不良家

駄文好む 無教養 くすぶり 時々漂流

ビルマ哀歌

2008-05-11 19:05:18 | 
ビルマ{ミャンマー}には3度ほど入った。民主化への動きを、そのニオイを少しでも嗅いでみたい・・・
最初はタイのメーサイから川の上流からボートで上陸、国境侵犯して2,3時間ほどぶらぶらして戻った。
「黄金の三角地帯」と呼ばれる麻薬の闇流通のポイントだ。ちょっと散歩しただけ。

2度目も同じようなもので、やはりタイのメーホンソンという少数民族エリアから入った。
トレッキングが出来るとのことで、デスクひとつの旅行社のネーチャンに声をかけたら、バイクの後ろに乗っけられて森林に入った。

HONDAはぐりぐりと高低差のある奥地にわけ入り、死ぬかというほど怖かった。後ろの席でネーチャンにしがみつこうとすると、殺意を持った言動で拒否される。
バイクの最後部にあるパイプに両腕を硬直させてからだをキープするしかない。HONDAの高性能を恨んだ。

そこらはビルマ領内で、山岳民族の村があった。表敬訪問した。雑貨屋でインスタント・ラーメンの昼食会だった。
途中で滝があった。水浴びをしてからネーチャンに声を掛けた。全裸でちんちんであいさつした。返礼は手荒いものだった。無数の石を投げられた。
ここまでは遊びだ。国境侵犯ごっこ。無断で侵入したといっても、渡り鳥みたいなもんだ。

ちなみにビルマという国名を軍事政権が勝手にミャンマーと変え、首都ラングーンをヤンゴンに変えた。こっちは認証していないのでビルマで通す。

3度目はちゃんとビザを取ってラングーン空港から入国した。聞いてはいたが、入管で10ドルをふんだくられた。
当初は20ドルと吹っかけてきたが、相場は10ドルとの情報を聞いていた。
国の玄関口で露店の値引き交渉と同じことをした。現地通貨の強制両替もさせられた。おり込み済みだったとはいえ、ナショナル空港で旅行者から堂々と通行税を巻き上げる国・・・

ちょいとベンガル湾の海沿いなんぞに、とバスで片道10時間もかける小旅に出かけた。バスはスワラジの大河をフェリーで渡る。
川幅は2キロくらいあった。ぼんやり茶店で乗船を待っていると、ここでまた政府役人という盗人が対面にすわって通行税を出せときた。また5ドル。
冗談じゃねぇ、ばかやろ。

結局、払ってしまった。理不尽な悪代官に逃げ道をふさがれている。このままラングーンに帰るバスは翌日になってしまう。泊まるとしても宿がない。さらに反逆の旅人はそのバスに乗っけてくれない。バス会社が軍政の役人ににらまれる図式だ。

北朝鮮もそうだが、軍事独裁国家には逆らえない。まして旅人風情で。
といっても、現地で聞いた話だが、こんな理不尽なカネは払うもんかと強行突破したヤツがいたという。あるドイツ人が対岸まで泳いで渡河したという。
みんなそのドイツ人の反軍政の気骨に敬意を払っていた。フツーのビルマ人も。

卒時ながら、やつがれがエネルギーあふれる血気さかんな年代だったら決行したやも知れぬ。それを敢行するタフな青年がいまのニホンにはいないのか・・・青年よ、大河を渡れ。
そんなアピールには絶大な支持を表明する。偉そうにいうが。

ビルマの民主化支持、アウンサン・ス-チーさん支持。軍事政権なんぞ消えてなくなりやがれ。

にしてもアタマにくる。ヤンゴン南部を直撃した大型サイクロン。その被害は単純にカウントできないスケールだろう。
被害甚大の現地、エーヤワディー管区に滞在した旅行者として様子が理解できる。
あの一帯はデルタ地帯で、スコールには耐えられるが強風となるとひとたまりもない家屋ばかりだ。全域がSOS状態になっていることは確実だ。
「ビルマの窮状を救おう」全世界が救援の手を差し伸べようとしている。

それなのに・・・AP通信によると「軍政指導者が国際機関供与の救援物資に自らの名前を記して被災者に渡している」
「ミャンマーの人権保護運動などに当たる英国の援助団体責任者によると、地方の軍司令官もアジア諸国からの支援物資に自らの名前を記入し、被災者に手渡しているという。ただ、物資を本当に必要としている被災者には行き届いていないとも語った」
外国からの救いの手が、軍政からの援助品としている。あきれてモノがいえない。

その背後には中国がいて、虎視眈々とチベット同様にビルマを取りこみ実質支配しようと企んでいる。
すべて自分たちだけがラクチンであればそれでよし。その権益はいかなる批判を受けてもひたすら守る、そのためには自国民が何10万、何100万人が死のうが構わない。
中国共産党一党独裁体制と、ビルマのタンシュエ国家平和発展評議会議長独裁体制とはまさに利害がピッタシ一致の「同志」なのだ。

ニホン人にとって「ビルマの竪琴」は感動的なストーリーだが、竪琴の設定は全くのフィクション。僧籍にあるものは歌舞音曲は一切ダメという戒律がある。楽器演奏は戒律に背く。もってのほか。

DVDで中国産の映画「長江哀歌」{監督・ 脚本:ジャ・ジャンクー }を観た。万里の長城以来ともいわれる長江の三峡ダム。
その国家事業により水没する運命にある古都を舞台に、愛する人を探しにやってきた2人の男女の詩情豊かなせつな~い物語。

絶句して正座しなくっちゃ、てな感があった。迷走中国のいまを見事に詩情のメスでスライスしている。三重丸。
2006年のヴェネチア国際映画祭でグランプリ受賞はトーゼンの佳作だ。

あー、なーに書いているのか・・・とにかく疲れた。とにかくUPしてしまって、それからまた書き足そう。