今国会に提出される予定の地方自治法改正法案の内容が知りたくて、永田町の動向に詳しい友人や中央省庁にいる友人に聞いてみました。
すると、改正法案は、総務省内で骨子のみが出来上がっている段階で、未だ完成しているわけではない、とのこと。
これから総務省や関係省庁の担当者が協議を重ねたうえで法案をまとめ、3月末くらいまでには、改正法案が国会に提出されることになるようです。
いったん法案が提出されれば、野党自民党はこれに反対することはないでしょうから、割とスムーズに可決されるのではないでしょうか。
この改正法案が提出される契機となった総務省地方行財政検討会議における議論については、総務省ホームページで閲覧することができます。
地方行財政検討会議は、片山善博総務大臣が議長で、地方自治体の首長や学識経験者によって構成されています。
昨年12月に開催された第7回本会議において、「地方自治法抜本改正についての考え方(平成22年)」(仮称)(案)が発表されていますが、この中に「5.国と地方の係争処理のあり方」という項目があり、以下のような記述が見られます。
(現行制度の課題)
○ 地方公共団体の事務処理が法令に適合して行われなければならないことは当然である。長その他の執行機関は事務処理の法令適合性が確保されるよう自ら万全の措置を講ずるべきである。それでもなお、長その他の執行機関の事務処理に違法があると認められる場合には、監査委員制度・外部監査制度がその機能を発揮すべきことは言うまでもない。また、議会による執行機関の監視機能が発揮されるべきである。例えば、事前の段階では契約の締結、財産の取得・処分等についての議決権、事後の段階では検査権・調査権を活用することが考えられる。さらには、長に対する信任が失われる事態に陥れば、不信任議決を行うこともあり得るであろう。さらには、住民も、地方公共団体の財務会計行為の違法性については住民監査請求・住民訴訟によって是正を図ることが可能であり、長その他の主要な公務員としてふさわしくない行為があるとすれば、解職の請求を行うこともできる。このように、地方公共団体の違法な事務処理は、まずは、自律的に解決されるべきである。
・・・・・(中略)・・・・・
地方公共団体の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき等には違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができ(是正の要求)、法定受託事務の処理が法令の規定に違反しているとき等には違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる(是正の指示)。併せて、地方公共団体に対する国等の関与をめぐり、国等と地方公共団体の間で争いが生じた場合に、中立・公正な第三者機関(国地方係争処理委員会・自治紛争処理委員)の判断によって処理し、これで解決しない場合には裁判所の判断を得て解決を図る国・地方間の係争処理手続が設けられている。
○ しかしながら、現行の係争処理手続では、地方公共団体側からのみ第三者機関に対する審査の申出、裁判所に対する訴えの提起を行うことによって、問題の解決を図るものとされており、国等の側からは審査の申出や訴えの提起ができない。このため、国等による是正の要求・指示に対して、地方公共団体がこれらに応じた措置を講じないにもかかわらず、審査の申出や訴えの提起がされない場合には、訴訟等により問題の解決を図ることができず違法状態が継続することになる。
○ こうした状態は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律による制度導入時から懸念されていたが、昨今、是正の要求がされたにもかかわらず、地方公共団体がこれに応じた措置を講じず、かつ、第三者機関に対する審査の申出をしなかった事例が複数散見され、このような懸念が現実化している。これは、行政の法適合性の原則の観点から見過ごすことができない上、国と地方公共団体の関係の不安定要因ともなりかねない。
(国等による地方公共団体の不作為の違法確認訴訟制度の創設)
○ このような事態が生じ、継続するのは、国と地方公共団体との間で法律解釈を巡る齟齬が生じた場合に、これを事後的に解消する手段が不十分であることによるものであり、この現行制度の不備を、司法的手続(新たな訴訟制度)を整備することによって解消することが適当である。中立・公正な司法の場で、透明性の高いプロセスの下、国と地方公共団体の双方がそれぞれ主張立証を尽くし、これをもとに裁判所が判断を行うとすることが国と地方公共団体のみならず、国民・住民にも納得の得られる最も適切な解決方法であると考えられるからである。
○ 具体的には、地方公共団体による事務処理の適法性を確保するために、国等から是正の要求・指示に対する地方公共団体の不作為の違法確認判決を求めて国等が訴えを提起できる仕組みについて、速やかに制度化を図る。」
上記文中、「昨今、是正の要求がされたにもかかわらず、地方公共団体がこれに応じた措置を講じず、かつ、第三者機関に対する審査の申出をしなかった事例が複数散見され、このような懸念が現実化している。」とありますが、この事例のひとつが住基ネット切断という違法行為を継続している国立市であることは、言うまでもありません。
また、文中の最後に、「国等から是正の要求・指示に対する地方公共団体の不作為の違法確認判決を求めて国等が訴えを提起できる仕組みについて、速やかに制度化を図る。」とありますが、国の是正要求を無視し続ける地方公共団体に対して、どのような強制力を担保するのかという点が興味深いですね。
まずは、速やかな法案の可決を期待したいものです。
すると、改正法案は、総務省内で骨子のみが出来上がっている段階で、未だ完成しているわけではない、とのこと。
これから総務省や関係省庁の担当者が協議を重ねたうえで法案をまとめ、3月末くらいまでには、改正法案が国会に提出されることになるようです。
いったん法案が提出されれば、野党自民党はこれに反対することはないでしょうから、割とスムーズに可決されるのではないでしょうか。
この改正法案が提出される契機となった総務省地方行財政検討会議における議論については、総務省ホームページで閲覧することができます。
地方行財政検討会議は、片山善博総務大臣が議長で、地方自治体の首長や学識経験者によって構成されています。
昨年12月に開催された第7回本会議において、「地方自治法抜本改正についての考え方(平成22年)」(仮称)(案)が発表されていますが、この中に「5.国と地方の係争処理のあり方」という項目があり、以下のような記述が見られます。
(現行制度の課題)
○ 地方公共団体の事務処理が法令に適合して行われなければならないことは当然である。長その他の執行機関は事務処理の法令適合性が確保されるよう自ら万全の措置を講ずるべきである。それでもなお、長その他の執行機関の事務処理に違法があると認められる場合には、監査委員制度・外部監査制度がその機能を発揮すべきことは言うまでもない。また、議会による執行機関の監視機能が発揮されるべきである。例えば、事前の段階では契約の締結、財産の取得・処分等についての議決権、事後の段階では検査権・調査権を活用することが考えられる。さらには、長に対する信任が失われる事態に陥れば、不信任議決を行うこともあり得るであろう。さらには、住民も、地方公共団体の財務会計行為の違法性については住民監査請求・住民訴訟によって是正を図ることが可能であり、長その他の主要な公務員としてふさわしくない行為があるとすれば、解職の請求を行うこともできる。このように、地方公共団体の違法な事務処理は、まずは、自律的に解決されるべきである。
・・・・・(中略)・・・・・
地方公共団体の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき等には違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができ(是正の要求)、法定受託事務の処理が法令の規定に違反しているとき等には違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる(是正の指示)。併せて、地方公共団体に対する国等の関与をめぐり、国等と地方公共団体の間で争いが生じた場合に、中立・公正な第三者機関(国地方係争処理委員会・自治紛争処理委員)の判断によって処理し、これで解決しない場合には裁判所の判断を得て解決を図る国・地方間の係争処理手続が設けられている。
○ しかしながら、現行の係争処理手続では、地方公共団体側からのみ第三者機関に対する審査の申出、裁判所に対する訴えの提起を行うことによって、問題の解決を図るものとされており、国等の側からは審査の申出や訴えの提起ができない。このため、国等による是正の要求・指示に対して、地方公共団体がこれらに応じた措置を講じないにもかかわらず、審査の申出や訴えの提起がされない場合には、訴訟等により問題の解決を図ることができず違法状態が継続することになる。
○ こうした状態は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律による制度導入時から懸念されていたが、昨今、是正の要求がされたにもかかわらず、地方公共団体がこれに応じた措置を講じず、かつ、第三者機関に対する審査の申出をしなかった事例が複数散見され、このような懸念が現実化している。これは、行政の法適合性の原則の観点から見過ごすことができない上、国と地方公共団体の関係の不安定要因ともなりかねない。
(国等による地方公共団体の不作為の違法確認訴訟制度の創設)
○ このような事態が生じ、継続するのは、国と地方公共団体との間で法律解釈を巡る齟齬が生じた場合に、これを事後的に解消する手段が不十分であることによるものであり、この現行制度の不備を、司法的手続(新たな訴訟制度)を整備することによって解消することが適当である。中立・公正な司法の場で、透明性の高いプロセスの下、国と地方公共団体の双方がそれぞれ主張立証を尽くし、これをもとに裁判所が判断を行うとすることが国と地方公共団体のみならず、国民・住民にも納得の得られる最も適切な解決方法であると考えられるからである。
○ 具体的には、地方公共団体による事務処理の適法性を確保するために、国等から是正の要求・指示に対する地方公共団体の不作為の違法確認判決を求めて国等が訴えを提起できる仕組みについて、速やかに制度化を図る。」
上記文中、「昨今、是正の要求がされたにもかかわらず、地方公共団体がこれに応じた措置を講じず、かつ、第三者機関に対する審査の申出をしなかった事例が複数散見され、このような懸念が現実化している。」とありますが、この事例のひとつが住基ネット切断という違法行為を継続している国立市であることは、言うまでもありません。
また、文中の最後に、「国等から是正の要求・指示に対する地方公共団体の不作為の違法確認判決を求めて国等が訴えを提起できる仕組みについて、速やかに制度化を図る。」とありますが、国の是正要求を無視し続ける地方公共団体に対して、どのような強制力を担保するのかという点が興味深いですね。
まずは、速やかな法案の可決を期待したいものです。