時 代 を 視 る
WIN WIN代表 赤松良子
ニュースレター No.180
2015.3.12
選択制夫婦別姓問題が、最高裁大法廷で審理されることに
なった。この問題が夫婦間でのみならず、広く国民の間で
議論されるようになって何年になるだろう?
民法第四編 親族と第五編 相続とは、太平洋戦争後の
民主化の中で戦前のものとは全く姿を変えて制定された。
それは昭和22年の施行の民主主義憲法の下で、
男女平等=夫婦平等の理念に反することがないように
公的審議会はもとより、多くの国民の意見を聞いて作られた
と私も記憶している(その時17歳だったから参政権は
まだ無かったが・・)。
その新民法第四編 第二章婚姻 第二節婚姻の効力の
はじめ 第七五〇条「夫婦の氏」に「夫婦は、婚姻の際に
定めるところに従い夫または妻の氏を称する」と規定されて
いる。この条文は、明治民法と比べ、一見、夫婦を平等
においているように見える。(旧法では「妻ハ婚姻ニ因リ
テ夫ノ家ニ入ル」だから、どちらの氏を称するのか、話し合う
必要もない。)だが、ここでは夫婦が同一氏を称することのみ
認め、別姓を名乗ることは認めていない。そこでどうなるかと
いえば、殆どの結婚において、夫の姓を称すると決め、
妻は改姓することになる。私達が日常目にする知人からの
結婚通知を思えば一目瞭然、新夫の氏名の横に新婦の名が
書かれ( )の中に旧姓○○と書かれている。それで満足ならば
結構だが、改姓することに不便があったり、喜ばしくなかったり
することもまれではない。女性が親の扶養家族から直ちに夫の
扶養家族になる場合は、結婚で姓が変わっても、あまり痛
ようは感じないかもしれない。学校時代の友人に新しい姓で
名乗られても分からないので困るぐらいのものか。しかし、
女性が自立して職業をもちあるいはパスポートを持ち、
自分の氏名が大きな意味を持つ生活になれば、それが
変わるのはとても不便なことである。
事実婚というものがある。これなら、同一の姓を名乗る
ことは要求されない。
簡単でいいから、フランスはじめ諸外国ではそれは広く
存在している。大部分がそれだという国さえあるようだ。だが、
日本はそうではなく、結婚というのは式を挙げ、役所に届出
することと深く結びついている。事実婚では相続権も相互
扶助義務もないから、安心できないという心裡が強く働く
のだろうか。
とに角法律婚をする、しかし姓は変えたくないというケースは
女性が社会進出する度合いに比例して増加することは否定
できない。とすると、現民法の規定は、一見男女平等に見えて、
実は女性に多く被害を与えている規定なのではないか。
形式的に平等、事実上は差別という典型的なものであろう。
選択制別姓というのは、文字通り、すべての夫婦に別姓を
というのではなく、別姓にしたい場合にできるという制度である。
子の姓をどうするかという問題は出産の時に父母のどちらか
を選べるようにし、兄弟姉妹が姓が異なることを不思議がら
ないようにすればよいではないのか。社会は変わる、
家族の姓への考え方もフレクシブルであるのがよいでは
ないだろうか。