎場があり、土・日にどちらかが必ず休みなんていう施策をとっているのは、おそらくは、全国で金沢市だけであろう。少なくとも私が調べた、中核市、政令指定都市、近隣自治体には一つもなかった。金沢市民は、日にちを気にせずに、おちおち、息を引き取ることも許されない。とは、言い過ぎであろうか。
実は、平成7年まではそうではなかった。
1月1日は両施設とも休業というのは同じである。問題は、交互の休業日である。それまでは、日曜日、友引、1月2,3日、8月15,16日がそれであったが、平成7年からは、さらに、12月29,30,31日と、土曜日が加わった。その理由の主なものとして、「金沢市斎場条例施行規則の一部改正について」によると、「斎場職員の福利厚生および勤務条件を改善するため」と書かれている。ところが、斎場における業務は、専門技術も必要とされるものも多いため、そのほとんどが外部委託されているという。金沢市からは、退職職員の方が、各々斎場に2名いて、受付業務だけを担当されているという。その方たちの「福利厚生および勤務条件を改善するため」の改正といえる。
翌平成8年には、休業日から「友引」が削られている。その理由として、「友引にあたる日という表現が、過去の習慣、習俗によるもので、現代の生活習慣になじまない」としている。
しかし、本当にそうであろうか。確かに、友引をはじめとした六曜は、「過去の習慣、習俗」かもしれないが、「現代の生活習慣になじまない」ものとは一概に決めつけることはできないのではないか。
結婚式が行われるのは、土・日の「大安」なり「先勝」の日の方が、「仏滅」、「先負」よりも数も多いし、ホテル側も料金にしっかりと差異をつけている。民間のホテルが、「現代の生活習慣になじまない」ことをするとは思われない。そんなことをしたら、つぶれてしまう。
先に述べたように、葬式は友引の日をできれば避けたいというのが、一般的な市民感情であろう。
昨年10月から今年1月までの4ヶ月間に、金沢市の東・南斎場で行われた火葬の件数は、友引の日も含めて、その合計は平均して毎日ほぼ12件である。ところが、友引に行われた火葬の件数は、平均6件強である。友引以外の日の半分といえる。そのうち、友引ではあるが、土・日を除いたもの、つまり友引の平日の火葬は、さらに数が減り、平均4.7件となる。11月なんて、平日の友引に行われた火葬は、平均2.5件にしかすぎない。当然、友引の翌日の件数は、平均を大きく上回っている。
つまり、市民感情としては、友引に葬式をしたくないというのは、一般的なものといってもいいであろう。少なくとも、友引というものにこだわらないまでも、気にかけない人はほとんどいないと思われる。以上の数字が物語っている。
現在、中核市35市のうち、友引に斎場の休業日としているのは、22市ある。6割強。ちなみに、日曜日を休業日に入れているのは、やはり、35市中、金沢市と岡山市のみであり、休業日に土曜日なんて入れているのは、金沢市だけである。当然、土・日にどちらかを、しっかりと休ませているのは、本市のみである。
休業日の設定が、あまりにも役所仕事に過ぎるのではないだろうか
長くなったので、「友引」の扱いについては、改めて整理し、次回にお送りしたいと思うが、まずは、金沢市斎場のあり方については、もう一度議論が必要であることは、間違いないであろう。