河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑185 / おやまあ

2024年10月31日 | 菜園日誌

ビニールハウスを建てることに集中している間は、他の野菜はほうったらかしにしていた。
ハウスがほぼ完成して、他の野菜をのんびりと見に回る。
あらまあ!

多品種少量時間差植えの畝が大きくなりすぎて、満員電車状態になっている。
少しずつ収穫していく予定だったが、それを忘れるほどにハウス造りに集中していたのだ。
こりゃなんとも採りきれない。
道端だったら「お好きなものをご自由にお持ち帰りください」の看板を揚げたいほどになっている。
まずは壬生菜を一株収穫。
これを食べるだけでもニ、三日かかりそうだ。

もう一つ、頭の中から存在が消えているのがあった。
農小屋の裏手にあるので、意識して見にいかないかぎり、存在に気づかない。
ミカン!
ひょっとして……と見に行くと……おやまあ!

ひょっとしてと思った通りのひょっとして状態になっている。
♪たわわー、たわわー、たわわー♪
実が地面近くにまで垂れ下がって、枝が折れそう。
とりあえず、30個ほど収穫したが、枝はまだ折れ曲がったまんま。
かくして、ここ一週間の食卓は野菜とミカンの日々。
おそらく、ここしばらくは続く。

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俄38 / 子ども俄2024

2024年10月30日 | 祭と河内にわか

九月の末に、こども会から、俄を作って教えてもらえませんかと依頼があった。
子ども俄は、うちの息子が演じて以来だから25年ぶりになる。
しかも、祭りまで一ヶ月もない。
俄なんて、その名の通りすぐに出来るだろうという感覚らしい。
「それで、出演者はどんなメンバー?」
「とりあえず、男女2名ずつくらいで」
「とりあえず……では、台本を書かれへんがな!」
毎年続けていないと、俄がどういうものか分かっていない人間が増えて来る。
「もっと早く、夏休み頃に言うてきてーな」とぼやきつつも承諾。

その日の夜に、6年生の男子2名でお願いしますとメールがあった。
2名のやりとりは漫才になりやすい。
十年ほど前に大人2名用のを書いたのがあったので、そいつを子供用にリメークして、次の日に渡した。
すると、その夜に年長の男の子が出演したいと言って来たとメール。
「おいおい! 俄をなめてたらあかんで!」
どうしようと悩んでいたら、年長の子の弟も出たいと言っているとメール。
「あのなあ、ええかげんにしいや」
という次第で出来た俄である。
着物にちょん髷という河内俄の本来の型にした。

川面の昔話より 「孫 八 と 源 助」

  左手から、釣り竿を持った孫八が登場。川を見渡して、このへんでいいと納得して、竿を出して釣り始める。
  右手から源助が偉そうに登場。あたりをぐるりと見て
源助  ああー、暇やなあ。誰ぞ、おちょくって、暇つぶしたろ。遊べるような奴はおらんかなあ。
   (孫八に気づき)
    おお、ええ具合に、幼なじみの孫八が釣りしとるがな。
   (そばに近寄り、後ろから)
    こーら、孫八!
孫八  (独り言のように) わっ、わしの一番嫌いな源助やがな。
源助  何しとんねん?。
孫八  何しとんねんて、釣ってんねん。
源助  そんなん見たら分かるわい。何、釣ってるねん?
孫八  何釣ってんねんて……、
     (しばし考え込んで、一人合点して、独り言のように)
    そや、今日は逆にギャフンといわしたろ。
     (得意げに)
    何釣ってんねんて……カッパや。
源助  はあ! カッパ?
孫八  カッパや!
源助  カッパて……、雨の日に着る合羽かい?
孫八  あんだら、川にいるカッパじゃ。
源助  頭に皿のせた奴かいな?
孫八  そや、頭に皿のせたカッパや。
源助  (あきれたように) そんなん釣れんのかいな?
孫八  釣れんのかいて、釣れるさかいに釣ってんのやないかい!
源助  ほほー、エサはなんやねん?
孫八  エサはキュウリや。
源助  キュウリ? そないいうたらどっかで聞いたことあるがな。ほんで釣れたんかい? 見せ
    てみ!
孫八  今日はあかん。近頃は、カッパも贅沢になりくさって、キュウリでは釣れんようになった。
源助  ほほー、カッパの釣れたのを見たいもんや。エサは何あったら釣れるねん?。
孫八  (しばし考えて) そやなあ、松阪牛(うし)か。
源助  松阪牛?
孫八  言うとくで、松阪牛でも霜降りの上等なんでないとあかん。
源助  贅沢なやっちゃな。うちでは毎日、松阪牛のすき焼きや。明日、持って来たるさかいに、 
    カッパ釣るのを見せてくれるか?
孫八 わかってるわい。
    竿をかついで、左手に引っ込むときに、 あっかんべーする 
源助 明日は楽しみやなあ。
     右手にひっこむ
  ………………
     小太鼓トコトン。拍子木がチョン
     左手から竿を持った孫八
     右手から肉の塊を持った源助 登場

源助  さあ、松阪牛、持ってきたで。カッパ釣るのを見せてもらおか!
     肉を差し出す
孫八  おお持って来たか。ほな、この肉は、わしがもらうで!
源助  かまへん、かまへん! ほれ、カッパのエサや!
孫八  ほな、したくが終わるまで、ちょっと待っててくれるか。
     左手を向いて準備。肉の塊をつけるふりをして、大きな石をくくりつける。
    さあ、準備はでけた。
     立ち上がり、客席に向かって、源助に見えないように、石を川に投げ込む。
        大太鼓 ドコドン。
    さあ、ええか、カッパはデリケートやさかいに静かにしとけよ。
源助  わかつてるわい。
     しばらく黙って釣ってる。
源助  どや、釣れるか?
孫八  シー。
     また、しばらく沈黙
源助  まだか?
孫八  シー。
     また、しばらく沈黙
源助  どや!まだ釣れへんのか?
孫八  静かにしとけ言うてるやろ!
源助  そやかて、早く、カッパ見たいがな!
     左手からカッパの二人が登場。しゃがんで、じーっと竿を見ている二人の後ろに立つ。
カッパ おっちゃん……なに釣ってるねん? 
孫八  カッパや!
カッパ そんなとこにカッパはいてないよ!
源助  子どもはだまっとけ!
     カッパが右手に引っ込むときに、
カッパ アホなおっさんらやなあ!
     二人に向かってアッカンベーして引っ込む。
源助  おいおい、まだ釣れへんのかいな!
孫八  そないやかまし言うたら、釣れるものも釣れるかい! やめや。今日はあかんわ!
     竿をあげると大きな石。
源助  なんやそれは、石やないかい。肉はどないした?
孫八  肉はここにあるがな。
源助  返せ!
孫八  何言うとんねん。最初に言うたやろ。「この肉はわしがもらう」と、そしたら、おまえが
    「かまへん、かまへん」と言うたやないかい。
源助  だましやがったな!
     カッパが出てきて真ん中に立つ。
孫八  わしがだましたとちがう! このカッパと松阪牛でなにもできんようになったんや。
     カッパが肉を前に差し出す
源助  カッパと松阪牛で、なにもできんようになったとは、はて?。
孫八  はて?
源助  はーて! わかったわい!。
孫八  陸に上がったカッパが持った
源助  にっくき松坂牛に
全員  ギューといわされたわい!

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畑184 / お預けの秋

2024年10月29日 | 菜園日誌

久々の投稿。といっても、遊んでいたわけではない。
秋祭りの三日間をはさんで、ひたすら動いていた。
10月10日頃から、新たにビニールハウスを造り出した。
一昨年の春に、百姓を引退した先輩から、長さ10mのビニールハウスの骨組みやら資材一式を頂戴した。
去年の秋に、落花生やら里芋の出荷が落ち着いた11月頃に建てようと計画していたが、ちょうどその頃に体調がおもわしくなくなった。
それで、やむなく中止した。
それを横目で見ていた資材をくれた先輩百姓が、「おまえは、よう建てへんやろなあ……」とポツリと言う。
その一言が頭にカチーンときて、心にボッと火が着いた。
今年は何が何でも建ててやる!

幸か不幸か、アライグマやらカラスのせいで、落花生の収穫が早くに終了して、時間的余裕が出来た。
よっしゃ! 建てるとするか!
まずは、きれいな長方形になるように地取りをする。
次の日からは、それに従って曲管支柱パイプを45㎝間隔で、30㎝の深さで埋め込んでいく。
しかし、ここで難題につきあたる。
我が畑は黒土だが、20㎝ほど掘ると砂と石の地層に突き当たった。
かつては、大和川の支流石川の低湿地帯を開拓した土地だと、真左様に納得できる。
砂と石の河原に、我がご先祖は、大枚の金を投じて大量の畑土を入れたのだ。
長老によると、金持ちほど多くの畑土を入れたのだという。

日本全国の畑や集落に、大きな石を積み上げた石垣の道や畔がある。
どこから石を持って来て、どのようにして造ったのかと感心する。
その労力たるや膨大であったろうと感服する。
ご先祖が、何十年、何百年後の子孫のことを考えて命を尽くしたものなのだ。
それはさておき、ご先祖に、なるほどと感謝しつつも、さてどうしよう?
考えあぐねた末、25㎝まで穴を掘って、5㎝ほど土を盛ることにした。

五日ほどかけて26本の支柱を立てた。
そこへきて豊年満作の秋祭り。
祭り三日は酒浸り。
よろよろよたよたの三日間が過ぎて、再びビニールハウス造り。
補強を入れて、裾のビニール(おこし)を張って、後は天井のビニールを張れば完成というところまでいきついた。

しかし、台風21号が発生。
こいつものろのろよたよたと北上して、異例の本土上陸しそうな雰囲気。
とりあえず、台風一過まで、ビニールハウスの完成はお預け。
おまけに、11月1日から岡山の友人宅へ行く予定もお預け。
今年は、実によく自然に振り回される。

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畑183 / あんさん別れまひょ

2024年10月10日 | 菜園日誌

三日連続で「曇→雨」の日が続いて、昨日は曇り、今日は見事な晴天。
天高く馬肥ゆる秋。
と、言いたいが、晴れると、さすがに夏の陽射し。
9時頃になると、もう畑作業が辛くなる。

朝の6時から落花生の畝の片付け。
やりやーがった!
落花生の残りの一畝をシートで囲って、絶対に入れないようにしていたのに……。
シートを上から押さえつけやーがって、継ぎ目から潜りこみやーがった!
これで6畝全部やられたことになる。
5万円くらいは食べられた。
見るのも癪に障るので早々に撤去!
やり終えて、ほぉーっと息を吐き、天を仰ぐ。
天高くアライグマ肥ゆる秋。
しかし、これでスッキリした。
もう、朝早く起きなくてすむ。
もう、これで、あの野郎ともおさらばだ!

彼岸過ぎに植えたニンニクが芽を出し始めた。
種球を4キロ買って、400個ほど植える計算だったが、600個種球が採れたので全部植えた。
ニンニク600個もどないするねん……?!
我ながら呆れる。
それでも、ほぼ出そろったニンニク畑を見て、独りご満悦。
そして、足下をふと見る……、アライグマの足跡。
もう、やめてや、ニンニクの芽は折れやすいのやから……!
もう、あんさんとは別れたいねん!

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俄37 / 俄ごっこ

2024年10月08日 | 祭と河内にわか

若いころ、祭で俄をすることになったとき、村のお年寄りに、「しっかり遊んどいで」と言われた。
俄は演劇の一種だが、「演じる」のではなく、「遊ぶ」なのだ。
子どもたちが、輪にしたヒモの中に入り、電車にみたてて「出発! ガッタンゴットン・・○○駅です」とやる電車ごっこ。
お母さんやお父さんになったつもりで「行ってらっしゃい」「ただいま」「ご飯が出来たよ」とやるままごとなどの「ごっこ遊び」と「にわか」は同じなのだ。
子どもは、たんに、「何かにみたてる」「何かになったつもり」「何かをしたつもり」を繰り返し楽しんでいるだけで、演じるという気持はない。
それでも、子どもが楽しく遊んでいるのを見ると、見ている大人も楽しくなる。
俄は自分だけでなく、見ている人も楽しくさせる遊びなのだ。
俄の命は〈遊戯性〉にある。

宴会のかくし芸用に一人俄をいくつか紹介しておく。
俄は遊びだから、ものおじせずに楽しくどうぞ。

【魚屋】わしは、このあたりに住んでいる、魚屋や。今朝、市場から魚を仕入れてきた。〔魚を手に取り〕おお、うまそうな魚、良い、アジじゃ。〔別の魚を手に取り〕この魚は、えらい柔らかい。フニャやなあ。〔別の魚を手に取り〕はて? この魚は以前どこかで見たことがある。はて! わかった。久しブリじゃ

【暑い】
  扇を持って出る。
「今日は、厚いもてなしをしていただき、たらふく酒をいただき、えらい酔うてしもた。そのせいか、暑うて、暑うて辛抱できん」
  手ぬぐいで汗を拭き、扇を取り出し、せわしく扇ぐ。
「こうして扇ぐと、少しは涼しくなるが。しんどうて、骨が折れる。おまけに、肝心かなめの酒の酔いが、覚めてしもたがな。おおぎな損や」
  扇ぐのを止め、扇をたたむ。
「もう、あおぐことは扇子としよ」

【捨て鉢】
 扇を広げて、皿を持っている仕草で出て来る。
「ああ、えらいことしてしもた。ご隠居さんの米寿のお祝いというので、鯛の焼いたんを鉢にのせて持っていってくれと、旦那さんに頼まれて出て来たんやけど、道でこけて鉢が欠けてしもた。こんなん持って行くわけにはいかし、かというて、往んだら、旦那さんにお目玉くらう。旦那さんの目玉は、鯛の目玉食らうよりもむないがな。ええーいままよ。
 扇(皿)を投げ捨てる。
「こんなん捨てて、往んでこませ。鯛の鉢は欠け捨てじゃ。(旅の恥はかき捨て)

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