エコナ問題で、(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(通称NACS)が15日、意見書を福島瑞穂・内閣府特命担当大臣や松本恒雄・消費者委員会委員長、小泉直子・食品安全委員会委員長、長妻昭・厚生労働大臣に提出した。
消費者団体の一部が、消費者委員会などで非科学的な主張を行っていること、消費者委員会の議論の方向性に大きな問題があることを、本ブログでも伝えてきた。日経BPによれば、13日にあった消費者委員会の第3回会合では、委員から「政治的に利用されているという気もする」「こういう態度はおかしいのでは」などと異論が出たようだ。
日経BP記事1、記事2
NACSは「消費者団体はおろか消費者委員会までもが科学的とは到底いえない議論に終始している現状で、”消費者”を標榜するグループにもそうではない考えを持ったものがいることを示したい」と、意見書の文案を練り、出したという。
意見書の主な内容は次の通り(全文は、ここで読める)。
1.科学的知見による安全性評価に基づく判断がされることを望む
2.安全性について懸念が生じた場合、リスクの程度や他のリスクとのバランスについての検討や議論が十分なされないままに、販売停止や回収すべきとの主張が広まることに、大きな不安を感じる。食品にリスクがあることは周知の事実であり、このリスクを科学的知見に基づいて評価し、健康に影響がない程度にリスク管理がなされることが重要
3.事業者に対して、科学的根拠に基づいたわかりやすい情報と、消費者がどのような行動をとったらよいのかが明確になるような情報の提供を望む
最後に、NACSの姿勢として、こう書かれている。
私たちNACSでは、安全性について不確定な状況が発生した場合には、一方的に行政や事業者への批判に終始することなく、当該商品をどうすべきか、消費者への情報提供はどうあるべきか、関係者はどのような対応をすることが望ましいのかなど、持続可能な社会構築のための客観的かつ冷静な議論と協働による解決を提案したいと考えています。
また、食生活については、正しい知識を身につけること、バランスの良い食生活を送ること、適度な運動をすることを基本とすることの重要性を関係者とともに考えていきたいと思っています。
NACSも大きな組織だから、会員の意見をまとめるのは大変だっただろう。しかし、消費者委員会の動きを受けて迅速に対応した。立派だと思う。
「消費者意識」が必ずしも正しいわけではない。というよりも、科学的には間違っていることが多々ある。しかし、企業は客を否定できない。行政も消費者迎合、政治家に至っては、消費者に受けることしか考えていないのでは、と思える。不幸な状態だし、将来の国の行く末を思うと怖くなる。
今、消費者の要望に「おかしい」と指摘できるのはなによりもまず、消費者自身である。だが、歴史ある消費者団体はこれまで常に企業や行政批判を繰り返し、それが“仕事”だと思っている。現代社会においてはそれだけではすまないことに、早く気がついてもらいたいのだが、無理なのだろうか。
消費者団体の一部が、消費者委員会などで非科学的な主張を行っていること、消費者委員会の議論の方向性に大きな問題があることを、本ブログでも伝えてきた。日経BPによれば、13日にあった消費者委員会の第3回会合では、委員から「政治的に利用されているという気もする」「こういう態度はおかしいのでは」などと異論が出たようだ。
日経BP記事1、記事2
NACSは「消費者団体はおろか消費者委員会までもが科学的とは到底いえない議論に終始している現状で、”消費者”を標榜するグループにもそうではない考えを持ったものがいることを示したい」と、意見書の文案を練り、出したという。
意見書の主な内容は次の通り(全文は、ここで読める)。
1.科学的知見による安全性評価に基づく判断がされることを望む
2.安全性について懸念が生じた場合、リスクの程度や他のリスクとのバランスについての検討や議論が十分なされないままに、販売停止や回収すべきとの主張が広まることに、大きな不安を感じる。食品にリスクがあることは周知の事実であり、このリスクを科学的知見に基づいて評価し、健康に影響がない程度にリスク管理がなされることが重要
3.事業者に対して、科学的根拠に基づいたわかりやすい情報と、消費者がどのような行動をとったらよいのかが明確になるような情報の提供を望む
最後に、NACSの姿勢として、こう書かれている。
私たちNACSでは、安全性について不確定な状況が発生した場合には、一方的に行政や事業者への批判に終始することなく、当該商品をどうすべきか、消費者への情報提供はどうあるべきか、関係者はどのような対応をすることが望ましいのかなど、持続可能な社会構築のための客観的かつ冷静な議論と協働による解決を提案したいと考えています。
また、食生活については、正しい知識を身につけること、バランスの良い食生活を送ること、適度な運動をすることを基本とすることの重要性を関係者とともに考えていきたいと思っています。
NACSも大きな組織だから、会員の意見をまとめるのは大変だっただろう。しかし、消費者委員会の動きを受けて迅速に対応した。立派だと思う。
「消費者意識」が必ずしも正しいわけではない。というよりも、科学的には間違っていることが多々ある。しかし、企業は客を否定できない。行政も消費者迎合、政治家に至っては、消費者に受けることしか考えていないのでは、と思える。不幸な状態だし、将来の国の行く末を思うと怖くなる。
今、消費者の要望に「おかしい」と指摘できるのはなによりもまず、消費者自身である。だが、歴史ある消費者団体はこれまで常に企業や行政批判を繰り返し、それが“仕事”だと思っている。現代社会においてはそれだけではすまないことに、早く気がついてもらいたいのだが、無理なのだろうか。
「知っていたら使わなかったのに」という消費者も相当数いたように見受けられますから、消費者団体が大騒ぎ(空騒ぎ?)することは、議論の活性化や問題の認知に役立つ面もあり、必要悪なのかもしれません。
(もちろん、声がでか過ぎてミスリードするのは問題ですが・・・。)
今回の問題に限って言えば、エコナ以外にも食用油はいくらでも選択肢があり、また医薬品と違いリスクがベネフィットを上回ることはないと思いますので、わざわざグレーな食品を市場に残しておく必要もないのではないかと思います。
「医薬品と違いリスクがベネフィットを上回ることはない」と書かれていますが、適切に使われる場合において、医薬品は「リスクがベネフィットを上回る」ことはありえない(そうであれば認可されない)と考えています。
逆に、いわゆる健康食品には、安全性の試験が行われていなかったり不十分なものが多数あります。そちらの方が「リスクがベネフィットを上回る」可能性は高いと考えているのですが、いかがでしょうか。
また、エコナはトクホ申請のために安全性試験を行っています。エコナそのもの(もちろんグリシドールエステルも含んでいます)を投与したラットでのがん原性試験をクリアしています。私の解釈ではエコナは「シロ」です。
もしこれを「グレー」とするならば、「市場に残しておく必要もない」食品はかなりの数になると思います。少なくともがん原性試験を行っていない健康食品は全部「グレー」ですよね。
このことについてどうお考えになりますか?
言葉の使い方を誤まっていました。
おっしゃる通りです。
医薬品の場合は、副作用のリスクよりも治療効果のベネフィットの方が上回っているから許可されるのですよね。
健康食品の場合、健康危害を無視できるほど治療効果があるとは思えないので、副作用リスクのあるものは摂取すべきではないとい論旨で書こうとしていたものです。
失礼しました。
エコナに含まれるグリシドール脂肪酸エステルの含有量はロット間でかなりのバラつきがあり、どのくらいまでなら摂取しても大丈夫なのかが明らかにされていないことや動物実験と人では種差があることなど様々なことを考慮するとグレーというべきではないでしょうか。
「がん原性試験をやっていない」=「グレー」とするのはただの感情論ではないでしょうか。
「がん原性試験をやっていない」≠「グレー」ですが、「がん原性試験をやっていない健康食品がグレーな可能性」<「がん原性試験をクリアしている健康食品がグレーな可能性」なのは間違いないと思います。
シロだから100%安全ではないし、グレーだから100%危険なわけでもない。当たり前のことなのになぜかイメージが一人歩きすることに危機感を覚えます。
「がん原性試験をやっていない」≠「グレー」ですが、「がん原性試験をやっていない健康食品がグレーな可能性」>「がん原性試験をクリアしている健康食品がグレーな可能性」
の間違いです。大変失礼しました。
・・・ということで、『疫学批評』というブログの「花王エコナのトクホ失効届の提出についての私見」というハードボイルドでめっちゃカッコいい一文は、これまで私が読んだエコナ関連のものとしてほとんど唯一共感できるものでした。一読をおすすめします。http://blog.livedoor.jp/ytsubono/archives/51709064.html
蛇足ですが、NACSの方針で、「安全性について不確定な状況が発生した場合には」とありますが、坪野先生にならって「安全性と有効性」であったならば100倍最強だったのに。
エコナは証拠レベルに比べて、効能表示が過剰ではないかというご意見のようですね。
医師からの視点として、もっともな意見だと思いました。
しかし、医薬品的な強い薬効を求めるとそれに比例して副作用リスクも高くなる傾向にあります。
病気予防のために日々の食生活の中で作用はマイルドだけどその分副作用のリスクも低いものを取り入れたいという医薬品を飲むほどではない人たちのニーズに応えているのが健康食品だと思います。
健康食品に余り高いハードルを設定するのもバランスがよくないように思われます。
ちなみに健康食品は必要ありません。健康食品ばっかり食べても健康にはならんでしょう。普通に色々食べるのが基本で健康食品は人を不健康にします。エコナばっかりがんばって食べた人には、他の大事な栄養素が不足することも当然起こる。
人々が求めるからだという理屈は疑問符です。往々にして、健康食品の多くは消費者に過大な期待を抱かせすぎ。トクホもなくし、基本的な栄養指導をすべきですし、本当に効果を求めるならそれは薬でしかありません。トクホは他の食品より優れているわけではないのだから。
それらの健康食品は、もはや食品ではなくなってきたような感があります。
退廃は、医薬品形状の健康食品を許したときから始まったのかも知れませんね。
日頃の食事が大切なのは確かですが、「バランスのよい食事」を実践するのもかなり大変な作業のような気がします。
バランスを補正するためのドリンクだとかスナック菓子のような食品形状の「健康食品」があってもよくはないですか?