最初に買ったプラスチックの瓢箪池は、できるだけ自然に近いものにするために、田んぼで採ってきた面高(おもだか)を植えている。
葉の形が人間の顔に見えることから「面高」というのだそうだ。
メダカは目が高い位置についているので「目高」というのは理解できるが、面高の葉はどう見ても顔には見えない。
矢じりの形をしていることから「勝軍草」という方がぴったりのような気がする。
戦に縁があるために多くの武将が家紋に使った。
家紋の場合は「沢瀉紋(おもだかもん)」という。
沢瀉(たくしょう)は中国語で、本来はオモダカと言わずにタクショウと言っていたのだろう。
それを縁起がよいように「顔が立つ・面目がたつ・花が高い」などのイメージから面高と言うようになったのだろう。
この面高を改良したのが正月に食べるクワイ。
クワイの方が大きいのだが、茎や葉の形はまったく同じ。
葉茎が鍬のようなので「鍬芋」がなまってクワイになった。
大きな目が出るというので縁起ものにされている。
クワイは食用になるのだが、オモダカは田んぼの雑草にすぎない。
クワイのような芋(1㎝にも満たない)をたくさんつけるので、翌年にはあっというまに広がる。
人間にとってはやっかい者の雑草である。
ところが、メダカにとっては大好きな草だ。
根は水中で葉っぱは水上なのでメダカの格好の遊び場になる。
「雑草という草はないがや!」と万太郎が叫ぶ通りなのである。
昔、田んぼで見た目高は面高の間を泳いでいた。
目高には面高がよく似合う。