米ワシントンで29日(日本時間30日)に開かれた日米外相会談は、東日本大震災の話題のみならず、広範にわたった。まずは震災対応に重点を置きつつも、同盟の課題は徐々に普天間問題などに移りそうだ。
震災後、米国は大規模な日本支援に踏み切り、米軍と自衛隊の関係が緊密化。地震、津波、原発事故という「難しい三つの状況」(クリントン国務長官)の中で、日本を支える意思を行動で示してきた。ただ、米軍などの支援活動は縮小する局面に入っている。
松本剛明外相はクリントン氏に謝意を伝えたが、会談では、震災以外の話題の方が「非常に多かった」(外務省幹部)。クリントン氏は、5月9日にワシントンで予定される中国との戦略・経済対話について説明し、北朝鮮問題では「日米韓の強固な調整が重要」と指摘。リビア、チュニジア、エジプト、シリアの情勢にも言及した。
こうした会談内容は、これまで震災を理由に先送りされてきた日米の課題が、遠からず再浮上してくることをうかがわせた。
当面の懸案である沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題は、約30分間の外相会談では取り上げられなかったものの、今年前半に予定される菅直人首相の訪米前に次回の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を早期に開くことは確認。日米外交当局は、6月までに開く方向で日程の調整を進めている。そこで発表する共同文書には滑走路の形状として「V字案」の図面を添付することまで検討されている。
今回の会談で話題にしなかったのは、北沢俊美防衛相が5月7日に沖縄を訪問し、日米の検討状況に理解を求める直前で、「頭越し」に議論を進めれば反発しかねない沖縄に配慮したとみられる。とはいえ、震災対応をめぐる米側の貢献が基地問題に関する沖縄の姿勢の軟化につながっているとは言えず、日本政府と地元が折り合える見通しは立っていない。(ワシントン=鶴岡正寛)
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