いつのまにか、多臓器不全

普通より元気なオッサンがいきなり多臓器不全!?生死の境をさまよった約2か月間の闘病と、その後。

6月17日(水):「ファブ●ーズ」の謎

2009-09-04 23:06:19 | 救命センター入院3週目
いつのまにか、多臓器不全
6月17日(水):「ファブ●ーズ」の謎



-------------------------------------

[Tの定期メール]

朝:今朝は調子がよいといっていました。
人工呼吸器の酸素濃度30㌫でも昨日よりさらに力強く息をしていました。

夕:今日の昼と晩にコミュニケーションをとりました。昼に、あいうえお表を作って持っていきました。1番最初に
『ファブ●ーズ』
(いわゆる家庭用消臭除菌剤)といいました。
言い間違いかなと思うったので聞いてみると、言い間違いではないらしいです。
意味がわかりませんでした。次に
『おれK病院でどうなった??』
と聞いてきました。母さんがK病院で診られなくなったからK大病院で助けてもらったんやでというとしっかりと頷いていました。あとは今日何日だとかいろいろコミュニケーションをとりました。晩はかなり熱が高かったのであまりなにもせずに、そっとしときました。
それと、痰がつまったときなどや息苦しい時やトイレなどの時のために、特別にナースコールを持たせてもらっています。意識が戻っているので、苦しいときなどにすぐに来れるように特別に持たせてもらってもいいか、たのんでみました。意識のない患者さんが多いのでナースコールがないみたいだったので違うところからとってきてもらいました。
透析をして麻酔がより抜けたせいか、手をにぎる力が強かったです。推定握力25くらいでした。あと指で字を書くことも出来るようになりました。



[妻の記録]

 本格的にコミュニケーションをとった。あいうえお表でのコミュニケーションは大変だ。しかし、できないよりもよい。

 そこで何故か「ファブ●ーズ」という言葉を頻発する。
 夫の生活の中にふだんからこの日用品の出番はない。
 なのに、今ものすごい苦労をして(文字盤で言葉を伝えるのはとてつもない根性がいる)ここでそれを言うだけの価値があるのだろうか、と考えると、後日確認する必要がありそうだ。
 夫はK病院でどうなったか、と聞くので、危篤状態で危なかったんだけど、こちらの病院の救命センターに入れてもらえたので助かったんだと言った。
 
 さて、ナースコールを持たせてもらったのはいいのだが、押せない。
押せる時もあるが、押せるのは握り方がうまくいっているときだけのような感じがする。とにかく、意識が無いひとでも、生きるための必要な看護はうけているのだから、大したことではないのかもしれない。



[娘の記録]

 なんとかかんとかして、コミュニケーションをとろうということで、(なんといっても、口から喉奥まで人工呼吸器が入っているので頷くのも大変だからだ。)あいうえお表をつくって持って行った。
 それでもけっこう苦労した。まず最初は、あ行~わ行まで声に出しながら、指でゆっくりたどる。
「じゃあいくよ。あ、か、さ、た、」
そこで該当する行にきたら、すいかがパッチリと大きくまばたきをする。
「た行、やね。」
そこから、今度は下に下がっていって、
「じゃあ、た行いくよ。た、ち、つ、」
これもまた該当するところに来るとパッチリとまばたき合図。
「つ。つ、やね。」
と最終意思確認して、やっと一文字分かる。
 …と、こんな具合に、かなり時間をかけながら、ゆっくりと会話をした。そして記念すべき父の最初の言葉は…

「ファブ●ーズ」

 なんで!?
 脳のCTがやっぱりアレだったんじゃないかとか疑ってしまったが、父は至極まじめで、何度もそれを繰り返していた。
「まさか、ジョークじゃないよね?」
と聞くのだが、ジョークではない。
 私はついにフフッと笑いが漏れてしまい、真剣に会話を手伝っていてくれた看護師さんも、笑いをこらえて耳まで真っ赤にしていた。
 このファブ●ーズの謎は、この後もなかなか解明しないのであった。


[すいかの記録]

 文字盤を用いた会話ができるようになった。以前、手足が動かず声が出ないという難病の人と文字盤で会話をした経験が役に立っている。瞬きでイエスの意思表示をするわけである。
 まず、話題になったのがファブリーズの話である。痰を吸引してもらうとスッーと息が楽になる。これは吸引装置に気管支拡張剤のようなものが仕込まれている為であると思っていた。この気管支拡張剤が市販のファブリーズであるというのが妄想であったが、そのときは真剣に「ファブリーズ」と書き、気管支を拡張して欲しいと訴えた。これが大いに受けた。何の意味かさっぱり理解できない、目が覚めたのにまだ頭がうつろみたい、というわけである。後に自分の勘違いに気づいていく。ともあれ、文字盤による会話のおかげで、K病院入院以降の自分の状態や、みんなの近況、職場の様子が理解できた。このとき、今朝、レントゲンの際にふと気を失ったことも話した。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6月16日(火):意識が戻ると尿... | トップ | 6月18日(木):元気のないすいか »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

救命センター入院3週目」カテゴリの最新記事