福島、茨城、栃木、群馬4県のほうれん草、かき菜に福島産の原乳……。国は、県単位での出荷停止を決めた。これまでの検査で、暫定基準を超える検体が見つかっているからだ。さらに、枝野官房長官は「今後、各地でモニタリングし、結果を分析したうえで必要があれば追加の指示をする」と会見で述べた。
これでは、「ほかの農産物も危ないよ」というシグナルを送ってしまったようなものだ。検査で超過の結果が出たものをたたき、さらに今後の検査結果で追加も……。まるで、もぐらたたきである。4県のほかの農産物も一気に売れなくなるのではないか、と心配だ。
リンガーハットは既に、「茨城県産の使用を当面見合わせる」と決めたという。ギョーザの原材料に茨城県産キャベツが使われていたとして、リンガーハットが20日、ギョーザ販売を中止したとデイリースポーツは写真付きで伝えている。
ホウレンソウは、葉を広げて植わっているので葉面に放射性物質がつきやすい。一方、キャベツは丸く葉を巻いて結球しているから、外側の葉にはついていても内側には放射性物質はつかない。外葉をとれば放射性物質は取り除けるし、実際に暫定基準を超過したものも見つかっていない。なのに、使用見合わせである。リンガーハットには「風評被害を引き起こしてはならない」という倫理観はないのだろうか。
基準超過で私が思い出したのは、農薬の残留基準に関して日本農薬学会の幹部が言っていた言葉だ。「基準は、転ばぬ先の杖だ」とその人は言う。基準を超過したところで、その食品が危険、というわけではない。しかし、基準超過は「要注意」の合図となり、農薬であれば「使い方の誤り」などを教えてくれる。転ばぬ前に、「気をつけてしばらくウォッチングしようね」と警告し、杖のように支えてくれる、というわけだ。
放射能汚染の暫定基準値も転ばぬ先の杖であろう。極めて安全寄りで設定されており、その基準値を超過した食品を少々食べた程度では、健康に影響はない。しかし、警告の役割を果たす。
その杖を振り回し、該当しない農産物までめった切りで廃棄、ということにしてはいけない。
ちなみに、こういう事すると、ブーメランで「日本全体の食品」に関する、諸外国の風評被害の発生になるかも、とか考えないんでしょうかね?(実際に、その懸念はある。)
ISO26000というのができたらしいですが・・・
実際に、厄介物のセシウムが高濃度のものが立て続けに検出してます。水道水・空気・食品などからの摂取、付着等を考えると食料が外部から入りにくい福島県の一定の地域についてはリスクが非常に高いのは事実です。
しかし、米軍の測定情報などある程度高濃度の汚染地域がわかっているはずなのに汚染地域の調査が遅いのも事実。
原発のおかげで、福島県の特定の地域の土壌はセシウムで基準以上汚染され、土壌の入れ替えも必要となるみたいですが、この地域に住んでいた人はもう戻れないでしょう。
蛇足ですが、関東の電気を提供するためにとは言え非常にお気の毒です。やはり、電力が足りないなら、リスクを他人に押し付けないように東京都に原発を10基ぐらい作って欲しいな。
基準超過しましたよ!?
サイエンスライターであれば、
「つかない」と断言された根拠を示すべきでしょう。
また、実際はそうでなかった事に対して、
このブログを見て、松永さんを信じて
昨日、キャベツを食べた人へのコメントをお願いします。
もちろん原発が昨日急に異常事態に陥ったわけでもなく、
昨日急にキャベツが被爆したわけでもありませんよね。
外部環境は随時変わっているので、松永さんに
「断言しましたよね」と攻撃的なコメントをされても、困られるのではと感じます。
暫定基準値を急遽作った為、今日食品安全委員会が開催される訳でして・・・
少し、お気持ちを落ち着かれては・・・
いずれにしても1回食べたくらいで大騒ぎするほどの影響は無いと思います。
政府やマスコミの報道について、
根拠の説明が不十分とか
量的な問題を考慮していないと批判する人が、
被曝量にも言及せず、
キャベツの外葉がどれほどの遮蔽力があるかも示さずに、
つかないと言い切ってしまうのは、
サイエンスライターを標榜する人としては、
詰めが甘いと思います。
あなたがおっしゃるとおり、
暫定基準だの食品安全委員会が今日開催されるなど
外部環境が変わっているのは事実ですが、
それをもって松永さんを擁護するのは、
発言の責任を他に押し付けることに他なりません。
松永さんには、発言にそれなりの責任があると思います。
松永さんご自身がいつもいわれているとおりに。
「影響はないと『思います』」ですか。。
何件検査してうち何件から基準超過がでたのか?
お調べになってからご発をされてはいかがでしょうか?
松永さんは、残留農薬の基準を引き合いに出されていますが、
農薬の検査は100件検査して1件基準超過するかしないかです。
放射性物質検査は、私が調べた範囲では、
かなりの確率で基準超過が出ています。
もちろん、それを成人がずっと食べ続けても影響は発現するかしないかのレベルであり、
私もむやみに煽るつもりはさらさらありませんが、
農薬検査と比較して論じるほどほどのんきな事態ではないはずです。
> 使用見合わせである。リンガーハットには
> 「風評被害を引き起こしてはならない」と
> いう倫理観はないのだろうか。
暫定の閾値の是非はともかく、間をおかずに閾値超過のキャベツが出てきたので、結果論とはいえ風評被害を生みませんでした。
企業が先を読んだ上での行動と思えば、当該企業を軽々に責められる話ではないと思います。
安全と“安心”を提供するのが義務と考える企業があるとすれば、それはそれで倫理的行動ともとれます。
こういったことに絶対の善悪はありません。
(個人的には、原料に制限をかけるのなら“3/XX以降に入手した原材料について、XXXXXは使用しない”とするのがよりよいやり方だったと考えます。)
先を読み間違えて(というか先読みを無視して)行動した結果が今回の騒ぎの発端であり、且つ騒ぎを拡大させている訳で、そっちの方がはるかに大きな問題と思います。
通りすがり様
> 外部環境は随時変わっているので、松永さん
> に「断言しましたよね」と攻撃的なコメント
> をされても、困られるのではと感じます。
先のことは誰にもわからないのは自明で、松永さんも御存知のはずです。
その上での発言なのだから、松永さんは断言を避けた方がよかったと思います。
食物に限らず、
汚染の影響が早く出るものあれば遅いものもある
強く出るものもあればほとんど出ないものもある
長く続くものあれば短いものもある
核種も様々、濃度も様々...
そもそも元凶がいつまでどの様な状態なのかもわからないのが現況です。
広く一般に情報を発信するのであれば、測定された分析値が瞬間で終わるのか、継続するのか、悪化するのか、そういった先のことを或る程度条件分けした上で話をするべきでしょう。
私は松永さんが全ての場合について考え、発信することを求めたりはしません。嫌みではなく、そもそも何らの発信義務の無い方ですから当然です。
別の通りすがり様
> 農薬の検査は100件検査して1件基準超過する
> かしないかです。
> 放射性物質検査は、私が調べた範囲では、
> かなりの確率で基準超過が出ています。
ですね。
農薬はちゃんと使えば超過することはまず無いし、使わなければほとんど出ないですが、今回はその辺一帯、作物の有無・種類関係無しに至る所に平時にはあり得ない量を撒いちゃった訳ですから(ここでは健康への影響は論じません)。
これが原発事故の恐ろしさの一端です。