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Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

ありふれた家族の立ち回りをここまでうまく描くという見事な脚本だった『さくら』

2020年11月14日 16時51分07秒 | 映画


【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
 配給:松竹

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:106/171
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
音信不通だった父が2年ぶりに家に帰ってくる。
その知らせを受けた長谷川家の次男・薫(北村匠海)は、
その年の暮れに実家へ向かった。

母のつぼみ(寺島しのぶ)、父の昭夫(永瀬正敏)、妹の美貴(小松菜奈)、
愛犬のサクラとひさびさに再会する。
しかし、兄の一(ハジメ)(吉沢亮)の姿はない。

薫にとって幼い頃から憧れの存在だったハジメは、
2年前のあの日、亡くなった。
そして、ハジメの死をきっかけに家族はバラバラになった。

薫は幼い頃の記憶を回想する。
妹の誕生、サクラとの出会い、引っ越し、初めての恋と失恋。
長谷川家の5人とサクラが過ごしたかけがえのない日々。

やがて、壊れかけた家族をもう一度つなぐ奇跡のような出来事が、
大晦日に訪れようとしていた。

【感想】
次男の視点で描かれる本作は、
何やら彼の日記のような、小説のような、
そんな雰囲気の映画だった。

何か目的があるわけではない。
長谷川家に起こった日常を淡々と描いているだけの内容だ。

ぶっ飛んだ設定もなければ、コミカルなキャラクターもおらず、
ドラマチックな展開とは程遠い。
なのに、意外と面白い。
自分が日本人だから、こういう日本のファミリー映画に
親しみがあるっていうのもあるだろう。

でも、それ以上に、結末がどうなるのかわからないことに対する好奇心と、
この家族とそれを取り巻くまわりの関係性から生まれる
大なり小なりの事件の描き方がうまいなと思った。

ハジメとその彼女の出会いや別れ、彼の身に起きる悲劇。
美貴のハジメに対する想いと同性のクラスメイトとの関係。
薫の淡い恋愛事情。
そのどれもが邦画においてはめずらしくないものではあるんだけど、
そらへんにいる普通の家庭の中でもこういうことが起きるんだっていう、
ちょっとした意外性みたいなのが物語に程よい緩急をつけているように感じられた。

こういうありふれた家族をテーマにした"家族モノ"って、
いざ自分で書こうと思ってもすごく難しいんだよ。
ドラマ性がなくてつまらなかったり、変に長くなって間延びしたりして。

しかも、今回は愛犬もいるんだけど、別に犬を軸にしているわけでもないのに、
家族の中にうまく入れ込ませているのも絶妙な脚本力だと思う。

人によっては退屈に感じるかもしれない(いびきかいて寝てる人いたからな。。。)けど、
役者がベテラン勢ばかりでみんな演技がうまいのもあってか、
僕はけっこう楽しめたなー。

特に、小松菜奈が後半からちょっと狂気じみた感じになっていくんだけど、
その闇落ちした雰囲気を出すのがうまいんだよね。
吉沢亮もだんだん演技がうまくなっていってる気がするし。

とある家族のなんてことない日々と、その家族に降りかかる悲劇と、
そこからの立ち直りを綺麗に描けているのは見事だと思える作品だった。

あと、無性に餃子が食べたくなる(笑)

映画『さくら』オフィシャルサイト|11月13日(金)全国公開

映画『さくら』オフィシャルサイト|11月13日(金)全国公開

 

男女関係よりも主人公の哀愁が大きい『ホテルローヤル』

2020年11月14日 16時25分30秒 | 映画


【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
 配給:ファントム・フィルム

【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:166/170
 ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】
北海道、釧路湿原を望む高台のラブホテル。
雅代(波瑠)は美大受験に失敗し、
家業であるホテルを手伝うことに。

アダルトグッズ会社の営業、
宮川(松山ケンイチ)への恋心を秘めつつ黙々と仕事をこなす日々。
甲斐性のない父、大吉(安田顕)に代わって半ばあきらめるように継いだホテルには、
「非日常」を求めて様々な人が訪れる。

投稿ヌード写真の撮影をするカップル、
子育てと親の介護に追われる夫婦、
行き場を失った女子高生と妻に裏切られた高校教師。

そんな中、一室で心中事件が起こり、ホテルはマスコミの標的に。
さらに大吉が病に倒れ、雅代はホテルと、
そして「自分の人生」に初めて向き合っていく。

【感想】
個人的にはいまいちパッとしない映画だった(笑)
舞台はラブホテルだけど、エロさは一切ない。

コメディならお客のぶっ飛んだ性癖を垣間見れたり、
お客同士が変に絡みあったりで、爆笑できる気もするけど、
これヒューマンドラマなんだよね。

それぞれ事情がある客が訪れるも、エピソード自体は浅くて、
内容は理解できるけど感情移入するポイントはない。
そして、ラブホテルという場所にも関わらず、男女の情事も少ない。

まあ、それはいいんだけど、
映画の設定からセックスを通じて男女の在り方や愛について考える内容かと思いきや、
たまたま実家がラブホテルを営んでいた雅代の
成り行きの人生を淡々と描いた感じで、けっこう地味(笑)

最後の最後でようやく自分の人生は何だったのかってことに気づくんだけど、
それもラブホテルや男女関係、セックスにほとんどリンクしてないから、
なんか舞台負けしてる印象だったかなー(笑)

アダルトグッズの営業マンである宮川の言った
「男と女は時に体を使って遊ばないといけないと思ってます。僕はそのお手伝いをしています」
ってセリフはいいなと思った(笑)

『ホテルローヤル』公式サイト|2020年11月13日(金)公開

『ホテルローヤル』公式サイト。桜木紫乃の直木賞受賞作が、武正晴監督で待望の映画化。2020年11月13日(金)公開。