世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

迫る台湾危機に日本大手メディアは緊張感が乏しく報道しない

2024年04月05日 | 現代

戦火を交えている欧州と中東の戦争に人々の注目が集まり、それに日本大手メディアの報道が集中するのは仕方ありませんが、戦争勃発のマグマが溜まる台湾の危険を告げる報道には緊張感がないようです。

習近平は台湾統一に武力行使を排除しないと言い、バイデンの米国は台湾を守ると何回も言う、しかし両者ともその危機が差し迫ったものと考えているか疑わしいからです。しかし台湾の軍事衝突勃発のマグマは急速に高まっていると見ます。

その兆候は、軍事行動で見るよりも中国の国家経済が破綻する危機の度合いで見た方がよいのです。これが台湾危機の引き金になるかもしれませんから。

過去に途上国から中進国に発展した国が先進国入りに成功した例は意外に少ないのです。所謂中進国の罠に填まる国が多いのです。中国経済は、今その罠に填まっているのです。資本主義で成功するには政治的な自由、即ち民主主義体制に切り変える必要がありますが、共産党独裁では不可能だからです。

中国はそれに気づき、外資導入、技術搾取を試みますが、中国が共産主義体制を変えない限り資本主義国側ではそれを許しません。中国は今先進国のサプライチェーンからの排除、即ち世界の工場から隔離されつつあります。それは独裁政権による自由市場を無視した過剰投資が原因で、自由市場が攪乱されるからです。最近、イエレン米財務長官は訪中してそれを是正しようとしていますが成功しないでしょう。

先の中国全人代でGDP5%成長と軍事費7%増額を本年の目標に掲げましたが、これは民需での停滞を軍需でカバーする富国強兵策です。国民経済が停滞すれば、やがて軍事経済も行き詰まりして破綻に追い込まれること必定です。

国家経済の破綻で国内の不満が勃発するのを回避する手段は、対外進出するのが常套手段です。

習近平政権は台湾での親中政権の復権を図ろうと今年の台湾選挙に介入しましたが、不発に終わり、親米の頼清徳政権が勝利しました。これを警戒した米国は昨年から原子力空母をベトナムや、韓国に寄港させていましたが、更に今年は米大統領選挙まで一旦緩急に備えて米国空母のアジア派遣を増加して中国の軍事行動を牽制する方針です。

一方中国は最近、南・東シナ海で台湾とフィリピン船に強硬手段を乱用して軍事緊張を高めていますが、これも台湾新政権が米国依存を強めるのを牽制しているのです。今年初め、台湾副総統就任予定の蕭美琴が私的訪米したとき米中関係の緊張が高まりましたが、次の頼清徳次期総統の訪米時には、更に緊張が高まるでしょう。

最近、バイデン・習近平両首脳は電話会談を行いましたが、台湾問題では従来の立場を述べ合っただけでした。台湾を巡る米中対立は確実に高まっていますが、その背景と水面下の動きを日本の大手メディアの報道でみることは少ないのです。
以上

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