世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

習近平は北戴河会議で中国の対米レッドラインを確立するか

2021年08月10日 | 政治

習近平政権は、例年8月上旬に開催される長老との北戴河会議に臨む前に、米中対決の姿勢を固める必要があったのでしょう。また、年内にも予想される米中首脳会談に臨む準備の必要もあったのでしょう。

3月22日のアンカレッジで開催されたブリンケン米国務長官と楊潔篪国務委員兼外交部長による外交首脳会談は激しい応酬でしたが、その後の両国の対立は激しくなる一方です。7月25、26日アメリカのシャーマン国務副長官を天津に迎えた王毅外相との会談は、米中首脳会談の準備かと思いきや、会談はむしろ険しい空気の中で、中国側は高圧的に、米国が越えてはならぬレッドラインはこれだと提示したと言います。

そのレッドラインは、1. 中国独裁社会主義体制を転覆する企てはするな、2. 制裁関税・技術封鎖で中国の発展を妨害するな、3. 新疆・香港・台湾への内政干渉は辞めよの順だったそうです。考えてみれば2. と3. は1. の体制維持を危うくする行為であり、中国のレッドラインは中国共産党独裁の「社会主義体制」の維持すること一つにあることが分かりました。

しかし米国側は、トランプ政権時代のペンス副大統領演説以来、バイデン政権でも米国の対中政策の基本は、中国人民国家とは共存関係を維持するが、中国共産党政権は否定する、即ち一般人民と独裁政権とを分離する立場で一貫していますから、この中国が提示したレッドラインは受け入れられないものです。中国が最も守りたいものが、米国が最も危険だとして嫌うものですから、これから互いに譲れぬレッドラインを巡って本格的な全面対立が始まります。習近平主席は長老との北戴河会議で如何なる結果を得るでしょうか?
(以上)

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