みんなの僧

24で僧侶になり54で住職になるまで夢や悩みを聞き続けて30年。

やらと は虎屋。虎屋は老舗。老舗は革新の連続?とらや。

2011-02-06 09:01:14 | 日記
二回前のブログで 伝統が完成されて、完熟しているシキタリや文化及び その組織、例えば 相撲界や歌舞伎界は 現在や現代とだいぶ乖離している。つまりギャップがあると言うことだ。

そのギャップに混乱とストレスが生じて 海老蔵くんも角界の力士達も ギャップアレルギーとして 問題を起こしているのではないか?との ユーミンからの指摘と意見があった。

拙僧も 全くもって そう思う。

しかし、相撲界や歌舞伎界だけではなく、仏教界でも同じ事が言える。

表面的には その諸問題は浮かび上がってこないし、マスメディアの興味の対象にない。(でも、昨日の朝日新聞に長野の善光寺管主が素行不良で訴えられる。と出てたけど)

最近、浄土真宗本願寺派で、衆会と言う国会みたいな所で紛糾し、内閣にあたる総局が退陣したらしい。
仏教集団が国会もどきみたいな事をやってどうすんねん!と思うが、明治以降ここ百年間は そんな形式で教団をオペレーションしてきたみたいだ。

檀家数(真宗では檀家さんを門徒さんと呼ぶ)は近年急激に減少している。鎌倉・室町時代に始まった京都中心の布教・宗教活動も、首都が東京になって百年過ぎた今、その統括方法に制度疲労と問題が生じまくっても なんら不思議ではない。

浄土真宗も開祖が亡くなられて来年で750年だ。

巨大教団が750年続いた背景には、50年ごとに次の50年にむけ その制度や仕組みを改革し続けてきた事実がある。で、現代に至っている。

まさに不易流行の実践だ。

変えてはいけない本願と本質。変わる世の中に適合する制度改革。

当たり前で、大事な事だ。

そんな当たり前の事を 本願寺教団の天皇的役割の門主さんと、内閣たる総局で、次の50年に向けての改革案を衆会にはかったらしい。
で、国会ごっこ的になってるらしい衆会で 結局否決され、にっちもさっちも行かなくなった総局は退陣せざるを得なかったのだ。
たしかに現状が そこまで酷くなく まぁ大丈夫だとしたら、あまり改革したくないのが日本人の心理だ。
案には東京攻略も提案され、地方の衆会議員は 切り捨てだと騒いだらしいが、国家自体が小泉首相以来 ずっと地方は切り捨てられている。

宗祖の親鸞さんだって、最終的には 当時の東京、つまり京都を攻略するために帰京したのだ。

現状にしばられながらも、次の50年を知略するのが、知的組織だと思う。

新幹線が出来だのは昭和30年代初頭だが、その企画は すでに蒸気機関車をイギリスから輸入した明治初期から始まっていたのだ。

その企画名は弾丸列車構想!なんと素晴らしく過激な事か!

ちなみに計画では、東京~大阪の所要時間は 一時間だったと思う。

まだ、その所要時間はクリアしてないにしても、リニア新幹線で、その夢と企画は近々実現する。

なんと明治の官僚や国鉄マンはパッションがあり、先見性があったのか!と感動する。

次の50年の為の改革が頓挫するとき、その教団や宗派は その魅力と勢いを失う。

とかく、各立場や各地域の代表による集会政治は 衆愚政治に陥りやすい。

断じて その様な判断をしない様 祈るばかりである。
もし、見当違いの判断を衆愚で決した場合は、みんなの僧は 黙っちゃいないぞ。

温故知新!勇気をもって改革を断行すべし!だ!

だって親鸞さんは、熱心な信者が関東にぎょうさんいるのに、あえて帰京したのだから。

今を守るのは 各地域の寺と 各寺の僧侶と檀家さんで、未来を創るのは 未来を考え判断する立場の人たちの役割だ。
その人たちこそ、門主さんや総局の人たちだと思いまっせ。

みんなの僧は願う。今を生きつつ、未来を創らなくて 何が僧侶だ!とね。

大好きな虎やの店主が 以前ラジオで言っていた。

「伝統を守るっちゅうのは、開発と革新をし続けるっちゅう事ですわ。基本を壊さぬ様にしながら、時代の要請に応えていく。江戸時代と高度成長期とヘルシーな現代では、使う砂糖の種類も量も変えてるんですわ!」

何回聞いても、何回書いても、含蓄のある名言で哲学である事だろうか?

これが本当の「老舗」ですね。よっ!虎や!待ってました、うまい羊羹!