雑学

前回に続いて雑学を紹介します。

三々九度

2009-05-09 08:59:39 | Weblog
引き続いての親子盃:
筆頭幹部から順に、媒酌人のよりひとりひとりが呼び出される。新代目(親分)の前に進み出て着席する。媒酌人は盃に酒を注ぎ、三方ごと、その盃を親分の前に差し出す。そして、対座する幹部(こぶん)に向かって「引導」をわたす。
「この盃を背負った以上は、一家に忠義を親分に孝行をつくさなくてはならない。一家のため、親分のためには、一命を捨ててもつくさなければなりません。たとえ、親分が白を黒、黒を白といっても、それにしたがわなくてはなりません。
第一に禁じることは、バヒはるな(売上金をごまかすな)。
第二に、タレこむな(親分や仲間を密告するな)。
第三に、バシタとるな(仲間の女房に手をだすな)。
この神農道を守り、存分にバイ(商売)に励むよう、お頼み申します」
幹部が、「承知しました」。
そこで、はじめて親分は、盃を手にするのである。そして、三口で飲み干すのである。媒酌人は、三々九度の作法で酒を注ぐ。そして、それを幹部の前に差し出す。幹部は、それを押しいただいたのち、三口で飲み干す。
媒酌人は、盃を置いた三方を両手で持ち上げ、「ことわり口上」を述べる。「渡世のならわしにしたがいまして、ここに控えます預かり人に末永くお預けすることにしたいと存じます。ご両人とも異存なきようご返事ください」
親分、幹部とも「異存ございません」、「よろしゅうお頼み申します」。
この親子盃が、若い衆に対して次々の交わされるのである。
作法は、注酒が「三度」、飲酒が「三口」。つまり「三々九度」が基本となる。作法の要点は次の通り。
(1)酒が神農に供えられる。
(2)媒酌人によって神酒徳利の口切りがなされる。
(3)媒酌人、あるいはその代理人によって神酒が三度注がれる。
(4)当事者Aが神酒を三口で飲み干す。
(5)当事者Bが神酒を三口で飲み干す。
(6)媒酌人は、盃を改め、当事者の一方にその盃を渡す。
(7)その当事者は、その盃を懐中に納める。
そうして丁寧に酒を飲み干すことで、より強い決意を示して約束事が成立するのである。

           ♪♪米汁呑忘憂♪♪