テレビ朝日「報道ステーション」のメインキャスター、古舘伊知郎が降板。
TVジャーナリストとして斬れ味グンバツのしゃべくりは、前任者の久米宏がかすんでしまった。伝説化されていい。
出自は局アナとしてプロレス中継だった。アントニオ猪木が登場するチャンネルだった。一方のジャイアント馬場が主役のチャンネルは徳光和夫。リングをショーアップする中継の60分1本勝負となると文句なし。古館の圧勝だった。
プロレスが盛り上がっていた時代だ。いまではかっては人気レスラーがバラエティ番組に露出していて試合そのものの中継は???
「こいつの、掟破りのセリフは面白え~」心底感心した。実は掟破りも古館節のひとつだ。その有名なセリフを紹介しよう。
アンドレ・ザ・ジャイアント{大巨人}身長が225センチ、体重が240キロといわれたレスラーが入場。
実況席ではしゃべるプロレスがハイノートアタック。
「おーっとー、決戦の舞台は山津波のように割れております。これは20世紀の天地創造とでも申しましょうか。動く大陸、ひとり民族大移動、あるいは現代のガリバー旅行記、人間山脈とでもいいましょうかあ」
「ふたりと呼ぶには大きすぎる、ひとりと呼ぶには人口の辻褄が合わない。まさに鬼に金棒 、アンドレにムチの様相であります」
「われわれはビートルズも安保闘争も分からなかった。しかししかし、ビル・ロビンソンにドロップキックを放っていったアントニオ猪木の勇姿はしっかりと覚えている。もしも、まぶたにノドチンコがあるならば、その映像は胃カメラに明白に焼きついております」
「猪木よ、かくなるうえは藤波を愛で殺せ。さー、いかに戦うのか金太郎飴軍団、ネズミ算式に増殖しております。この状況は、あるいは全宇宙を睥睨しようとも、顔面だるま大師が地雷原の一里塚に待ち構えていようとも、正義のバージンロードは底無し沼だあ」
「東京のここ蔵前国技館の地下をぐんぐんめりこむと、そこはサンバざわめくブラジルになりましょう。おおっと、どうする地獄谷のお茶の水博士に、悪の正太郎くん。奈落の場外には、ささやかな幸せだってない!」
とまあ、いいとこ取りをつなげつつ、毒スパイスを加えるとこんな調子になる。
個人的なことになると「私、プロレスの敵です」・・・味方ではなかった。カッコつけていうとあんな乱暴な世界は嫌いだ。
エンタメにしてはめちゃ痛そうだし。
プロレス記者からド痛快エピソードを聞いてバカ笑いするのは好きだった。
たとえば、四国の地方巡業のあるよるの特大の一発テロ事件。
かの大巨人が試合中にどでかい屁を放った。巨砲とともにマイナス香気が全会場を襲った。
大巨人と対戦相手は、鼻をつまんで狂い笑いをしつつのたうち回る。観客だって悲惨な被害者だ。パニックになってガス中毒の死者多数!
それはそれで笑える話なのだが、新聞の見出しになると、<大巨人、ガス爆弾の奇襲>とくれば冷笑するしかない。
「この間の古館の場外余興には腹がよじれたぜ」こんな報告を聞いた。
当時。アントニオ猪木夫人だった倍賞千恵子が映画で大胆なヌードになって話題になっていた。
「夫婦で裸商売をしてるぜ」こんな陰口がささやかれていたタイミングで、とある余興で仮想実況大中継を展開したという。
「リングではなくて、ベッドの猪木×倍賞千恵子戦の中継よ。古館があの調子で暴発してさ。いやーおかしかった。超一流の至芸てなもんだ。猪木本人だって涙ぼろぼろ流して喜んでたぜ」
まさしく世紀の肉弾桃源郷の最前線リポート。その場にいない自分が情けなかった。呪った。
それから数年後。「私、プロレスの敵です」といえない不本意な状況に追い込まれた。なんともはや、掟破りの古館節のコラムを書く破目になってしまった。ま、ゴーストライトといいましょうか。
毎週ごとに会ってテーマを決める。ぼそぼそ笑うことなくクールにおしゃべりして、そいつを破天荒に盲爆、無理やり破戒僧ワールドに仕上げる。
・・・ぐるじいしんどい作業だった。
彼がテレビ朝日を退社する時期で「おれさ、これからフリーになってメガネなしでやろうと、どう思う」なんて聞かれたりしたけれども、わがゴーストライト史上、あんなに苦労をしたでっち上げ作業はない。
古舘伊知郎は並みの異才ではない。プロレスからニュースキャスター、そしてさらなる展開へ。
原点を聞いたことがある。東京・板橋の中流家庭に育った。自室にはウッドベースがあった。
デブ少年で「二足歩行する劣等感」だったという。肥満児の屈折が知識欲を拡大して、そのバランス感覚を根っ子にした饒舌怪人。
といったわけで「私、古館節の味方」です。
TVジャーナリストとして斬れ味グンバツのしゃべくりは、前任者の久米宏がかすんでしまった。伝説化されていい。
出自は局アナとしてプロレス中継だった。アントニオ猪木が登場するチャンネルだった。一方のジャイアント馬場が主役のチャンネルは徳光和夫。リングをショーアップする中継の60分1本勝負となると文句なし。古館の圧勝だった。
プロレスが盛り上がっていた時代だ。いまではかっては人気レスラーがバラエティ番組に露出していて試合そのものの中継は???
「こいつの、掟破りのセリフは面白え~」心底感心した。実は掟破りも古館節のひとつだ。その有名なセリフを紹介しよう。
アンドレ・ザ・ジャイアント{大巨人}身長が225センチ、体重が240キロといわれたレスラーが入場。
実況席ではしゃべるプロレスがハイノートアタック。
「おーっとー、決戦の舞台は山津波のように割れております。これは20世紀の天地創造とでも申しましょうか。動く大陸、ひとり民族大移動、あるいは現代のガリバー旅行記、人間山脈とでもいいましょうかあ」
「ふたりと呼ぶには大きすぎる、ひとりと呼ぶには人口の辻褄が合わない。まさに鬼に金棒 、アンドレにムチの様相であります」
「われわれはビートルズも安保闘争も分からなかった。しかししかし、ビル・ロビンソンにドロップキックを放っていったアントニオ猪木の勇姿はしっかりと覚えている。もしも、まぶたにノドチンコがあるならば、その映像は胃カメラに明白に焼きついております」
「猪木よ、かくなるうえは藤波を愛で殺せ。さー、いかに戦うのか金太郎飴軍団、ネズミ算式に増殖しております。この状況は、あるいは全宇宙を睥睨しようとも、顔面だるま大師が地雷原の一里塚に待ち構えていようとも、正義のバージンロードは底無し沼だあ」
「東京のここ蔵前国技館の地下をぐんぐんめりこむと、そこはサンバざわめくブラジルになりましょう。おおっと、どうする地獄谷のお茶の水博士に、悪の正太郎くん。奈落の場外には、ささやかな幸せだってない!」
とまあ、いいとこ取りをつなげつつ、毒スパイスを加えるとこんな調子になる。
個人的なことになると「私、プロレスの敵です」・・・味方ではなかった。カッコつけていうとあんな乱暴な世界は嫌いだ。
エンタメにしてはめちゃ痛そうだし。
プロレス記者からド痛快エピソードを聞いてバカ笑いするのは好きだった。
たとえば、四国の地方巡業のあるよるの特大の一発テロ事件。
かの大巨人が試合中にどでかい屁を放った。巨砲とともにマイナス香気が全会場を襲った。
大巨人と対戦相手は、鼻をつまんで狂い笑いをしつつのたうち回る。観客だって悲惨な被害者だ。パニックになってガス中毒の死者多数!
それはそれで笑える話なのだが、新聞の見出しになると、<大巨人、ガス爆弾の奇襲>とくれば冷笑するしかない。
「この間の古館の場外余興には腹がよじれたぜ」こんな報告を聞いた。
当時。アントニオ猪木夫人だった倍賞千恵子が映画で大胆なヌードになって話題になっていた。
「夫婦で裸商売をしてるぜ」こんな陰口がささやかれていたタイミングで、とある余興で仮想実況大中継を展開したという。
「リングではなくて、ベッドの猪木×倍賞千恵子戦の中継よ。古館があの調子で暴発してさ。いやーおかしかった。超一流の至芸てなもんだ。猪木本人だって涙ぼろぼろ流して喜んでたぜ」
まさしく世紀の肉弾桃源郷の最前線リポート。その場にいない自分が情けなかった。呪った。
それから数年後。「私、プロレスの敵です」といえない不本意な状況に追い込まれた。なんともはや、掟破りの古館節のコラムを書く破目になってしまった。ま、ゴーストライトといいましょうか。
毎週ごとに会ってテーマを決める。ぼそぼそ笑うことなくクールにおしゃべりして、そいつを破天荒に盲爆、無理やり破戒僧ワールドに仕上げる。
・・・ぐるじいしんどい作業だった。
彼がテレビ朝日を退社する時期で「おれさ、これからフリーになってメガネなしでやろうと、どう思う」なんて聞かれたりしたけれども、わがゴーストライト史上、あんなに苦労をしたでっち上げ作業はない。
古舘伊知郎は並みの異才ではない。プロレスからニュースキャスター、そしてさらなる展開へ。
原点を聞いたことがある。東京・板橋の中流家庭に育った。自室にはウッドベースがあった。
デブ少年で「二足歩行する劣等感」だったという。肥満児の屈折が知識欲を拡大して、そのバランス感覚を根っ子にした饒舌怪人。
といったわけで「私、古館節の味方」です。