世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

国内に難問を抱えたとき外の世界が見えなくなる大国、中国

2023年09月17日 | Weblog

今年2月中国スパイ気球が米国上空で撃墜されてから米中対決が厳しくなりましたが、その後は米国はブリンケン国務長官の訪中を始め、多数の政府高官、実業家トップが相次いだ訪中して対中関係の改善を働きかけています。

しかしながら中国側はシャングリラ会議での国防大臣の会談を拒否したり、米国の訪中会談への返答としての中国政府高官の米国派遣も全く無く、米中折衝を避けている状況です。更に、インドでのG20会議にはバイデン大統領は出席しましたが習近平主席は欠席しましたし、習主席は今秋の国連総会にも欠席予定ですし、その後米国で開催のAPEC会議への出席も未定とのことで、米中首脳会談の予定は立っていません。

中国は2049年までに米国のGDPと同じになり、2027年までに軍事力で米国に追いつくと豪語しており、習近平政権は世界覇権を握ることを究極の目標としています。しかしながら今年はゼロコロナ政策の失敗で国内経済は停滞し、折しも不動産バブル崩壊が始まる時期に遭遇し、国家経済は破産の危機にあります。

中国経済が破産の危機を乗り越えるには、米国を始めとした資本主義国との経済交流を盛んにするしか道はありませんが、習近平政権は逆の道を歩んでいるのです。毛沢東信奉者の習近平は鄧小平路線を否定して、国有企業優先し民間企業を圧迫しています。進出した外国企業も共産党の監視下置き、最近施行された改訂反スパイ法では企業に対して国家の安全と利益にかかわる情報提供収集の強化とスパイ行為発見の通報義務を課しました。これでは外資の誘致は難しく、自らチャイナリスクがあると喧伝しているようなものです。

中国の長い歴史を見ると、大国なのに国内に難問があるときには中国は内向きになり、外の世界を客観的に見ることが出来なくなるようです。高度成長期に始めた一帯一路の覇権拡大政策も世界各地で数多くの敵対国を作り陰りをみせていますが、周辺国と領土・領海で衝突して緊張が高まっているのも内向き大国の所為でしょう。中国政府は領土・領海を主張するシナ海に十段線を引いた新地図を、この時期に発表しましたが、折しも開催されていたインドネシアでのASEAN首脳会議では強い反発を受けましたし、領土紛争を抱えるインドでのG20首脳会議には習近平主席は出席出来ませんでした。

国際戦略学者エドワード・ルトワックは、大国でありながら「自分たちに都合の良い外の世界を発明」して行動する中国を、自閉症の内向き国家と述べています。
以上

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