世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

「排除」の説明が悪かったのでなく「排除」を徹底しなかったことが悪かった

2017年10月30日 | 政治
惨敗した希望の党、衆参に分解した民進党、辛くも難を逃れて生き残った立憲民主党。彼等は夫々党の立て直しに入りましたが、そこから漏れ聞こえてくる話は、他者の責任追及ばかりで、自らの反省の言葉は殆どありません。

特に酷いのは希望の党です。希望の党で当選した民進党出身者達の小池党首に対する批判は聞くに堪えないものです。しかもそう叫ぶ彼等の多くは比例で復活した者たちですから、小池党首の人気で当選したのです。小池党首を批判できる立場にはありません。

彼等の中には首班指名では立憲民主党の枝野党首にするとか、小池党首が同意を求めた政策協定書には安保法制を廃止検討する条項があるから、早速見直すとの発言も飛び出しています。これでは民進党の小川議員が口走った後で否定した「民進党再結集」というのは本音であり、そうであれば、今回の合流劇では民進党は偽装解党して希望の党を乗っ取ろうとしたと疑われれても仕方がありません。

そのような事態も小池党首は警戒していたのでしょう。ですから小池党首が政策協定書で入党希望者に対して党の基本方針に同意を求めたのです。さもなくば希望の党という名前の第二民進党が誕生するだけになったでしょう。

考えて見ますと、民主党から民進党に変わっても、彼等は党の綱領は作れませんでした。小池党首が同意を求めた政策協定書は希望の党の綱領みたいなものですが、これまで党の綱領無しで政党活動をしてきた民進党出身者には、その意味が分からなかったのかも知れません。

小池党首は入党者を選別するとき「排除」という言葉を使って不評を買い、一挙に人気が落ちたと言われています。党の基本方針に反する者を排除するのは当然のことでしたが、か弱い女性を演じて、都知事選挙、都議会選挙を圧勝してきた女性政治家が、国政選挙では急に上から目線で語るマッチョな女性に変身したので驚いたのでしょう。

希望の党の会合で、小池党首は排除に関する発言で迷惑を掛けたと陳謝しましたが、小池党首が反省すべきは、候補者の数が欲しい余りに排除を徹底しなかったことです。希望の党の民進党出身議員たちの小池党首批判を聞いていると、逆に排除の仕方が甘かった思えるのです。

政党政治では、国家運営に対して自ら主義主張を打ち立てて、同志を結集して政治活動するものです。その原点を忘れて、ただ落選という失業を恐れて再就職活動に奔走するサラリーマンのような人達は国会議員になる資格はありません。
(以上)
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今回の選挙結果で謙虚に反省すべきは大儀なき選挙と叫んだ大手メディアだ

2017年10月23日 | 政治
国会を解散したとき安倍首相は今回の選挙を国難に備えるためと主張しましたが、野党と大手ディアはの一部は、森友、加計問題を臨時国会で追及されるのを避けるための大儀ない解散だと決めつけて、選挙戦でもその主張を繰り返しました。

しかし、選挙の結果は自民党の大勝に終わりました。国民の多くが北鮮の脅威を身近に感じて、安保法制を整備して国難に備える安倍政権の政策を支持したのでした。

考えてもみて下さい。国民の生命、財産を守ることと、森友、加計問題で安倍首を信用できないこととを比べるのは、滑稽なくらい非常識なことです。

しかし、希望の党の小池党首は選挙演説で、依然として森友、加計問題を叫んでいましたし、立憲民主党の枝野代表は、安保法制に反対し、北鮮には圧力より対話で臨めと、非現実的な主張を繰り返しました。

選挙の翌日、安倍首相は「目標を大きく上回る力強い支持を国民からいただいた。背中を押してもらったことに感謝する」と述べましたが、それに対して朝日、毎日などは、選挙翌日の紙面一面トップの見出しで。安倍首相は謙虚に国民の声に耳を傾けよ大書しています。

彼等は、選挙前に森友、加計問題を大々的に取り上げて民意に問えと主張していたではありませんか。それを問うたところ今回の選挙では、それが偏向報道で事実ではないと知った国民が判断を下したのです。

謙虚に国民の声を聞いて反省すべきは、安倍首相ではなくて、偏向報道を行った一部の大手新聞とテレビです。

しかし、選挙翌日の新聞報道を見る限り、彼等は少しも反省はしていません。読者は益々離れるばかりです。
(以上)
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選挙戦に臨む劇場型小池政治の功罪

2017年10月07日 | 政治
大義なき選挙と騒いだのは、虚を突かれた政党が叫んだ悲鳴でした。小池都知事が旗揚げした希望の党は、政治資金も政治組織もないので、崩れかかった民進党のお金と組織を入手した俄作りの新党です。

民進党は党首を代えても支持率は低迷を続けました。小池知事が希望の党を打ち上げたら飛びつきました。都知事選挙で起きた小池旋風が国政でも再び起きると期待した民進党は、全員が藁をも掴む心境で希望の党に雪崩を打って飛び込みました。ところが小池党首も又、俄作り選別基準を作って難民救済ではないのだと、全員救済を拒みました。

国政選挙は国家の経営を任せる代議士を選ぶ選挙です。いま眼前で繰り広げられている政党の離合集散は、失職しそうな代議士達の就職活動のドタバタ劇です。就職のためなら従来の主義主張をかなぐり捨てて、当選できそうな政党に就職活動している中途採用者たちの転職活動なのです。

そのことを率直に語ったのは、民進党側で希望の党への入党公認作業を担当している玄葉光一郎元外相の言葉、「選定には代議士の人生が懸かっている」との言葉です。この発言は国家の運命や国民の生活より、代議士の個人の生活が大事だと言っているのと同じです。

一方、民進党の転職希望者を受け容れる希望の党も、したたかな採用基準をつくりました。希望の党へ入党したい者は「政策協定書」を提出しなければなりません。そこには安保法制の是認、憲法改正の支持、地方参政権の外国人付与に反対など、自民党の主張と同じ方針が書かれています。民進党の多くの代議士にとっては真逆の方針に切り替えろというのです。

国の安全保障では与野党の方針が対立することは望ましくありませんから、野党の希望の党が安全保障で自民党と同じ方針になることは望ましいことです。ですから今回の小池劇場のドタバタ劇で、民進党の多くの代議士が希望の党に入って、自民党と同じ安全保障政策を主張するようになれば大手柄であり、小池党首は褒められて良いでしょう。

一方、小池都知事は豊洲市場で行き詰まり都政の大改革も少しも進んでいません。総選挙に合わせて希望の党を立ち上げて、総理の座を狙う「野望の党」などと揶揄されています。希望の党の選挙公約「12のゼロ」政策も、俄作りで財政的裏付けもなく、民主党政権発足の時のマニフェストの焼き直しの観があります。

三年間の民主党政権には国民は懲りて今も忘れません。それが民進党の不人気の原因です。それなのに、希望の党の党員の過半数は、口先だけの民主党と言われた党の出身者たちになります。

希望の党へ入党するとき提出する「政策協定書」の第8号には、「希望の党の公約を遵守すること」と書いてあります。党本部からも信用されていない人達なのです。希望の党が一時的に大きくなっても長続きはしないでしょう。
(以上)
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