雑学

前回に続いて雑学を紹介します。

お酒

2007-04-10 08:52:47 | Weblog
「亀の尾」――「夏子の酒」として大ブレーク:
幻の酒米;
明治26年(1893)山形県庄内平野、大和村。大冷害に襲われた。阿部亀治は水口に植え付けた稲が青立ちしている中で、三本だけ黄金色のたわわな穂先を実らせている稲を発見した。“幻の酒米”亀の尾の発見の一瞬である。その実を採取して2~3年かけて固定した。この米の新種は冷害、風害に強く、しかも美味しいという評判が広がった。この米が敗戦を境に忽然と姿を消した。理由は「亀の尾」の耐肥料性がなかったからである。「亀の尾」は飯米として美味だったが、一方で酒米としても「これに勝るものはない」と酒造家から絶賛されるほどの「好適米」だった。
新潟県三島郡、和島村の久須美酒造の専務、久須美記廸氏が、「亀の尾」の籾粒が農水省の筑波・種子センターに保管されていることをつきとめた。1500粒を手に入れ植えられた。最初の年は40㎏とれた。
脱穀しとき、米表面に白い斑点が目立つ。当時の米検査基準では「着色粒」と判定される。つまり“見た目”が悪い。マイナス評価。等外と判定された。戦後に闇に消えた原因がここにあった。ところが炊いた御飯の美味しさである。粘りと香りの立つじつに美味しい御飯が炊き上がった。
政府の格付け制度で「整粒」「形質」「着色粒」・・・など、主として外観のみを判定基準としている。そのため、「容姿に恵まれない」「真に美味な」・・・「亀の尾」は消えていく運命となった。

「亀の翁(おう)」誕生:
(1) 独立した地蔵蔵の復活
久須美氏は「亀の尾」による酒仕込みをした。50%以上を削る精白。「心白」のみを残す酒造りだ。吟醸酒は10℃以下の低温、長期発酵と、手間も時間もかけた。4合ビンで6000本が完成。「亀の翁」と名付けた。一本4000円。米の仕入れ一表(60㎏)32000円という買い入れ価格を栽培業者に保証しなければならなかったからだ。
新聞などマスコミにも取り上げられ、「亀の翁」も幻の酒復活と評判を呼んだ。
「夏子の酒」という漫画を1988年より週刊「コミック・モーニング」で連載され人気を集めた。

           ♪♪米汁呑忘憂♪♪