くにたちの声

国立市の市政について、国立市民・納税者の立場から発言していきたいと思います☆ presented by Y.Suzuki

国立市における違法市政との闘い-第二段階訴訟東京地裁判決- 詳報その2

2013年10月14日 13時14分49秒 | 住基ネット
今回は、「被告が本件各支出について損害賠償責任を負うか否か」という第2の争点からはじめよう。

まず、「本件各支出」の具体的内容を明らかにしておきたい。
本件各支出とは、以下のふたつの支出であり、これらは第一段階訴訟(住民訴訟)において、東京地裁判決(2011年2月4日)がともに財務会計上の義務に違反する違法行為であると認定したものである。

1. 年金受給権者現況届の郵送費
私たちが本件住民訴訟を提起した2009年12月当時、国立市は住基ネットに接続していなかったため、国立市在住の年金受給者は、年に1回、年金受給権者現況届を提出する必要があった。言うまでもなく、住基ネットに接続している自治体に住む年金受給者は、提出する必要はない。国立市は、年金受給者が市役所に提出した年金受給権者現況届をまとめて社会保険庁(現:日本年金機構)に郵送していたが、本件住民訴訟における東京地裁判決は、こうした郵送事務は国立市が住基ネットに接続していれば必要のない事務であり、これに係る郵送費支出を違法と判断した。

2. 住基ネットサポート委託料
国立市は2009年当時、住基ネットに接続していなかったため、住民異動データのバックアップ作業を民間事業者に委託し、住基ネットサポート委託料を支払っていた。上記東京地裁判決はこの支出についても、住基ネットに接続していれば必要のないものであり、違法と判断した。

その結果、上記東京地裁判決は、関口博前市長は本件各支出を阻止すべき指揮監督上の義務を怠るという財務会計上の違法行為を行ったものであると判断し、同前市長が関口博氏に対して本件各支出相当額の損害賠償を請求するよう命じた。
つまり、被告(関口博国立市長)に対して、関口博氏個人に損害賠償請求するように命じているのである。被告と関口博氏が同一人物である点が少々ややこしいが、こんなことが起こるのもさる4月2日付け本ブログ「住民訴訟制度における第二段階訴訟とは何か?」で述べたとおり、2002年の地方自治法改悪により住民訴訟制度が変更され、住民が職員を直接提訴することができなくなってしまったからである。つまり、住民は当該地方公共団体の執行機関(通常は首長)を被告として、当該職員に対して損害賠償請求をするよう求める義務づけ訴訟を提起することしかできなくなったのである。私たちが提起した第一段階訴訟では、地方公共団体の執行機関としての関口博市長を被告として、関口博氏個人に対して損害賠償請求するよう求めたため、上記のような判決となったわけである。

第2の争点をめぐる原告及び被告の主張は、それぞれ以下のとおりである。

【原告側主張】
(1) 専決権者として保険年金課長、総務部長及び市民課長が行った本件各支出は、財務会計法規上の義務に違反する違法なものであり、被告は、本件各専決権者に対する指揮監督義務違反に基づく損害賠償責任を負う。
(2) 被告は、専決をさせた者として、本件各支出がされたことについて直接の損害賠償責任を負う。

【被告側主張】
(1) 本件不接続の継続と本件各支出には因果関係がなく、本件各支出がされたことについて被告が責任を負うことはない。
 ① 本件各費用は、本件不接続を継続したために支出をしなければならなかったものではなく、原告の関係各課において、住民サービスを考慮したり、再接続に備えた準備をした方がよいと考えたりした結果、支出されたものである。
 ② 年金受給権者現況届けの郵送費支出は、保険年金課長の判断に基づきされたものであり、また、住基ネットサポート委託料は、総務部長及び市民課長の判断に基づきされたものであるから、被告による本件不接続の継続によって本件各支出がされたものではない。  
(2) 本件各専決権者による本件各支出は、財務会計法規上の義務に違反するものではない。
(3) 被告は、本件各支出がされたことについて損害賠償責任を負うものではない。
① 本件支出は、本件各専決権者がした郵送費負担及びバックアップ事務委託の判断に基づきされているものであり、国立市長であった被告としては、本件不接続を継続してもそれに伴う支出が必要になるとは考えないものである。それにもかかわらず、本件不接続の継続という政策決定をした以上、被告が本件各支出を阻止すべき指揮監督上の義務を負うというのは、被告が把握することができない支出を阻止すべき義務を負わせる点で、無理を強いるものである。
② 本件各支出を現実に行ったのは、飽くまでも本件各専決権者であり、被告は本件各支出の決済手続に全く関与していないのであるから、本件各支出を被告による財務会計行為ととらえる余地はなく、被告が指揮監督義務違反とは別個の直接の責任を負うことはない。


今日は、ここまでにしておこう。
次回は、東京地方裁判所の判断について詳しくお伝えしたい。
(続く)
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