コラボの広場

ワークススタジオに参加している建築作家、林産地、工房の仲間が集う場ができました。幅広い人たちの個性を感じてください。

今月の一枚(井上昌彦)

2007年03月03日 | 建築作家


「閑谷学校」
先日、岡山県備前にある閑谷学校を見に行ってきました。
1670年に藩主池田光政により創建された庶民のための学校です。
国宝に指定されている講堂(写真中央)や石塀は建築関係の間では有名で、私は今回初めて実物を見ましたがやはりすばらしい建物でした。静かな緊張感のある講堂内部や重厚で繊細な蒲鉾型の石塀は330年たった今でも新鮮なデザインです。もっと気に入ったのは敷地全体のランドスケープデザインです。入り口を入ったところに広がる大きな空地と少し高台になったところに大きな2本の楷の木、その背後に神社と聖廟が並びます。
講堂の奥には火除けのためにつくられた盛り土の小丘、それを上手く背景にするよう文庫(写真左)が静かに佇みます。それらの敷地全体を囲むように延び広がる石塀。
石塀の外には細長い矩形の池。こんに上手く廻りの自然環境と馴染みながらも、しっかり人の手で計画されたものにはなかなかお目にかかれません。これ見よがしの昨今の安ぽいヒューマンスケールランドスケープは色褪せて見えます。
講堂以外の建物も一つ一つが丁寧にデザインされていて、細かく見ていくほどに身の引き締まる思いでした。
一枚の写真ではなかなかその良さが伝わりませんので是非一度足を運んでください。京都からは車で2時間ほどでした。