不良家

駄文好む 無教養 くすぶり 時々漂流

北千住から電車に乗って

2007-07-09 14:42:30 | 紗羅
なんでダイアハウスなんだのCMが脳感染したのか、作業衣の兄さんが目立つ横っちょ通りでひとり立ち飲み、なんで夕刻の北千住なんだ、なんで千手観音じゃないんだ、なまだぶ呪文を唱えたつもりで両手にコップ酒を奉げ持ち、♪チビチビやればぁチビチビと~っぉ涙がほろり八代由紀、肴はあぶったイカだろうが歯の都合で山菜盛りとは情けないよー確かに店のそこはかにくすんで流れるBGNは沖のかもめはー、最近伸ばしたホーチミンひげをさすって店内のチラシ土工募集を見るとなぜか勇み立ち、この国の経済再構築の人柱になってやろうじゃないか、色男是力皆無、ああ上等だぜ、このあたりまでは混濁した意識のチンカスみたしなものが残っていて、帰路は電車に乗ると熟睡、乗り越してバック、これを忠実に2,3度やらかして新宿で降りた、おや本気で降っている梅雨夜空本番。

ダンシガシンダ回文のサンプル立川談志はまだ健在で、喉頭がんと診断されてがんもどきと自嘲、異端の落語家らしく「酒、たばこをやめる奴ほど意思の弱い者はいない」と稀代の名言を放ち、がんもどきになったところで酒、たばこは日常だと聞くが、こちとらはまだ揚がった豆腐には非ず、談志もどきの意思強固のつもり、しかし酒には弱くなってすぐへろへろ化してしまい、連れあいの病院見舞いの帰路、なんでがん細胞はダイアハウスだろなどといっちょまえに苦悩という想念と交遊して北千住で立ち飲み、新宿ではよし座って飲んでやる決然の気構え、そういえば昔は立川談志のゴーストライターもやっていて原稿チェックはいつも銀座ガード下、泥酔の戯言に付合わされいつも頭が馬糞ウニになった。

ふなふなと腰元定めやらぬ酔眼にはキャッチバー、ぼったくりバーであることは先刻承知なのだが、顔見知りだしたまにはご挨拶もという気分、飲兵衛にはかくあるべき行動力も必須項目で、「あー、本官は北千住署から来た」そのキャッチおかまおばばは元自衛官だったことは先刻承知おどけていったのだが、相手も尋常な対応はありえない、どすこい土俵入りがお似合いのおデブおかまがしっかと敬礼「公務でありますか、平巡査殿」突出したのどちんこから発声する金属音変化ボイス、先輩のご教示によると「彼ら、もしくは彼女らとは決して喧嘩してはならぬ。いざという場面では彼ら、もしくは彼女ら野生の狂暴本能に瞬間回帰する。なぁ、ハイヒールの先っぽで金玉を突き蹴られた痛覚を考えてみろ」この教訓を噛みしめて「学割り料金で頼むぜ。1杯千円」ぼったくりバーの冷やかし客。

「あーら、お兄さん気前いいっっ。惚れ直しよ」肥満女装は黒猫を抱いた片手に細巻きシガーをくゆらせて連呼、白狐仮面にさらに濃い厚い化粧のスマイルには妖怪も気絶する。「なにごとも勉強勉強、勉強ついでにタダ」なんでダイアハウスなんだ、タダなんだといった疑念はやめて「タダより高いものはなし。だろ」突然耳が聞こえない相手はきんきら声の口三味線で「今宵は夢も濡れましょ、しっぽりと」ときたから「月様、雨がかね、どうでもいいけど」カウンターに坐ったとたんにおしぼり、ビール、グラス2個をほぼ同時に出る瞬間芸「つまみは乳首でいいよ」といい張るのに、ビール1本2000円に値切って帰る。そんなところだ、ふん、ヤバそうなところに突撃したがるわが業病、本復は叶わぬと無自覚な自覚、やけくそ病とでもいうべきか。

連れあいが元気なら、こんな行状は非難するどころか楽しき報告としてガハハと聞いてくれるのだが、入院している最中にぼったくりバーに入り込んで楽しく遊んできた、珍しく充実の笑タイム、これには盛り上がってくれないから報告どころか始末書問題か、しかしこれもロシア文学系の全人類的どっこいしょ苦悩の延長線であると理解するしかないことは自明で、なんでダイアハウスなんだ、なんで談志語録なんだ、ゆかいなフレーズをチョイスしてみたぞ、ほい不良家駄文のおまけ。

「雨が好きだ」「イイ奴とは自分に都合のいい奴である」「学問は貧乏人の暇つぶし」「勝手に生きよう」「人生成り行き」「地球は丸くない」「馬鹿はとなりの火事より怖い」「満州を返せ」「腹が減ったら我慢しろ」「私は正しい、間違っていると云っているンだから」・・・・