噛み付くべきもの

両手が塞がっていたから、仕方なく口でくわえた
ちょっと歯を立てたら「パキッ」と音を立てた

見てみると液晶画面が、黒い細かな横線と
赤と青と何色かを混ぜた色の何本かの縦線が映っていた
しかしそれは、完全に液晶画面に固定されていた
ピクリとも動く様子は見せないでいた

携帯電話が壊れた
正確に表現するなら、携帯電話の液晶画面が壊れた
他の機能は、活きているだろう
外側の液晶にはデジタルの時刻表示が、いつもと変わりなく当たり前のように一秒ずつ時を刻んでいる
内側の大惨事なんて、知らん顔している風に見えてくる

しかし
なんだか当たり前のように、壊れて当然のように液晶が壊れたな
壊れる宿命だったんじゃないかと…
何故だか、そんな気持ちになる

だが、シャワーを浴びて出てきたら
当たり前のように、液晶がいつもの待ち受け画面に戻っているような気持ちにもなった
が…
そんなことはなく、完全に縦線と横線だけしか映っていなかった


噛み付く相手を間違ったんだろうな…