世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

行政を疎かにして政治運動に励む小池知事は首長として失格

2017年03月25日 | 政治
築地市場を豊洲へ移転する決定に不正や誤りがあったかを確認する「百条委員会」が開催され、連日メディアが報じていますが、今までのところ新しい重大な事実は何も現れていません。

豊洲移転の当初からの目的は、老朽化している築地市場が災害に遭った場合、有害なアスベストが散逸する虞があること、地中に埋没している放射能物質等の有害物が地上に露出する虞があること、現在の市場の構造が開放空間なので非衛生的なこと、これらの危険を回避するためでした。

そして、鈴木知事、青島知事の時代から長い時間をかけて豊洲地区への移転が検討されていて、ようやく石原知事のとき決断が下され、その後、豊洲新市場は完成し、いよいよ移転開始の直前になって、新しく選挙で選ばれた小池現知事が安全性に疑問があるとして、その移転の実行を差し止めて、過去の責任を問うための審議を始めたのが現状です。

小池知事が安全性に疑問があるとして実行を差し止めたのは、地下から有害物質が湧出しているという事実だけで決めたのですが、この決定は東京都の社会経済全体に与える影響を考えると、果たして妥当だったか大いに疑問があります。

ここで行政者として心得るべき大事なことは、この時点で安全性の検討とは、築地市場に留まることと、豊洲市場に移転することとの、いずれがより安全かを比較することなのです。

と言いますのは、豊洲新市場は既に上屋も全て完成して、使用可能な状態ですから、豊洲新市場と現在の築地市場のどちらが安全かを検討する事が可能だからです。世の中に絶対的に安全なものはなく、全ては相対的安全です。豊洲新市場の建設前の更地の状態なら、その土地の安全性を検討する意味は大いにありますが、完成した新市場があるのですから、それを前提にして、二つの完成市場の間の比較検討こそ、現実を扱う行政としてはの安全性の検討になります。

最近、築地市場でも環境基準を超える砒素は検出されましたが、それに対して小池知事はコンクリートやアスファルトで覆われているから築地は安全だと述べたと言われます。そうであれば、最新の建築技術で完成した豊洲新市場は、築地より安全であると言わねばならず、小池知事は言うことと行うことが完全に矛盾しています。

両者を比較して築地より豊洲が安全だと分かれば実行するのが行政者の責任です。豊洲新市場の建設を巡る汚職などの政治責任は、時間を掛けて後でじゅっくり詰めれば良いわけです。

知事は行政の長であり、行政では前任から引き継いだ事態は所与として受け継ぎ、よりよき施策に励むというのが常識です。前任者の責任追及に急で、当面の自分の行政を疎かにしでは、責任回避だけで実行しなかった過去の人気第一主義の知事達と同じ過ちを犯すことになります。

安全なら直ちに移転に着手せよとの意見に対して、小池知事は築地の業者達は不安になって移転したがらない、安全と安心は違うのだと反論しました。確かに客観的な安全と主観的な安心は違います。

しかし、その不安を引き起こしたのは小池知事自身であり、彼女の発言を大々的に報道してきた大手メディアです。不安の解消に責任があるのは小池知事であり大手の新聞とテレビです。彼等には築地の業者と都民が安心できるよう説明説得する責任があります。

世間では小池知事は次回都議会議員選挙での選挙戦術のために、豊洲移転問題を弄んでいる、その結果膨大な都税の浪費を招いているとの批判が出ています。地方自治体の長である小池知事は、政治運動ではなくて行政実務に専念しなければなりません。
(以上)


建設中の豊洲新市場


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トランプ出現で明らかになったアメリカ大手メディアの実態

2017年03月10日 | Weblog
今回のトランプ大統領が出現して改めて学んだことは、アメリカの大手メディアの実態が報道の理想とは大分かけ離れたものであると言うことでした。

ということは、アメリカのメディアには日本人がメディアに期待しているような政治的中立性は乏しく、メディア自身が極めて党派性の強い政治組織であり、その政権攻撃は公正な報道というよりも、政治的主張であることを知ったことです。

ニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙、CNNテレビなど大手メディアは大統領選挙中、民主党のヒラリー・クリントン候補を応援していましたから、共和党のトランンプ候補が大統領に当選したとき、「トランプの勝利はヒラリーの敗北ではなく、メディアの敗北だ」と評されました。

しかも、敗北した筈の大手メディアは、選挙が終わった後もトランプ大統領を執拗に攻撃し続けているのは、未だ自己の敗北を認めていないからだと思います。

通常、新政権発足後100日間のハネムーン期間と言って、メディアは政権批判を控えるものですが、今回は選挙後も引き続き選挙戦中さながらの大手メディアからのトランプ大統領批判が続いています。その大手メディアは、トランプ大統領は国民の過半の支持を得ていない大統領だと考えているからなのでしょう。

トランプ大統領を勝利に導いたのは、白人の低所得者層で中西部のラストベルトの人々だと言われていましたが、事実は違いました。アメリカ大陸の東海岸と西海岸を除く全地域のアメリカ人全員がヒラリー候補よりトランプ候補を選んだのです。

この事実を大手メディアは見落としたのですが、未だにそれを認めたくないので、この事実を報道をせずに、新政権批判の政治的主張に走っているのです。政治家なら嘘をついても政治責任を自ら取らされることになるから結構ですが、メディアは政治責任を取れない立場であり、嘘をついては本業の事実の報道に背くことになり無責任です。

トランプ大統領がツイッターで大手メディアの報道をフェイクニュース(偽情報)と非難する背景には、このような事情があります。今までは情報発信は大手メディアの独占状態でしたが、ツイッターというソシアル・メディアが登場して、大統領はマスメディア抜きで大衆に直接語りかける事が出来ます。

今回の大統領選挙の後、有権者はソーシャル・メディア(SNS)に依存するようになっていて、大手メディアの売り上げは減少傾向にあるそうです。
大手メディアの中には「トランプ大統領がニュースを操作しようとする姿勢は報道の自由への脅威だ」と危機感を表す人もいるそうですが、語るに落ちたと言うべきです。

ツイッターは140文字で新聞、テレビに対抗できるのですから、これを機会に大手メディアの淘汰と改革が始まるかもしれません。これも所詮マスメディアの自業自得なのでしょう。
(以上)
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