怪物はささやく
原作小説は2011年
映画の公開は2016年
日本公開は2017年
原作小説の作家は2007年にガンで亡くなっている
それを別の小説家が引き継ぎ
作品として完成した数奇な流れを持った小説
ジャンルは児童書となっている
児童書にしては、内容はとてもヘビーなのだが・・・
そして、その小説が映像化された
14歳の少年コナーの元に
イチイの木が人型に変化した怪物となって深夜にやってくる。
いつも決まった時間に・・・
そのイチイの木の怪物は
3つの物語をコナーに語りはじめる
コナーの置かれている境遇は
右を向いても左を向いても暗闇だ
母子家庭で、その母はなんとガンに蝕まれている
日に日に衰弱している母と一緒に生活を共にしている
学校にいけば、意地悪男子のグループに陰でいじめられる
夢では、お母さんが離れていってしまうような悪夢にうなされている
そんな苦しい状況の中にあらわれたイチイの木の怪物
14歳という年齢の少年が
否応なく母の死と向き合うことになる
悩み苦しみ憤り怒り
その感情表現を撮影当時は12歳の少年が表現しきっている
オープニングの悪夢から
目が覚めた時の少年の表情
それがこの映画の全てと言っても
嘘にはならない程の衝撃を受けた
怪物が語る物語は
絵画のような映像美が画面に広がる
現実とおとぎ話の
入り口と出口が溶け合ったような演出は
活字だけの小説では不可能な部分だ
この映像美も素晴らしい
そして小説の世界観もしっかりと
併せ持つという神業のような作りになっている
母と子の絆
これが、この映画のメインテーマだろう
主人公コナーとガンにおかされた母親
ガンにおかされた若い母親とその母
小説では、学校にヒロイン的なキャラクターが登場するのだが
映画では登場せずに
コナーと母との濃密な関係が強調されている
まるで恋人同士のようなシーンもある
全てのことがハッピーエンドになるわけではない
それを突きつけられる少年コナーの苦悩
そして、それを乗り越え
成長していく過程
心理学的観点からも
とても考えることが多い作品だ