第五場(4月。 北京・中南海にある劉少奇の家。劉少奇、王光美、登小平、彭真、陸定一、楊尚昆)
劉少奇 「私がアジア各国を訪問している間に、情勢は極めて緊迫してきたようだな。 羅瑞卿同志が杭州で林彪に逮捕され、総参謀長を解任されたと聞くし、北京の様子も日毎に険悪になってきた。
『人民日報』までが『解放軍報』の二番せんじをするようになっては、事は重大だ。なんとか、打つ手はないものだろうか」
登 . . . 本文を読む
第二幕 毛沢東、文化大革命を発動
第一場(11月上旬。 上海市党委員会の一室、毛沢東のモノローグ)
毛沢東 「つい三週間ほど前、北京にいた時がウソのように、わしは今、この上海に来て生き返ったような気がする。 ここには、彭真らのうるさい監視の目もなければ、尊大な劉少奇の顔を見ることもない。ここには、わしに心から忠実な張春橋や、姚文元ら可愛い連中が沢山いる。
しかも、林彪の部隊がわ . . . 本文を読む
第三場(10月上旬の某日。 北京・中南海にある毛沢東の居宅。毛と江青)
毛沢東 「先日の中央委員会の時には参った。陳伯逹らの言うとおりだったな。 わしが一声あげれば、大抵の連中はわしの言うとおりになると思っていたが・・・失敗だった」
江青 「あなたが倒れたので、私はもう駄目かと思いました。でも、よく回復してくれましたね」
毛沢東 「わしは、つくづく自分が情けないと思う。もう、北京にいては何を . . . 本文を読む
《前書き》
中国の現代史を彩る「文化大革命」とはなんだったのか。それは、政治における凄まじい権力闘争ではなかったのか。 1966年の夏、突如“紅衛兵”が出現した時の衝撃を、私は今でも忘れることができない。私なりに「文化大革命」を追究したくて筆を執った。 なお、これは“レーゼドラマ”(読むための戯曲)であり、あくまでもフィクションである。
時代 . . . 本文を読む