河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑――むかかよう

2023年08月06日 | 菜園日誌

江戸時代の『本草綱目』に「甘味柿の如くにして而(しか)して核[種]なし。一日にして熟す」とある。
同じく『和漢三才図会』には「・・・一月にして熟す故に一熟と名づけり」とある。
一熟=いちじゅく→いちじく。
中国の古書「西陽雑俎(せいようざっそ)」には、「花無くして実あり」と記され、「無花果」という漢字が用いられた。
花は無いのではなく、実の中に隠れているだけだと以前書いた
無花果は世界史上最も古いフルーツなのだが、無花果の実の話ではない。
無花果の葉っぱの話である。

無花果の葉といえば、旧約聖書の中のアダムとイブ。
楽園で過ごす二人は、神から、知識の木の実は食べてはいけない禁断の果実だと言われていたが、蛇にそそのかされて禁断の果実を食べてしまった。
それが神の怒りに触れて、二人は楽園追放となる(失楽園)。
そのとき二人は、禁断の果実を食べたことで、裸でいることが恥ずかしくなり、下半身を葉っぱで隠す。
その葉っぱがイチジクの葉。
なのだが、くそ暑い夏は無花果の葉っぱのパンツにしよう、などという話ではない。
無花果の葉っぱのお茶の話である。

昔から無花果の葉は生薬で無花果葉(むかかよう)と呼ばれ、煎じて飲むと高血圧や動脈硬化、肝障害、糖尿病、冷え症、神経痛、痔、血圧降下、肝機能改善、鎮痛、抗炎症作用などがあるという。
そう聞いたら作らない手はない。
10枚ほど採ってきて、綺麗に洗って天日干し。というより炎天で焼いているようなもの。
夕方にはカラカラになっている。
袋に入れて粉々にして、ティーパックに入れて湯を注ぐ。

きれいな黄色。
ほんのりと無花果の甘い香り。
さて、一口、渋いような甘いような高級なお茶を飲んでいるような。
アダムとイブに教えてやりたい味。

コメント
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