俺はずっと探していた。
死んだ人を蘇らせることができるという伝説の秘宝を。
世界が崩壊し、地形が変わったおかげで、
その秘宝が眠っているという洞窟が地上に顔を表した。
俺はどうしてもその洞窟に行かなければならなかった。
その秘宝を手に入れて、
彼女を……レイチェルを生き返らせたかったからだ。
あの日、俺とレイチェルはいっしょに洞窟に入った。
あるお宝を求めて。
普段はついてこないくせに、
その日に限って、彼女は俺といっしょに行きたいと言ったんだ。
おとなしいくせに好奇心だけはあるんだよな。彼女は。
普段と変わらないトレジャーハントになると思っていた。
お宝を手に入れて、彼女といっしょに家に帰れると思ってた。
でも、悲劇は突然起こったんだ。
岩場と岩場をつなぐ橋を渡ろうとした瞬間、
突然大きな地震が俺たちを襲った。
その衝撃で橋が突然崩れだし、俺は落ちそうになった。
「危ない!!」
そう叫んだ彼女が俺の背中を押してくれたおかげで、
俺は難を逃れることができたが、代わりに彼女が崖の下に落ちてしまった。
「レイチェル!!」
俺も急いで後を追った。
なんとか一命はとりとめたものの、
彼女は記憶を失っていた。
俺のせいだ。俺が悪いんだ。
彼女のこれまでの想いや人生、そのすべてを無しにしてしまったんだ。
レイチェルは俺のことまで忘れ、ついに俺は彼女に追い出されてしまった。
「あなたがいると家族みんなが辛い顔をするから」と。
俺はその日以来、コーリンゲンの村に戻ることはなかった。
しばらくして、コーリンゲンが帝国に襲撃されたと聞いた。
多くの罪のない人が殺され、たくさんの血が流された。
そしてレイチェルも、その犠牲になったのだ。
俺が着いたとき、すでにレイチェルの息はなかった。
いっしょにいた人の話だと、
彼女は死ぬ間際に記憶が戻り、俺の名前を呼び続けていたという。
俺は……俺は、何があっても離れるべきじゃなかったんだ。彼女の側を。
愛する人さえも守ることができなかった……。
俺は自分のすべてを呪った。
それからだ。
俺がこの秘宝を捜し求めるようになったのは。
洞窟の最深部にたどり着き、ついに発見した。
伝説の秘宝、「フェニックス」の魔石を。
でもヒビが入っていた。
かなりの年月が経ってしまっていた上に世界崩壊の衝撃。
ヒビが入ってしまうのも仕方のない状況だった。
これでは、もしかしたら奇跡は起こらないかもしれない。
レイチェルを生き返らせることはできないかもしれない。
でも、俺は試してみたかった。
たとえわずかでも希望があるのなら、やる価値はある。
魔石を手に入れた後、すぐにコーリンゲンの村に向かった。
レイチェルは、ある薬によって腐敗することなく、
美しい姿のままで静かにベッドに横たわっている。
フェニックスよ。どうかレイチェルの魂を呼び戻して欲しい。
そう強く願い、魔石を彼女の胸元に置いた。
何の反応もなかった。
やっぱり伝説は伝説のままだったのか?
それともヒビが入っているから……?
レイチェルはやはり戻ってこないのか……。
と思っていた次の瞬間、
魔石が突然光だし、頭上高く浮いたかと思うと、
その場で粉々に砕け散った。
そして、レイチェルが静かに目を開けた。
「レイチェル!!」
思わず叫んだ。
「ロック……」
レイチェルも俺の名前を呼んでくれた。
よかった。レイチェルが蘇った。
レイチェルはゆっくりと語りだした。
「ロック。私、すぐに行かなければならないの。
でもフェニックスがくれたこのわずかな時間で
どうしてもあなたに伝えたいことがあるの」
そう言うと彼女は微笑みながらこう言った。
「ロック。私、幸せだった。
あなたと出会えて、あなたと過ごせて、本当に楽しかった」
俺は彼女の言葉をただただ聞くことしかできなかった。
「だから、ありがとう。ロック」
「待ってくれ!行かないでくれ!!」
俺は涙をこぼしながら懇願した。
「レイチェル!すまなかった!!
側にいてやれなくて。辛い思いをさせて」
レイチェルは最後にニコッっと微笑むと、
「フェニックスよ!その力を取り戻し、ロックの力に!!」
と言って、その場から姿を消した。
俺はなりふりかまわず大声で泣いた。
残ったのは彼女の想いが込められたこの魔石と
彼女の涙。
レイチェル……本当にすまなかった……。
そして、ありがとう……。
死んだ人を蘇らせることができるという伝説の秘宝を。
世界が崩壊し、地形が変わったおかげで、
その秘宝が眠っているという洞窟が地上に顔を表した。
俺はどうしてもその洞窟に行かなければならなかった。
その秘宝を手に入れて、
彼女を……レイチェルを生き返らせたかったからだ。
あの日、俺とレイチェルはいっしょに洞窟に入った。
あるお宝を求めて。
普段はついてこないくせに、
その日に限って、彼女は俺といっしょに行きたいと言ったんだ。
おとなしいくせに好奇心だけはあるんだよな。彼女は。
普段と変わらないトレジャーハントになると思っていた。
お宝を手に入れて、彼女といっしょに家に帰れると思ってた。
でも、悲劇は突然起こったんだ。
岩場と岩場をつなぐ橋を渡ろうとした瞬間、
突然大きな地震が俺たちを襲った。
その衝撃で橋が突然崩れだし、俺は落ちそうになった。
「危ない!!」
そう叫んだ彼女が俺の背中を押してくれたおかげで、
俺は難を逃れることができたが、代わりに彼女が崖の下に落ちてしまった。
「レイチェル!!」
俺も急いで後を追った。
なんとか一命はとりとめたものの、
彼女は記憶を失っていた。
俺のせいだ。俺が悪いんだ。
彼女のこれまでの想いや人生、そのすべてを無しにしてしまったんだ。
レイチェルは俺のことまで忘れ、ついに俺は彼女に追い出されてしまった。
「あなたがいると家族みんなが辛い顔をするから」と。
俺はその日以来、コーリンゲンの村に戻ることはなかった。
しばらくして、コーリンゲンが帝国に襲撃されたと聞いた。
多くの罪のない人が殺され、たくさんの血が流された。
そしてレイチェルも、その犠牲になったのだ。
俺が着いたとき、すでにレイチェルの息はなかった。
いっしょにいた人の話だと、
彼女は死ぬ間際に記憶が戻り、俺の名前を呼び続けていたという。
俺は……俺は、何があっても離れるべきじゃなかったんだ。彼女の側を。
愛する人さえも守ることができなかった……。
俺は自分のすべてを呪った。
それからだ。
俺がこの秘宝を捜し求めるようになったのは。
洞窟の最深部にたどり着き、ついに発見した。
伝説の秘宝、「フェニックス」の魔石を。
でもヒビが入っていた。
かなりの年月が経ってしまっていた上に世界崩壊の衝撃。
ヒビが入ってしまうのも仕方のない状況だった。
これでは、もしかしたら奇跡は起こらないかもしれない。
レイチェルを生き返らせることはできないかもしれない。
でも、俺は試してみたかった。
たとえわずかでも希望があるのなら、やる価値はある。
魔石を手に入れた後、すぐにコーリンゲンの村に向かった。
レイチェルは、ある薬によって腐敗することなく、
美しい姿のままで静かにベッドに横たわっている。
フェニックスよ。どうかレイチェルの魂を呼び戻して欲しい。
そう強く願い、魔石を彼女の胸元に置いた。
何の反応もなかった。
やっぱり伝説は伝説のままだったのか?
それともヒビが入っているから……?
レイチェルはやはり戻ってこないのか……。
と思っていた次の瞬間、
魔石が突然光だし、頭上高く浮いたかと思うと、
その場で粉々に砕け散った。
そして、レイチェルが静かに目を開けた。
「レイチェル!!」
思わず叫んだ。
「ロック……」
レイチェルも俺の名前を呼んでくれた。
よかった。レイチェルが蘇った。
レイチェルはゆっくりと語りだした。
「ロック。私、すぐに行かなければならないの。
でもフェニックスがくれたこのわずかな時間で
どうしてもあなたに伝えたいことがあるの」
そう言うと彼女は微笑みながらこう言った。
「ロック。私、幸せだった。
あなたと出会えて、あなたと過ごせて、本当に楽しかった」
俺は彼女の言葉をただただ聞くことしかできなかった。
「だから、ありがとう。ロック」
「待ってくれ!行かないでくれ!!」
俺は涙をこぼしながら懇願した。
「レイチェル!すまなかった!!
側にいてやれなくて。辛い思いをさせて」
レイチェルは最後にニコッっと微笑むと、
「フェニックスよ!その力を取り戻し、ロックの力に!!」
と言って、その場から姿を消した。
俺はなりふりかまわず大声で泣いた。
残ったのは彼女の想いが込められたこの魔石と
彼女の涙。
レイチェル……本当にすまなかった……。
そして、ありがとう……。