世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

トランプ大統領は、彼の人格を批判する人達より卑しくない

2018年09月21日 | Weblog
ウォーターゲート事件の内幕を暴いてニクソン大統領を辞任に追い込んだボブ・ウッドワード記者が、今度はトランプ大統領の政権内部の混乱状況を暴いた本「恐怖 ホワイトハウスのトランプ」を出版して話題になっています。それと相前後してニューヨーク・タイムス紙が政権内部からトランプを批判する匿名論説を報道したので、世間ではトランプ政権は今にも崩壊寸前の状態かのように噂しています。

しかし、世間の評判というものは、報道された事実は間違いなくても、実体からかけ離れていることが多いのです。トランプ政権脆弱論もその一つです。

トランプ政権発足間もない頃から、トランプ大統領から国を守っているのはホワイトハウスの政府高官たちであり、外国の政治家では日本の安倍首相もその一人だというジョークを聞いたことがあります。政治家経験の皆無の大統領ですから、既存の政治家からみると素っ頓狂な言動が多いことは想像出来ますから、暴露本や暴露記事のような事実は嘘でないでしょう。

だからといって、トランプ大統領の政治の実体も駄目だというのは論理的に飛躍です。大統領に統治能力の有無を言うなら、就任以来一年半余りの大統領の政治的実績を評価した上で批判すべきで、大統領の言動が幼いとか、道徳的でないとかいうのは、政治批判として見当違いです。

トランプ大統領は就任間もなく、大幅減税、公共投資、規制緩和と矢継ぎ早に刺激的な経済政策を打ち出し、今や米国経済は絶好調にあります。移民規制政策もメディアでは不評ですが、米国民の多くは秩序の維持と雇用の安定のため支持しているのです。

対外政策では米国民第一主義で、貿易赤字削減策、外国の防衛負担増加要請、軍備費増強予算など、オバマ政権時代に放置されていた政策を次々と打ち出し、外交交渉を精力的に行っています。

他方、ブッシュ大統領のようなイラク攻撃の失敗、オバマ大統領のような優柔不断な(シリアでのレッドライン発言)軍事的失敗をしていません。

ホワイトハウス内の政府高官との意見の相違が外部に漏れることは好ましいことではありませんが、トランプ大統領のエスタブリッシュメントとの戦いが政権内部でも未だ続いていると見る米国民も多いのです。トランプ大統領は、国の利益より自己の利益を求める東海岸・西海岸のグローバリストたちよりは、中西部と南部の伝統的なアメリカ社会の利益を守ろうとして頑張っていると評価する国民も多いのです。

暴露本や暴露記事が大統領に統治能力がないと批判しても、憲法25条に基づき副大統領と閣僚がトランプ大統領を罷免しようとの動きも出ていませんし、米国議会も弾劾の兆しもありません。トランプ大統領は、ニクソン大統領のように他党を盗聴したわけでもないし、ヒラリー国務長官のように私用メール事件で嘘を吐いたり私腹を肥やすこともありません。

トランプ大統領の言動と行為を見ていて思い出した言葉があります。
戦後、池田勇人首相の求めで三井物産から国鉄総裁になった石田礼助が就任挨拶で国会で言ったという言葉、「自分は性格は粗にして野だが卑ではない」です。確かにトランプ大統領は言動はがさつですが、人格批判する人達より卑しくはありません。
(以上)
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