世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

巨大IT企業GAFAには新たな秩序造りを

2019年03月20日 | Weblog
インターネット通信販売の世界一の企業のアマゾンが、通販サイトに出品する日本の事業者に不利益な取引条件を課しているとして、日本の公正取引委員会が調査を始めました。

アマゾンを含む巨大IT企業のGoogle、Apple、Facebook、Amazonの頭文字をとってGAFAと言いますが、EUでは、これらの大手企業は、中小企業に対する優位な立場を用いて不公正取引を行うだけでなく、インターネット取引で得た大量の情報を自社内に囲い込み、それを独占的に使用して、優越的企業活動をすることも批判しています。

日本とEUにおける上記二つのケースは、企業間の取引に関わる競争の公平性の問題ですが、更にEUでは、GAFAはインターネットを使って国境を越えたビジネスを行っているにも拘わらず、外国での事業活動に対して当然負担すべき税金を十分い払っていないと批判しています。

本社や事業所の存在で課税される税金は国家で把握できますが、インターネットを使って国境を越えて行われる経済活動への課税は不十分として、EUは新たにデジタル課税を検討していますが、これに対して米国はデジタル課税は米国企業に差別的だと批判して反対しているので、国際的調整は難航するでしょう。

これは企業間の問題を国家が調整するのと違って、国家と大企業の関係、更には国家と国家との関係になるので、解決には時間がかかるでしょう。

それでも、これは自由な資本主義経済に昔からある伝統的な対立ですから解決可能ですが、共産党独裁の中国が採用している疑似資本主義経済では、GAFAのような巨大IT企業は自由な活動を許されないのです。

と言いますのは、中国政府は国内の反政府活動を監視するためのインターネット上に「金盾」という巨大なファイアウォールを建てて、外国からのアクセスを拒絶しているからです。

他方、中国国内では中国政府監視できる中国製GAFA(例えば百度=Google、人人網=Facebook、淘宝=Amazon、微博=Twitter、優酷=YouTube、美図秀秀=Instagram)を育成して、世界のネットから隔離した世界を築いています。(ロシアも近く国内のインターネット通信を国外サーバーから切り離すとのことですから、体制維持のため独裁国家は、ネット世界での外部からの進入と、外部への流出をシャットアウトするのです。)

中国の疑似資本主義経済は、大企業は殆どは国営企業であり、民営企業でも経営陣内に共産党員を配置して政府が経営を監視できる制度を設けていますから、資本主義経済の自由主義圏のような国家と企業の対立や緊張関係はありません。国家資本主義と言われる所以です。

しかし、自由主義国世界では、独禁法違反、デジタル課税逃れ、個人情報の囲い込みと漏洩の防止など、自由がもたらす弊害を是正する措置を講じなければ秩序が維持出来ません。今のところ各国政府の対応がまちまちな状況ですから、速やかに調整して、巨大IT企業(プラットフォーマーと言う)の行動に秩序を与えることが必要です。
(以上)   
 
コメント (1)
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