世相の潮目(改題 写真で語る)

話題を現代に求めて「世相の潮目」に改めて、写真はhttp://homepage3.nifty.com/wakoh/ を。

香港が中国に組み込まれて台湾が独立を目指す日は近い

2019年10月14日 | 政治
香港当局は逃亡犯条例改正案を撤回しましたが、香港人の民主化デモは治まる気配はありません。当初は香港人の現状の権利を守るデモで始まりましたが、早期沈静化に失敗して、いま掲げられている五つの要求は、即ち逃亡犯条例改正案の撤回のほかの四つは、デモ「暴動」認定の取り消し、警察の暴力に対する独立審査、デモ参加者の釈放、普通選挙の実施です。

最後の普通選挙の実施は、香港行政長官を直接選挙で選ぶと言う、前回の雨傘革命デモのときの要求で、一国二制度の核心に当たるものです。これが実現すれば、香港という限られた地域で中国としては初めての民主主義制度が作動したことになります。そしてそれが成功すれば、中国本土にも飛び火する可能性はあります。ですから独裁体制をとる中国としては極めて危険な実験であり、絶対認めたくないのです。

英国が香港を中国に返還するとき、一国二制度を求めたのは、アジアでの金融センターとして香港を活用することにあったと言われますが、今となっては民主政治の実験という政治的意味合いが大きくなっています。

一国二制度の下での金融センターは、中国としても外資獲得の利点があり得策として受け入れたのですが、この制度が中国共産党体制を否定する政治的実験場になることは想定外でした。他方、中国の共産党体制を民主主義体制に改変しようとする米国にとっては、香港人の要求は当然のことと受け止め、対中外交交渉で取りあげるつもりです。

香港デモ参加者には香港独立派、完全自治達成派、日和見主義者の三派があると言われますが、領土の拡大が皇帝たる資格の証しだという中華思想の習近平主席にとっては、領土の喪失となる独立派の要求は論外であり、完全自治達成派の要求は中国本土での民主化運動の誘因になるので拒絶するでしょう。

北京政府は香港行政当局を使って日和見主義派を懐柔してデモの収束を図りたいところですが、成功しなければ国際的批判を覚悟して、最後は実力行使に踏み切るでしょう。かくして、台湾吸収のモデルに想定していた香港の一国二制度は敢えなく消滅し、台湾が独立への意志を固める日は近づいています。
(以上)
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今でも中華秩序思想から脱却できない中国政治指導者たち

2019年09月30日 | 現代
現在の米中対立は覇権の争いと言いますが、正確には現体制を維持する側と否定する側との戦いなのです。

具体的に言えば、米国が世界貿易機構WTOの規則違反を繰り返す中国に制裁関税を課してその是正を迫るのに対して、中国は米国の制裁関税は自由貿易のWTOに反する行為だ、自由貿易(WTO)を守っているのは中国だ、と反論しています。そして、中国が行っている輸出補助金や知的財産盗用などは途上国の特権として認められるものだと主張しているのです。

このように世界の現行体制を否定する中国の態度は、今回の貿易でのWTO違反だけではありません。中国は国際海洋法による海洋秩序にも従おうとしません。

まだ記憶に新しいことですが、フィリッピンが提訴した南シナ海の島嶼の所有権紛争について、2016年7月オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、国際海洋法条約に基づき中国の主張を否定しましたが、習近平主席は昔から南シナ海の島々は中国のものだと言って判決を受け入れませんでした。

現在の国際秩序を維持している諸体制は、ウェストファリア条約(1648締結)に始まると言われます。その基本思想は主権国家は相互に対等であるとの立場から国際秩序を維持・形成しているものですが、中国は近代になっても国家間の相互関係を対等と見ない歴史観のままでおります。

近代以前、アジアでは中国は皇帝を戴く覇権国家として周辺国を属国扱いしてきました。その拠り所が中華思想でして、習近平主席は、今や偉大なる中華思想の復活を唱えていますが、WTOに加盟しながら規則違反を繰り返し、また国際海洋法条約に加盟しながら判定に従わないのは、その中華思想を実践しているのです。

この21世紀になっても自国は他国とは平等ではない、他国より優れた権力を持つ国だと考えるとしたら、時代錯誤も甚だしい限りですが、習近平主席の言動を見ると、本気でそのように考えているのです。

チベット、ウイグル、モンゴルを力ずくで制圧し、英国と約束した一国二制度による香港の民主化を否定し、アフリカなど貧しい途上国を借金漬けにして返済できないと港湾を借金の形に取るなど、国際社会での中国政府の行動は、200年前まで続いた中華帝国歴代皇帝の行いと変わりません。

現代の世界で近代以前の中華秩序を追求する習近平主席は気は確かなのか、と疑うのですが、中国政治に詳しい石平氏によると彼は本気なのだそうです。

石平氏はその著書「なぜ中国は覇権の妄想をやめられないのか」の中で次のように述べています。

「(彼等が中華秩序にこだわるのは)そこで彼らが「本物の中華皇帝」になることができなければ、別の誰かに取って代わられ、その身すら滅ぼされる、という歴史を何度も繰り返してきたからである。彼らは「本気」であり、中華秩序以外の考え方で世の中を捉える、という選択肢をもつていないのだ。近代国際秩序という感覚に慣れきって、中国もそのルールに従っているように感じられるだろう日本人にとって、彼らの考え方は、なかなか理解しにくいだろう。」
(以上
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文在寅政権の本性が露わになった今、日本の覚悟は経済でなく防衛だ

2019年09月08日 | 政治
現在、文政権は激しい反日の言動を繰りかえしながら、北鮮へのめり込み、中国へにじり寄っていますから、韓国は日本の敵性国家になったと前々回申しましたが、最近は軍事同盟国である米国にも異議申し立てを激しくしています。

朝鮮戦争で北鮮に飲み込まれるところを救済してくれて、その後も防衛と経済で援助を惜しまなかった米国に対して、韓国民は感謝もしなければ支援を頼む気持ちを失ったのでしょうか。果たして文政権の対外態度は、韓国人の民意を反映しているのでしょうか。そうだとすれば韓国人の考える国益とは何かを冷静に分析してみる必要があります。

韓国が反日、反米に歩み始めた事の発端は、鄧小平が中韓正常化に踏み切った時だと考えます。それは鄧小平が、血の同盟関係にあった北鮮に敵対する韓国と国交正常化(1992)をしたときです。

鄧小平は恭順の意を表さない金正恩を脅し、日米韓同盟に楔を打ち込む、一石二鳥の戦略として韓国との国交回復を企てたのです。嘗て、強い高句麗を征伐するのに手こずった唐は、新羅と結んで高句麗を挟み撃ちにして滅ぼした故事に倣ったのです。鄧小平の戦略が功を奏した結果は、2015年北京での抗日戦争勝利記念行事に金正恩は欠席し、自由主義陣営から朴槿恵大統領がただ一人出席したことに象徴的に顕れました。

中韓国交回復後、韓国経済は中国経済に依存して高成長を遂げ、今や韓国経済は中国市場なしでは成り立たなくなりました。米国が韓国内に高高度防衛ミサイルTHAADを配備しようとしたとき、中国はそれを阻止しようとして韓国に経済圧力をかけ、朴槿恵政権に三不政策(1.米国のミサイル防衛体制に加わらない、2.日米韓の安保協力が3カ国軍事同盟に発展することはない、3.高高度防衛ミサイルTHAADの追加配備はしない)を飲ませます。

戦略物資の貿易規制で日本が韓国をホワイト国から外したことを理由に、文政権が軍事情報包括的保全協定GSOMIAを破棄したのは、上記の三不政策の一環を実施したわけで、日米韓の防衛体制に楔を打ち込む、謂わば前哨戦なのです。

中国経済に依存し、中国政権にのめり込む文在寅政権は、現在、中国から三不政策の完全実施を厳しく求められていると思います。

と言いますのは、米露中距離核戦力全廃条約INFが廃棄され、今後は中国を含めた新IFN締結交渉に入るでしょうが、その前には米国は韓国基地にも中距離ミサイルを配備して交渉を有利に運ぶでしょう。嘗て東ヨーロパで米ソ間の中距離核戦力全廃交渉が行われたとき、ソ連はSS20ミサイルを、米国はパーシングⅡを双方の基地に配備して交渉に臨んだのですから、今から中国もその準備に入っている筈です。

中国陣営に事実上入った文政権は、中国からの圧力を頼りに米国に強気に出てきたのです。メディアは日韓関係の悪化を経済面だけしか見ていませんが、日韓関係の悪化の根本原因は、韓国の政治的スタンスの変更にあり、朝鮮戦争に始まる冷戦時代の日米韓の協力体制は、韓国の中国依存で壊れた結果なのです。

日本は遅くならないうちに米中の境界線が北緯38度線から対馬海峡に移る事態に備えなければなりません。朝鮮半島を巡る状況は、明治初期の時代に戻るのです。朝鮮戦争やベトナム戦争で日本人が米国に駆り出されて血を流さないで済んだのは、平和憲法のお陰でしたが、日本自身を守るために血を流すのは嫌だと言って平和憲法を守るのは最早無理でしょう。
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香港デモは今世紀動乱の引き金となるか

2019年08月28日 | 現代
冷戦後の世界には、これまでも世界動乱の火種が沢山ありましたが、香港の抗議デモが、その爆発の引き金となる可能性が高くなっています。

と言いますのは、時あたかも米中二大国が経済戦争の最中であること、そして経済戦争の原因が資本主義体制と共産主義体制の違いに根ざしていること、そして香港は両体制間の移行実験場所であるからです。

首脳間の意見の違いばかり話題になりました今月のフランスG7サミットでは、唯一全首脳が同意したテーマは香港問題でした。G7サミット終了後に発表された成果文書(共同声明に代わるもの)において、主権返還後の香港の自治を明記した1984年の中英共同宣言の重要性を強調しました。中国政府が2017年に同宣言はもはや意味をなさないと表明していることを否定して、香港市民の抗議活動への国際的支援を呼びかけたことになります。

香港から中国本土へ犯罪容疑者を引き渡す条例に反対するデモは、規模の大きさだけで無く、当局の延期という妥協案にも拘わらず、沈静化せずに長期化しています。香港市民が大規模なデモを長期間やめないのは、米中が対決する今が最後のチャンスと心得ているからです。

鄧小平が提案した一国二制度は、台湾統合に適用する方式であり、いま香港で試しているのですから、香港の抗議活動を固唾をのんで見守っているのは台湾の人々です。中国政府の言う一国二制度の現状を見て、台湾の人々は独立以外に道はないと覚悟したようです。と言いますのは、前回の地方選挙で大敗して再選は絶望的だった独立派の蔡英文総統の人気が復活しています。

9月11、12日に香港で一帯一路サミットが開催され、10月1日には北京で建国70周年国慶節が予定されています。それまでに習近平政権としては民主化を求める香港抗議活動の幕引きを図りたいところです。

万が一、香港デモが暴徒化して、中国共産党が抑圧しているウイグルやチベットに飛び火することになれば、米中経済戦争などの比ではなく、共産党体制が揺らぐことになりかねません。それを懸念して中国本土から武装警察を投入することも準備しています。

香港警察だけでなく、本土からの武力介入となれば、習近平政権は、人権問題に加えてG7サミットで発せられた警告を無視して国際的約束を破ったとして批判を浴びます。国内問題だった1989年の天安門事件ですら、国際的経済制裁を受けたのですから、中国は容易ならざる事態に陥るでしょう。
(以上)
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韓国は日本にとって同盟国なのか、敵性国家なのか

2019年08月05日 | 政治
告げ口外交と言われた朴槿恵前政権時代からも日韓の外交対話は必ずしも円滑ではありませんでしたが、2017年5月文在寅大統領が就任してから2年間余りの間、日韓の外交対話は成り立たなくなりました。韓国側は日本からの質問に返答しなかったり(徴用工問題を無視したり)、論点をすり替えたり(自衛隊機へのレーダー照射を威嚇と捉えたり)しています。

今回話題になっている貿易手続きで韓国をホワイト国指定から外す問題も、事の発端は事実確認の照会に対して韓国が3年間も返事をしないで放置していたことにあります。

生物化学兵器に転用可能な化学物質は、安全保障上、北朝鮮やイランには輸出しない国際的取り決めがありますので、日本から韓国に輸出する場合でも、輸出先の韓国から輸出禁止国に再輸出しないよう貿易管理する義務が日本にあります。その危険物質が韓国から再輸出された形跡を把握した日本が、事務的な確認を求めても返事をしないので、今後は日本が自国で管理するとしただけです。韓国が国内で使用するものまで輸出制限するわけではありません。

韓国自身も不正再輸出したケースが156件もあったと発表して、不手際を認めていますから、今後は管理を十分しますから、従来通りホワイト国で取り扱って欲しいと、まともに応じてくれれば、事務管理の問題ですから日本側も同意した筈でした。

ところが、いきなり日本は貿易自由化に違反して輸出制限をする、WTO違反だと国際社会に発信し、日本に抗議してきました。最初から日本は事務的話し合いを求めていたのにこれを無視し、日本がやむを得ず対策を執ると、話し合いに応じず実力行使すると叫ぶのでは、まともな外交関係は維持出来ません。


日韓両国の官僚が事務的に処理すれば済むことを、国際的摩擦の大問題にしてしまった原因は、韓国側の勘違いにあると思います。丁度、韓国側が徴用工問題、自衛隊機レーダー照射などで反日的な過激な行動を執っていた時期にホワイト国の取消しが重なったので、韓国側は日本がその仕返しをしたと勘ぐったことです。謂わば、韓国の反日独り相撲の結果なのです。

文政権はホワイト国の取消しを日本の報復と捉えて、今度は大統領自らが音頭をとって、韓国も報復すると叫んでいます。既に韓国民もデモなどで反日運動を盛り上げています。今回の貿易管理手続き問題は、事務的に解決可能なことなので、日本政府も日本国民も冷静に対処することにして、余りにも感情的な韓国の動きを呆れて冷静に眺めています。

覇権をかけた米中経済対立が厳しくなる最中です。日・米・韓は結束して中・露・北鮮と対峙しなければならない時に、米国の同盟国である日本と韓国が、このような些細なことで対立することは、双方の国益を損なうだけでなく、日米韓同盟の戦略的損失となることを憂います。

そこで、思いたくないのですが、ふと思うのです。果たして文在寅政権は日米韓同盟を維持しようとしているのかと。北鮮へののめり込み、中国へのにじり寄りを見ていると、韓国は日本にとって同盟国なのか、敵性国家なのかと。
(以上)
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日韓両国が普通の話し合いが出来る関係になるのは何時の日か?

2019年07月15日 | 現代
戦後の朝鮮半島は、北鮮の背後に居る中国とロシアに対して、韓国の背後に居る米国と日本が対立する地域です。それで日米同盟があり、かつ、米韓同盟があるのですから、日韓に同盟関係こそありませんが、日韓両国は同盟に準じた良好な関係でなければなりません。

しかし、戦後この方、多くの日本人は日韓関係が良好だった記憶がないのです。戦前に殖民地時代がありましたから、韓国の対日感情はその他のアジア諸国と比べて厳しいのは分かりますが、日韓基本条約で両国は正常化した以後は、現実に存在する利害関係を冷静に話し合い、妥協点を求める努力が欲しいのですが、そうはなりませんでした。

特に文政権になってから、韓国が日本との交渉で真面目に対応したことは少なく、約束しても守らない、対立点をずらして反論する、日本が譲れば更に譲歩を迫ります。多くの日本人は韓国の態度は子供が駄々を捏ねている状態だと感じています。

半世紀ほど前に結んだ日韓基本条約を反故にし、戦前の植民地時代の怨恨感情をもとにして、韓国が今日の政治経済問題を議論するのでは、日本も真面に話し合いが出来なくなります。隣国同士は仲が悪いのは世界共通ですが、韓国のように過去の怨恨の感情で議論しては良い結果は生まれません。

しかし、駄々を捏ねる今日の韓国政府の状態を許してきた日本にも責任の一端はあります。日本側には、共産圏と対峙するなかで、最前線で頑張っている韓国を応援したい気持ちがありましたから、韓国の理不尽な要求にも応じてきました。それが韓国の甘えを誘ってしまったのです。

しかし、今回日本政府が執った日韓貿易手続きの強化措置の変更には、深刻な事情がありました。文政権の北朝鮮に対する宥和政策が、国連決議に抵触する虞がある中で、韓国が日本からの輸入品を敵性国家に横流ししているのではないかとの疑惑です。韓国政府が安全保障上の規律を乱すと恐れた日本政府は、対韓貿易の管理体制を厳格化しようとしたのです。それで、半導体やデスプレイの原材料となるフッ化水素などの三品目の輸出承認を個別審査に切り替えたのです。

これら原材料の使用状況について、これまで日本側は韓国側に報告を求め協議を要請しましたが、韓国側から応答がないので、今回の措置は個別審査で実情を把握しようとしたものでした。現に、日本側がこの措置を執った後、韓国政府は軍事用に不正輸出されたケースが多数あったと発表していますから、日本側の措置は推測だけで行ったのではなく、事実に基づくものであり、むしろ措置を執るのが遅きに失したと言えます。

更に、不正輸出の事実を掴んだ日本政府は、8月には西欧諸国27カ国に与えている安全保障上友好国の「ホワイト国」の指定を韓国には取り消すとしています。それを韓国政府はは自由貿易に反すると、それにも猛反発しています。安全保障上の理由での貿易制限はWTO違反ではないのです。況して、韓国から優遇措置が外すだけで、その他大勢の国と同じ扱いにするのですから、不当に韓国を差別するわけでもありません。

これらのことを、朝日新聞は社説で「自由貿易の原則をねじ曲げる措置」と言い、毎日新聞も社説で「日本が重視してきた自由貿易の原則をゆがめるものだ」と批判していますが、例によって政府批判の為の批判で、新聞が正しい事実を報道しない悪い事例です。ところが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルまでが、日韓対決を貿易戦争と捉えて日本批判を始めたのには驚きました。欧米の有力紙でも実体を調査せずに、ステレオタイプの批判をして、多国間システムを破壊すると論ずるのですから、外紙のフェークニュースにも気をつけましょう。

と思って今晩(15日)のテレビを見ていたら、相変わらず、文大統領は貿易手続きで日本は協議に応じず、一方的に輸出管理を強化した。自由貿易を阻害する日本の行為は日本経済に重大な被害を与えるだろうと語っていました。

日韓両国が普通の国としての話し合いが出来る関係になるのは何時の日でしょうか?
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日米安全保障条約は不公平というトランプ大統領の発言を真摯に受け止めよう

2019年06月29日 | Weblog
トランプ大統領は、最近、米国メディアに問われて、日米安全保障条約では、もし日本が攻撃されれば、米国はあらゆる犠牲を払って日本を守るのに、アメリカが攻撃されても日本はわれわれを助ける必要は全くないのは不公平であると不満を述べ、条約破棄に言及したと言います。

更に、ツイッターで「なぜ我々は何の見返りもなしに、よその国のためにホルムズ海峡の航路を守らなくてはならないのか。自分の船舶は自分で守るべきだ」と言いました。

わが国の外交・安全保障政策の基軸である日米同盟は、今かつてないほど強固なものとなっています(防衛白書)と信じていた日本人にとって寝耳に水の驚きの発言です。日米事務当局は、必死にトランプ大統領の発言は根拠のないものと否定していますが、トランプ大統領の言い分の方が筋が通っているように聞こえます。

しかし、トランプ大統領の発言は短絡的だとの批判もあります。
国際的な安全保障というものは、目先の短期的な損得勘定で割り切れるものではなく、長期的に世界的規模で評価する必要があります。日本国内にある米軍基地に駐留する米軍は、アジア全域からインド洋、中東地域に展開する米国の軍事行動を支えているのですから、米国が一方的に日本を守る条約が不公平と決めつけて廃棄するのは、果たして米国の国益に叶うものか簡単に割り切れません。

他方、日米安全保障条約は不公平だというトランプ大統領の考え方に一理あるので、米国が今後そのように行動するという可能性があることも、日本人は心に留めておく必要があります。

トランプ大統領は、気候変動抑制に関するパリ協定から離脱したり、イラン核合意から離脱してイランへの経済制裁を再開したり、米国自らが提唱したTPPに加盟しなかったり、米国の国益の観点から思い切った行動を取るのを躊躇わないからです。

第二期目のトランプ大統領が、他国の防衛まで面倒見切れないので、日本の防衛は自分で考えてくれと言い出してから国防の準備に取りかかっても間に合いません。トランプ大統領の日米条約破棄の発言は、冷たいようですが、実は日本に国防の自立を促す親切な警告だと冷静に受け止めても良いのです。

塩野七生氏は「マキアヴェッリ語録」で次のように述べています

「すべての国家にとっては、領国を侵略できると思う者が敵であると同時に、それを防衛できると思わない者も敵なのである。君主国であろうと共和国であろうと、どこの国が今までに、防衛を他人にまかせたままで、自国の安全が保たれると思ったであろうか。」と述べて、軍事力は国家にとって不可欠であると説いていまます。                             (以上)
 
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米中貿易戦争の正体が見えてきた

2019年06月07日 | Weblog
米中経済戦争は制裁関税の応酬に止まらず、報復の範囲を関税以外にも広げる気配が濃厚で、妥結する兆しはありません。6月大阪で開催されるG20国際会議で、米中首脳会談が行われて、何らかの合意があるかも知れませんが、恐らく小休止になるだけです。

と言いますのは、米中が報復関税の範囲を広げる過程で、両国の対立が経済問題だけでなく、安全保障問題に及んできたからです。しかも、その対立点が中国の主権にかかわると中国側が言い出したからです。

数ヶ月続いた米中政府高官による協議が最終段階で行き詰まった原因を聞かれて、中国代表の劉鶴副首相は米国が中国の「主権」にかかわる問題に触れたから決裂したと答えました。

中国の「主権」とは何か説明はないので推測するしかありませんが、恐らく中国軍の存在と行動に制約を加える要求が米国との合意案に含まれており、米中政府高官協議では内々合意できていたのを、最終段階で習近平が蹴ったからだと思います。

米中協議で対立点として広く報じられている、中国による知財の強制移転については、中国は国内法改正で米国要求を受け入れる筈でしたが、国有企業への補助金の内容については対立が残っていたのでしょう。

ところで、現在、中国は習近平の主導の下、2016年から軍改革に着手し、7軍区を5軍区に統合し、陸軍を縮小して海空軍と戦略ミサイル、宇宙・サイバー軍を増強する「強軍路線」を推進しています。

その狙いは、来たるべき対米戦争で中国大陸に接近する米軍を迎え撃つには、南シナ海と東シナ海で制海権と制空権を確保することが必要です。しかし、これはあくまでも守りの戦闘です。攻撃の手段を持たなければ米国に勝つことはできません。そのためには戦略ミサイルと宇宙・サイバー空間を支配する支配力、即ち制脳権を確立することを狙っています。

米中交渉は対中貿易赤字を解消するために始まり、米国は中国にWTOルールの遵守を迫る交渉でしたが、今や米国は、IT通信機器のZTE、ファーウェイ、通信監視技術のハイクビジョン、ハイテラ、ダーハ、AI顔認証ソフトウェアのMEGVIIを米国の安全保障上の危険な企業と見てブラックリストに載せて、これらの企業を潰しにかかっています。

米国は、これらの中国のIT、AI産業に製造装置、部品・資材の販売を停止し、彼等の製品は購入しない方針を打ち出しました。これら企業と資本提携、技術提携している日米欧の企業にも米国と同調するよう要請しています。こうして貿易問題は安全保障問題に格上げされて、安全保障問題に変わりました。

米中貿易交渉の最終段階で、中国側が「主権」にかかわる問題と言い出して妥協を拒否したのは、制脳権の強化に役立つIT、AI企業への国の補助金を禁止する米国提案が含まれていたので、習近平は拒否したと推測するのです。

制裁関税合戦では中国側はかなり劣勢であり、中国経済は深刻な事態に陥りつつあります。本来なら、中国はここで米国と妥協して、経済力を回復してから再度、米国に挑戦する選択肢があると思います。何故なら総合力で米国の覇権に挑むには、現在の中国の経済力では未だ力不足ですから、鄧小平の韜光養晦の戦略が良いのですが、習近平は米国との勝負に出たようです。

5月29日付け人民日報で、中国は米国に対して「警告しなかったとは言わせない」という宣戦布告に相当する言葉を発表しました。

1962年の中印国境紛争、1969年の中ソ国境紛争(ダマンスキー島)、1979年の中越戦争、夫々の直前に、中国は同じ言葉を発しています。中国政権内には、対米妥協を求める意見もあるようです。習近平は、共産党内の権力闘争で余程追い詰められているのかも知れません。
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米中貿易戦争はWTO体制正常化のための戦いである

2019年05月12日 | 政治
米国は、米中交渉継続中にも拘わらず追加関税を発動しましたが、中国は交渉続行する意志を捨てていません。交渉決裂となれば、北鮮のハノイ首脳会談後のように中国がジリ貧に陥ることを十分理解しているからです。

端的に言えば、現段階では中国は米国に覇権を迫る実力は無く、覇権に挑む体制作りの最中なのです。ですから、もし決裂して体制造りの作業に支障が出ることだけは避けたいのです。国営企業への補助金廃止への抵抗に、それが読み取れます。

覇権に挑めるだけの実力を着けるには、中国は先進国の仲間入りが出来なければなりません。中国は途上国から先進国になるために越えなければならないハードルを未だ越えていません。世界第二位の経済大国になったと豪語しても、未だ中進国レベルなのです。

途上国が低賃金で工業化に成功すると、安い労働力の供給が鈍り出し、賃金上昇が起きて、輸出競争力が弱まり、輸出で外貨が稼げなくなります。そうなるとGDPの成長率が低迷し、一人当たりGDPが一万ドルの水準を超えられず、先進国になれないのです。それが中進国の罠と言われる現象で、いま中国はその罠に嵌まり掛かっているところです。

しかし中国は、この罠から脱出しようとして、知財盗用、輸出補助金、外資の国内市場参入規制、為替操作など、なりふり構わずWTOとIMFの規約に違反する行為を乱発しています。WTOやIMFから特典をを与えられて現在の中進国の水準に達したので、最早特典を受ける資格は無くなったのですが、特典を与え続けないのなら国際規約を破るという暴挙に出ているのです。

トランプ政権がアメリカファーストと言って貿易赤字解消のため制裁関税を中国に課したと言ったものですから、中国はその言葉尻を捉えて、米国は保護主義であり、中国は自由貿易主義だと国際会議で堂々と反論する始末です。一時、西欧諸国の中には、中国に同調する風潮も出るなど混乱もありましたが、ことの本質は、中国の不正を米国が正そうとしている、と言うのが米中貿易戦争なのです。

これを恰も米中の覇権戦争のように囃し立てるのは行き過ぎです。中国にそれ程の実力はなく、小手先の不正行為如きで世界の覇権が握れると思うほど愚かなことはありません。但し、不正を放置すれば戦後築かれた世界の経済体制は崩れていきます。それが覇権の変動に繋がりかねませんから、ここは中国の行動を厳重に食い止めなければなりません。

来る6月の国際会議G20で安倍首相は壊れ掛かったWTOの体制を正常化するため改革しようと提案しますが、これこそが米中貿易戦争を終わらせる決め手になります。
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英国はEU離脱した方が破壊されずに自分を取り戻せる

2019年04月13日 | 政治
英国がEUから離脱する期限が10月30日まで延期されました。英国の議会が離脱の条件を決められず無条件の離脱となる虞がでてきたので、EUにもその際の混乱を危惧する意見が強くなり、延期に同意したのです。

EU離脱を国民投票で決定しながら、何故英国議会はEU離脱を決定できないのか?
EU離脱は経済的には英国に不利益なのに、それでも英国民は大陸諸国と距離を置きたいと決心したのが国民投票でした。それなのに経済的利益を重視する勢力が英国議会の野党にも与党にも多数存在して、離脱に抵抗しているから離脱の実施条件が決まらないのです。

離脱実施の期限を延ばしても、大陸諸国との距離を執りたいとの英国民の総意は変わらないでしょうから、結局、英国はEUから離脱することになります。英国民の本心は、英国の共同体社会を異民族の破壊から守るためにEUから離脱するのだ決めているのです。

歴史の浅い移民国家のアメリカは多人種共存の国造りも可能でしょうが、既に数百年間、或いはそれ以上の年月を共同体として存続してきた社会に、外部から多数の異民族が纏まって侵入すると、既存の共同体をそのまま維持することが出来なくなり、最後は破壊されてしまいます。

そのことを最近英国で出版された本「西洋の自死」が分かり易く説明しています。国を捨てて故郷を失った難民たちが英国に多数流れ込んだら、今度は英国人が故郷を失う番だと。英国人にとって故郷を喪失するとなれば、EU離脱の経済的損失などと比較にならない程大きな損失です。

あの巨大なローマ帝国も、蛮族の軍事的侵入で滅亡したのではなく、異民族がローマ帝国内に大量に「移動」したからだと言います。自国の文化に同化する外国人は「移民」ですが、外国文化を持ち込んで固執する外国人は「移動」なのです。

英国がEU離脱に走るもう一つの原因は、合理的な説明が付かないのですが、英国民は大陸諸国民とはそりが合わないのです。

その兆候は当初からEU加盟のプロセスに現れていました。
英国はEUの前身のヨーロッパ経済共同体EECが1957年発足したとき加盟せず、1960年にEECに対抗してヨーロッパ自由貿易連合EFTAを結成しましたが巧く行かず、1963年EECに加盟を申請しますが、フランスに反対され加盟に失敗します。その後、1973年のオイルショックを受けて、EECが統合を強化してヨーロッパ共同体EUになった時にEFTAの仲間のアイルランド、デンマークとともにEUに加盟したのです。嫌々EUに加盟した上、通貨は自国通貨ポンドを維持して、EU共通通貨のユーロには参加しませんでした。

それに、英国が大陸諸国と距離を執るのに、もう一つ原因があります。
英国は、政治経済面でグローバルに連携できるもう一つの世界を持っているのが強みです。それを嘗て世界帝国時代のノスタルジアと見るのは間違いです。Canada、America、Newzealand、United Kingdom各国との経済連携を強めるCANZUK(各国の頭文字をとった名称で、Anglosphereとも言われる)構想があり、EUに縛られるよりも、こちらの方が将来性があるとの意見です。CANZUK諸国が加盟しているTPPは、WTOを補完する地域協定ですから、地域を拡大して英国もTPPに加入することも可能です。勿論、日本は歓迎するでしょう。
(以上)
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