[Tの定期メール]
今日昼に父に会ってきました。はじめは余り元気が無かったですが、外に連れていったのがよかったらしく、元気になりました。本人も外にでれてよかったといっていました。
今は水分制限がないので氷をいっぱい食べていました。水を飲むのよりいいらしいです。
あと貧血については明日エリスロポエチンという造血を促すホルモンを注射をするらしいです。このホルモンは腎臓から出ているホルモンなので、入院してからずっと腎臓を患っていたため、貧血の原因である可能性があるかららしいです。だからといって透析が必要だとか腎臓が悪化しているということもありません。現に先々週の金曜日からまだ透析はしていません。今後透析を離脱したままいける可能性は大いにあるらしいです。
[すいかの記録]
水分摂取量の記帳は続けなければならないが、制限がなくなった。
喉が渇いたとき、遠慮なく水分を取ることができ、ありがたい。が、水をがぶがぶ飲むより、氷を食う方がましと思う。長持ちするし、水分量が少なくて済む。そこでナースステーションで氷をたくさんもらい、冷蔵庫に備蓄する。
午前、先生の回診があったときも氷をポリポリ食っていた。ちょっと気になったので質問する。
「先生、氷をポリポリ食うのが好きなのですが構いませんか?」
「問題ないですよ」
これで一安心である。
今日は2人の先生が来られていたが、帰り際になにやら小声で確認している。
( 「氷をポリポリ食うような病気などなかったですよね。」
「聞いたことありませんね。」
「ですよね。」 )
とでも言っているかのようである。
私は氷ポリポリ変人のように思われたかもしれない。
そのうちだんだん目が覚めて来た。
ベッドなどを消毒に来るおばさんが、
「救命にいたんですってねえ。」と話しかけてくる。
「多臓器不全で死にかけましたよ。」などと答えて話をする。
何でも、おばさんの父親、兄さんが多臓器不全で亡くなったそうだ。
いや、世の中、結構多臓器不全でなくなる人がいるものだ。
つくづく私はラッキーだったと思う。
午後、T、Kばあ来る。
二人ともにぎやかで面白い。
車椅子で病院の庭園散策に連れ出してもらう。
夏の暑いさなかであるが、木陰はそうでもない。
風がさわやかに感じられた。
私が意識不明のときに見た夢の話をし、大いに盛り上がる。
[妻の記録]
エリスロポエチンの注射をしてくれることになった。
もともとそのつもりだったのか、申し出てやってくれるようになったのかはわからない。
とにかく、やってくれるのなら何でもよい。
貧血がよくなれば、体調もよくなるし、腎臓の回復も早くなるだろう。
一般病棟に移ったので、面会時間が変わった。
朝がなくなり、2時から夜の7時までが面会となる。
夫は入院してからありえないほど、氷好きとなった。
だから、まず重要なのは氷の確保。
一回ずつもらうのはあまりに不便。
100円均一で安いシールできる保存容器を購入し、そこに氷を多めにもらい、冷凍庫に保存するようにした。
足元がまだ少し不安だが、車いすを使って散歩もできる。
救命センターにいるときには厳重だったのに、
患者が散歩のための外出の許可をもらうため、
詰所で伝えたら、
「はあ?」
いちいち言いにきたんか?
という感じだった。
救命センターと違って、患者の行動は自由らしい。
看護師さんも用事があるとき以外はうろうろしたりしていない。
詰所にごっそりと集まっている。この雰囲気の違いに、少々戸惑う。
救命の看護師さんはみんな常に患者のそばにいて、
座って机に向かっていたりパソコンに向かっていたりする人はごくわずかだ。
手の空いている人はいなかった。
尿量の測定があるが、昔とちがって溜めるのではなく、トイレに置いてある測定器で名前のボタンを押していれるだけで、尿量と比重までわかるようになっている。衛生的だ。
なにはともあれ、
ここは静かでのんびりしている。
転棟だったのに、病院を移ったくらいの違いがあるが、
相変わらず同じPTのN先生はやってくる。
これは本当にありがたい。
ただし、救命の時は朝8時くらいになれば来たのだが、
今は午後のいつに来るかわからない。
夫が良くなるにつれ、200%夫のことばかりだった私の頭の中は、仕事の領域が入り込むようになり、少しずつだがもとどおりの世界に押し広げられつつある。