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諏訪大社下社秋宮 社殿(神楽殿 獅子と狛犬 神饌所 など)🙂😐😐清水多嘉示「獅子と狛犬の像」を従える神楽殿が際立つ神社

2020-08-23 15:00:00 | 神社仏閣
「長野県下諏訪町」の旧「中山道」と旧「甲州街道」分岐に位置する「諏訪大社(すわたいしゃ)下社(しもしゃ)秋宮(あきみや)」は、「下社(しもしゃ)春宮(はるみや)」(諏訪郡下諏訪町)、「上社(かみしゃ)本宮(ほんみや)」(諏訪市)、「上社(かみしゃ)前宮(まえみや)」(茅野市)とともに、四ヶ所に鎮まり坐す「諏訪大社」のひとつで、全国で一万社を超えると言われる「諏訪神社」の総本社だ。
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「お諏訪さま/諏訪大明神」とも呼ばれる「諏訪大社」は、「国津神(くにつかみ)」の「大国主神(おおくにぬしのかみ)」次子「建御名方神(たけみなかたのかみ)」と、その妃神「八坂刀賣神(やさかとめのかみ)」が主祭神で、「下社」は「八坂刀賣神」を祀り、後に「大国主神」長子「八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)」が配祀されたという。
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ここ「下社秋宮」の祭神は、徒歩約20分にある「下社春宮」との間で半年毎に遷座され、「秋宮」から「春宮」へ遷座する「遷座祭(せんざさい)」は2月1日に、「春宮」から「秋宮」へ遷座する「御舟祭(おふねまつり)」は8月1日に行われる
 ❖ 神楽殿  「幣拝殿(へいはいでん)」前に建つ三方切妻造りの「神楽殿(かぐらでん)」は、宮大工「立川和四郎二代目富昌(たてかわわしろう とみまさ)」(1744/延亨元年~1807/文化4年)によって、1835(天保6)年に上棟され、1983(昭和58)年に国の「重要文化財」指定を受けた社殿だ。
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その両袖に従えた高さ1.7メートルという青銅製「阿像(獅子)」「吽像(狛犬)」と、寅と申の年に行われる「御柱祭」毎に、新しく奉納されるという大注連縄によって、「神楽殿」は存在感をより際立たせていると言えるが、大注連縄は初め「出雲大社奉賛会」の指導で作られたもので、重量約1トンにもなるという。
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「神楽殿」とは、その名前のとおり神前に神楽を奉納するための建物だが、少ない彫刻と用いられた太い材は、規模の大きさと質実で荘重な印象をよんで、瀟洒な印象をよぶ「幣拝殿」と好対照で存在し、互いを引き立て合っている。

 ❖ 阿像(獅子) 吽像(狛犬)  「神楽殿」正面両脇に従う「獅子と狛犬の像」は、諏訪郡原村出身で「日本芸術院会員」「文化功労者」の「清水多嘉示(しみず たかし)氏」(1897/明治30年7月27日~1981/昭和56年5月5日)による1960(昭和35)年制作の作品だという。
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同氏は、近代彫刻の父といわれる「François-Auguste-René Rodin(フランソワ オーギュスト ルネ ロダン)」(1840年11月12日~1917年11月17日)の助手をつとめ、後継者と目されたフランスの彫刻家「Antoine Bourdelle(アントワーヌ ブールデル)」(1861年10月30日~1929年10月1日)に師事し、戦後の具象彫刻をリードした一人といわれている彫刻家で、「諏訪大社下社秋宮」の「獅子と狛犬の像」を、皮相で形式を追うに過ぎない「獅子と狛犬」が多く溢れる中で、生命の躍動感あふれ気迫みなぎる別次元の作品に仕上げ奉献している。
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「空想上の守護獣像」は、神聖な場所を邪気から守る魔除けの役割をもつが、向かって右の角がなく口を開いているのが「阿(あ)像」の「獅子(しし)」、左の角があって(角がないものも多い)口を閉じているのが「吽(うん)像」の「狛犬(こまいぬ)」だ。現在は「獅子と狛犬」という呼称が消えて、両者合わせて魔除けのために置かれる像「拒魔犬(こまいぬ)」から、単に「狛犬」という言い方が定着して来ているが、「狛犬」とはあくまでも空想上の動物で「犬」ではない。
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起源は古代オリエントの「スフィンクス」まで遡るといわれるが、ガンダーラを経由して中国に入り、遣唐使が我国に持ち帰って、対の獅子像が寺院山門の仁王像の影響を受け、平安時代までに「獅子と狛犬」という独自の「阿吽」形式に変わったのではないかと言われている。ちなみに沖縄の「シーサー」は、「獅子」を沖縄語で発音した伝説の獣で、災厄をもたらす悪霊を追い払う魔除けとされている。
 ❖ 神饌所  「神楽殿」右手にある「授与所」左隣の建物が「神饌(しんせん)所」で、神前に供える供物のことで「御饌(みけ)」「御贄(みにえ)」ともいわれる「神饌」を調理し格納する所をいう語だ。
 ❖ さざれ石  本来の意味は「小石」だが、「石灰質角礫岩(せっかいしつかくれきがん)」についても「さざれ石」と呼ばれて、「君が代」に歌われる。炭酸塩鉱物が雨水などに溶け出し、コンクリート状に固まることで、角礫同士が結合した石灰岩角礫の堆積岩だ。
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巌状になった「石灰質角礫岩」は、「北野天満宮」(京都市上京区)など、各地社寺に注連縄飾りなどを施し飾られているが、ここ「下社秋宮」の「さざれ石」もそのひとつだ。
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「君が代」の中では、小さな石が大きな石になり、さらに苔むすという長い歳月の比喩的な表現に使われているが、主な産出地「伊吹山」(岐阜県・滋賀県の県境)の登山口の「さざれ石公園」(岐阜県揖斐川町)には、歌詞由来の岐阜県天然記念物「さざれ石」がある。

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4 コメント

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Unknown (mrsaraie)
2020-09-12 17:52:57
このさざれ石、見学しましたよ。
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Unknown (yamakiya)
2020-09-13 18:28:12
「君が代」で、言葉としてしか知らない人が多いのでしょうね。
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Unknown (八目山人)
2020-10-18 16:15:01
岐阜県神戸町の藻葛神社の祭神は、建御名方神と言われています。
1月15日に筒粥神事をやっています。それでここに来ました。
狛犬の英語訳が、コリアンドッグなんて言われるなんて、とんでもないですね。
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Unknown (yamakiya)
2020-10-18 19:00:36
「明治神宮」HPに「獅子像が中国から日本に伝わった当初、日本人はその異様な形の生き物を犬と勘違いし、また朝鮮から伝来したことから「高麗(こま)犬(いぬ)」と呼ばれるようになったそうです。」との案内があります。意とするところを捉えて「Guardian Dog」が良いと思うのですが、「高麗犬」と書けば単なる置き換えで「Korean Dog」になってしまうのでしょうか。
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