くにたちの声

国立市の市政について、国立市民・納税者の立場から発言していきたいと思います☆ presented by Y.Suzuki

全員協議会の議事録を読んで呆れかえる(その2)

2011年02月02日 21時16分43秒 | 国立マンション訴訟
プライバシーに関しては、重松朋宏市議も阿部市議と同レベルのようです。
重松市議も次のように発言しています。

「住民監査請求を行った方はみずからインターネット上などで名前を出しています。市民の会緑くにたちという団体の代表幹事のA氏、同幹事のB氏、C氏、D氏、鈴木雄一氏の5名であるということをかなり広くインターネット上で明らかにしております。4名の原告についてはこれだけ明らかにされているということなので、4名の原告についても周知の事実であっていいのかなと思うんですが、4名の原告の氏名を明らかにできないんでしょうか。」(全員協議会議事録37頁)

(註:上記重松市議の発言のなかには固有名詞が含まれており、議事録には当該固有名詞が掲載されていますが、このブログでは、私の氏名以外については、国立市の個人情報保護条例及び情報公開条例に準拠して、当該固有名詞をA、B、C、D、と表記しました)

これに対して、林晴子情報管理課長が次のように答弁しています。

「市の保有する個人情報の取り扱いにつきましては、これは情報開示請求があったわけではございませんが、情報公開条例の中で非開示とすべき事由に該当するものに準じた取り扱いをしております。」(全員協議会議事録37頁)

重松市議も、そんなに原告の氏名が知りたいのであれば、裁判所へ行けばいいのです。
第一、私の氏名が、原告のひとりとして、すでに新聞報道などで公知のものになっているわけですから、それで十分ではないでしょうか。
あとの3名の原告の方々はごく普通の国立市民なのです。
氏名が広く公表されることに抵抗があるという普通の市民感情を、重松市議は慮ることができないのでしょうか。

ちなみに、最近こんな判決が言い渡された事例があります。
岐阜県関ケ原町を提訴していた原告の氏名を、同町の町長が私的な新聞に掲載したため、プライバシーを侵害されたとして原告側が同町長を相手取って損害賠償を請求した訴訟の判決が、昨年3月25日に岐阜地裁大垣支部で言い渡されました。
判決は、町長が原告の氏名を公表したことは「私生活上の平穏を害する悪質な不法行為に該当する」などとして、原告のプライバシー権を認め、町長に102万円の支払いを命じています。
係争中の裁判における原告の氏名は、プライバシー保護の対象となることを阿部市議と重松市議にはきちんと理解していただきたいと思います。

ところで、阿部市議や重松市議のようにプライバシー保護意識の低い方々が、住基ネットはプライバシー侵害の危険があるからという理由で、国立市の住基ネット切断に賛成しています。
プライバシー保護意識は低いくせに、最高裁で安全性が認められている住基ネットに対しては、プライバシー侵害の危険がある、だなんて
自己矛盾も甚だしい・・・、もう支離滅裂ですよね。

(つづく)
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全員協議会の議事録を読んで呆れかえる(その1)

2011年02月01日 22時12分48秒 | 国立マンション訴訟
さる1月4日に開催された国立市議会の全員協議会議事録を入手しました。
この全員協議会は、昨年12月22日に言い渡された住民訴訟の判決をめぐって、市長と市議が質疑応答をするというものです。
議事録を読んでみると、要するに、関口博市長が判決に不服なので控訴する旨を表明し、それに対して市議が質疑を行うという形で会議が進められています。

この会議で市長が配布した資料(「市長発言メモ」)の内容については、「呆れかえり、開いた口がふさがらない」という印象を受けたことをすでにこのブログでご紹介しました。

今回、議事録を読んでみて、関口市長を支持する一部の市議たちの発言を知るにいたり、またもや「呆れかえり、開いた口がふさがらない」状態に陥りました。このところ、開いた口がふさがらない状態がたびたび起こるので、アゴがあずれそうです。もう、いい加減にして欲しいですよね。

関口市長を支持する市議たちは、関口市長と同様に、昨年末に判決が言い渡された住民訴訟の本質が全く理解できていません。
このブログでも繰り返し述べているとおり、この住民訴訟で問われているのは、景観保護の是非ではなくて、「法治」か、「放置」か、なのです。
昨年末に言い渡された判決は、違法行為を犯して国立市に3100万円の損害を与えた上原公子前市長に対して求償権を行使しないまま放置している関口市長の不作為は、違法な怠る事実に当たると明確に判断しています。
法を破った者は、損害賠償の責任を負うという法治主義を体現する判決なのです。
この住民訴訟の本質が理解できない市議の方々には、法治の原則について、是非、このブログを読んで、勉強していただきたいものです。

こうした市議たちの発言については、今回の住民訴訟の本質を全く理解せずに的外れな批判を繰り返すばかりで、いちいち反論するのも虚しいので差し控えますが、お二人の市議の発言だけは看過できない内容なので、敢えて反論することにします。

まず、阿部美知子市議の発言を紹介しましょう。

「12月22日の東京地裁判決を不服として、関口市長が控訴を決断したことに対して賛同いたします。・・・中略・・・・
まず、なぜ今、だれが何の目的で訴訟を起こしたのか。明和マンションにお住まいの方、そして、これから入居のご予定のある方からも、いわゆる明和の裁判はもう一応の決着がついたのものであり、これ以上安心して、落ちついて住める住環境を守るためにも訴訟など起こしてほしくなかったという声も聞こえてきております。しかし、マスコミ報道によると、この訴訟を起こした代表者の方、防衛大学の鈴木雄一さんという方ですけれども、そのほか3名ということです。このマンションに住む方々の意向を酌み取っての訴訟なのか、またそのほか原告として名前を連ねていらっしゃる3名の方にも直接訴訟の意味を伺ってみたいと思いますが、私たちが見ることができる判決というのは、この原告欄は、個人情報保護ということで黒塗りであります。責任の所在が市民には全く見えない。控訴した後には原告全員がなぜ、何の目的で訴訟をおこしたのか、市民に明らかにしていただきたいと思います。」
(全員協議会議事録15頁)

この発言には唖然とさせられます。
阿部市議は、日本国憲法32条が「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」と定めていることをご存じないようです。
私たちは、この憲法の規定に基づいて、違法行為を犯した上原前市長の責任を求めて、納税者としての立場から訴訟を提起したのであって、阿部市議から、「だれが何の目的で訴訟を起こしたのか」などと上から目線で問われる筋合いはありません。

また、阿部市議は、明和マンションに住む人々の意向云々を引き合いに出していますが、これについては、唖然どころか驚愕させられます。
まずは、本件住民訴訟と明和マンションに住む方々とは何の関係もないことを強調しておきたいと思います。このことは、私が今まで繰り返し述べてきた本件住民訴訟の本質を理解していただいている方には自明の理といえるでしょう。
つぎに、そもそも、一部の近隣住民が、明和地所や明和マンションの入居者113名を相手取って、建築物の一部撤去や慰謝料を請求したことを忘れてはなりません(この請求は当然、東京高裁で棄却され、最高裁で確定しています)。
阿部市議は一貫してこの近隣住民を支持してきたのではありませんか
合法的に建築され、分譲されたマンションを購入した、何の落ち度もない明和マンションの入居者を訴えるような人たちを支持している当の阿部市議が、明和マンションに住む人々の意向を云々する資格はないでしょう。
阿部市議は、いわれのない訴えの対象となった113名の入居者の精神的苦痛を理解しているのでしょうか。

さらに、阿部市議は、国立市で配布される資料としての判決文のなかで、私たち原告の氏名が黒塗りになっていることがお気に召さないようです。
これは、言うまでもなく国立市の情報公開条例及び個人情報保護条例に基づいた措置であると思われますが、阿部市議は、黒塗りになっているがために、「責任の所在が市民には全く見えない」と訳のわからないこと言っています。
責任の所在とは、何の責任を意味するのでしょうか
私たち原告に何か責任があるというのでしょうか
責任があるのは、違法行為を犯した上原前市長であり、求償権を行使しない関口市長なのではありませんか

阿部市議には、条例を遵守する精神やプライバシー保護の精神が欠けているようです。
と同時に、裁判に関する知識にも欠けているようです。
日本の裁判は公開で行われます。したがって、原告の氏名が知りたいのであれば、裁判所で当該訴訟記録を閲覧すればいいのです。
こんなことも知らないで、黒塗りに八つ当たりするなんて・・・・またまた、開いた口がふさがりません

(つづく)
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関口市長の控訴理由に呆れかえる(その2-完)

2011年01月10日 21時55分43秒 | 国立マンション訴訟
昨日の続きです。

「市長発言メモ」の前半には、関口市長の非常に危険な考え方が浮き彫りにされている部分があります。

次のくだりです。

「景観と環境を保全することを公約にして立候補し、国立市民の賛同を受けて当選した市長が、公約どおりの行動をし、発言したことが重大な過失があるとして損害賠償されたのでは、市民自治、住民自治は成り立たない。」

これは、法治主義を否定する極めて危険な考え方です。
景観と環境を保全することを目的として、公約どおりの行動や発言をするのであれば、何をしても許されるのでしょうか
自らの政治公約を貫くためには、違法行為を犯しても構わないのでしょうか
こうした関口市長の考え方は、鯨を保護するためなら人間を殺傷しても構わない、として日本の調査捕鯨船に危害を加えるどこかの国の無法者集団の考え方と通底しています。
(*文中の「損害賠償されたのでは」という表現は日本語としておかしいので、「損害賠償請求されたのでは」と読み替えます。)

何度も繰り返しますが、上原前市長の明和地所に対する一連の行動は違法行為であった、と認定した判決が既に確定しています。そしてさらに、今回の判決は、上原前市長は、その職務を行うについて、重大な過失により、国家賠償法上違法である本件違法行為をした、と認定しています。この違法行為認定については、客観的に判断して、今後の法廷においても絶対に覆ることがないと思います。
関口市長は、この違法行為認定を厳粛に受け止めるべきです。

野球の審判の判定に従わない選手がいたら、ゲームは成り立ちませんよね
同様に、法に従わない市長がいたら、法治国家は成り立ちません。
ちなみに、関口市長は、法治主義を否定するのみならず、住基ネット切断という違法行為を現在も継続しています。
市長が、法治主義を否定し、違法行為を実践するという、法治国家にあってはならない無法状態が国立市では続いています。

さて、「市長発言メモ」の後半に移りましょう。

関口市長は、控訴理由として、4つ挙げていますが、すべて無意味で的外れな理由です
今回の住民訴訟では、被告である関口市長側の主張は、判決で悉く退けられたわけですが、関口市長は、退けられたそれらの主張を控訴理由として駄々っ子のように繰り返しているに過ぎません。
これによって、関口市長が今回の判決内容をまったく理解していないことが、まさに露呈しています。
いちいち反論するのも馬鹿馬鹿しいので、やめましょう。
通常の理解力を有する方々が、このブログに掲載されている判決の詳細を一読すれば、関口市長の4つの理由とやらが如何に空しいものであるかが、お判りいただけるでしょう。

理解力と遵法精神に欠けるうえに、住基ネット切断という違法行為を続ける関口市長
このような市長を、この4月の市長選で再選させては絶対にならない、とつくづく思います。
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関口市長の控訴理由に呆れかえる(その1)

2011年01月09日 23時12分02秒 | 国立マンション訴訟
去る1月4日に市議会の全員協議会が開催され、関口市長が今回の住民訴訟での敗訴を受けて、控訴する旨の意思表明を行ったそうです。
その際、全員協議会資料No.2として、「損害賠償(住民訴訟)請求事件(平成21年(行ウ)第249号)の判決について(市長発言メモ)」と題された文書が配布されています。この文書(以下、「市長発言メモ」という。)は当日の傍聴者にも配られたそうです。

私はこれを読んで、呆れかえり、開いた口がふさがらない、という印象を受けるとともに、関口市長の考え方に非常に危険なものを感じました。
まずは、以下に全文をご紹介しましょう。なお、一部に日本語の文法的な誤りや意味不明なところがありますが、原文のまま掲載します。

平成22年12月22日判決言渡しのあった明和裁判に係る損害賠償請求事件(住民訴訟)の判決について、ご報告いたします。本判決については、全く納得できるものではないので控訴することにしました。その理由を申し上げます。
地方自治、市民自治、住民自治を全く理解しない時代に逆行した考えに基づいた判決であること、また国立市の主張を全く理解していない司法判断を受け入れることはできないからである。
平成17年12月19日の高等裁判所の判決(以降、「前件控訴審判決」という。)を受け本裁判は争われている。前件控訴審判決が行われた後、国においては、景観法が制定され、また、司法の場においても、「住民の景観利益は、法的に保護される」という言葉が使われるようになった。
前件控訴審判決後のこのような時代の流れ、景観に対する市民の要求に謙虚に司法も耳を傾けるべきであるにも関わらず、本件損害賠償請求事件裁判においては、原告が提出した前件控訴審の判断のみを理由に挙げ、市の主張を退けている。
また、前件控訴審判決には、国立市として、全く納得しておらず、その判決に基づく求償権の行使を行うつもりはない。もし、控訴しなければ、長年この街の景観を守り続けてきた市民が行ってきた行動そのものを、市が否定することになり、そのようなことはできません。
また、景観と環境を保全することを公約にして立候補し、国立市民の賛同を受けて当選した市長が、公約どおりの行動をし、発言したことが重大な過失があるとして損害賠償されたのでは、市民自治、住民自治は成り立たない。市民や住民の豊かな生活を守るための地方自治を崩壊させるような司法判断には、到底納得がいかない。

さて、控訴する具体的な理由をいくつか挙げます。
1 今回の裁判で「重大な過失」ということが問われているが、2500万円の損害賠償となった、それぞれの事象は、ひとつひとつは不法行為とはならないが、全体を観察すると「不法行為」としています。重過失がいつの時点であったか判然としません。重大な過失があるときに求償することとなるが、前件控訴審判決でもそれは明らかにされていません。
2 市に損害が発生したということが求償権の論点になるが、実質には明和地所からほぼ同額の寄附があり、実質的に損害の補填があり、求償すれば国立市の二重取りになります。
3 国立市の施策について体現した前市長に対して求償権を行使するのは信義則上許されません。
4 求償権の行使を違法に怠っているとされるが、前市長に重大な過失があるということを、私が容易に認定できるものではありません。

また、下級審で述べられた司法の判断を議会で発言することもできないようなら、司法の独立性もないし、市長として萎縮してしまいます。発言の自由という民主主義が脅かされます。
以上のような理由で控訴します。



この市長発言メモを読んで、まず呆れたのは、関口市長は、今回私たちが提起した住民訴訟の本質を全く理解できていない、ということです。

私たちは、景観保護には大賛成です。住民の景観利益も保護されるべきであると考えています。
こうした価値観は、現在の日本のような成熟した法治国家においては、もはや普遍的なものになりつつあると言ってもいいでしょう。
したがって私たちは、今回の住民訴訟において、当然、景観保護に反対しているわけではないし、明和地所の味方をしているわけでもありません。

私たちが問題にしているのは、あくまで上原前市長の犯した違法行為なのです。

上原前市長の目的がたとえ景観保護のためであったとしても、前市長が明和地所の適法な営業活動を妨害し、その信用を毀損したことが、裁判所の判決で違法行為と認定され、かつその判決が最高裁判所決定により確定した以上、前市長には責任を負ってもらわなくてはならないのです。
日本は法治国家なのですから、法を犯したら相応の責任を負う、というのが大原則です。
前市長の犯した違法行為が原因で、国立市は明和地所に遅延損害金を含めて約3100万円の損害賠償金を支払ったのだから、市が肩代わりしている損害賠償金を前市長が自らの責任で支払うべきである、というのが私たちの主張です。

私たちは以上のような主張について、住民訴訟の訴状・準備書面や、住民訴訟に先立つ住民監査請求においても、繰り返し詳細に説明してきました。
その結果、今回、裁判所は、私たちの主張を全面的に認める判決を下したのです。
したがって当然、関口市長は、被告として、私たちの住民訴訟での主張や今回の判決を読んでいるはずです。それなのに、どうしてこの訴訟の本質が理解できないのでしょうか。
この程度の比較的単純な論点で構成される訴訟の本質が理解できないとなると、地方自治体の首長としての適性を疑われても仕方がないのではないでしょうか。

市長発言メモの前半には、「地方自治、市民自治、住民自治を全く理解しない時代に逆行した考えに基づいた判決である」とか、「景観に対する市民の要求に謙虚に司法も耳を傾けるべきであるにも関わらず、本件損害賠償請求事件裁判においては、原告が提出した前件控訴審の判断のみを理由に挙げ、市の主張を退けている」とか、「もし、控訴しなければ、長年この街の景観を守り続けてきた市民が行ってきた行動そのものを、市が否定することになり、そのようなことはできません」とか、「市民や住民の豊かな生活を守るための地方自治を崩壊させるような司法判断には、到底納得がいかない」とか、いずれも全く的外れな、まさにトンチンカンな記述が連続しています。

すでに最高裁で確定した判決が上原前市長の違法行為を認定し、そのうえで今回の判決は、さらに踏み込んで「上原前市長は、その職務を行うについて、重大な過失により、国家賠償法上違法である本件違法行為をし、これによって明和地所に2500万円の損害を与えた」(判決34頁)と結論付けています。
簡単に言えば、焦点のひとつは、上原前市長の違法行為の有無なのであって、地方自治、市民自治、住民自治云々や、景観に対する市民の要求云々といったこととは全く関係がないのです。

なぜ、「控訴しなければ、長年この街の景観を守り続けてきた市民が行ってきた行動そのものを、市が否定することになる」のでしょうか?上原前市長の違法行為を認めることが、なぜ、景観を守り続けてきた市民の行動を否定することになるのでしょうか?
前者と後者は、全く別の次元の問題です。

また、国立市や国立市民に損害を与えた上原前市長に対して求償権を行使せよと判断した今回の判決が、なぜ「市民や住民の豊かな生活を守るための地方自治を崩壊させるような司法判断」なのでしょうか?
上原前市長の違法行為こそが、市民や住民の豊かな生活に損害を与え、地方自治を崩壊させるものなのです。

関口市長が述べていることは、支離滅裂としか言いようがありません。

(続く)







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関口市長控訴へ、との報に接して

2011年01月07日 23時39分26秒 | 国立マンション訴訟
昨日(1月6日)の読売新聞朝刊によれば、関口市長が1月5日に控訴の手続きを行ったとのこと。

わが国は法治国家であって、三審制が保障されている以上、関口市長にも控訴をする権利があることは言うまでもないことです。ただ、今回の場合、関口市長は個人的立場ではなく、国立市長としての立場で控訴するわけなので、やはり市議会の議決を前提とすべきだと思います。しかし、現行法制のもとでは、市議会の議決を要しないということになります。被告が国立市ではなくて、国立市長だからです。
何ともおかしいですよね。
住民訴訟の被告となるのは、個人としての市長ではなくて、機関としての市長なので、事実上国立市を被告としているのと大きな違いはないのです。
結論から言えば、これは、法の不備だと言わざるを得ません。

私たち原告は、国立市民・納税者としての立場から、上原前市長の違法行為によって国立市が受けた損害を、上原前市長自身の責任で国立市に対してきっちり賠償してもらうことを目的に住民訴訟を提起しました。住民訴訟というのは、原告が勝訴しても原告には金銭的な利益が全くありません。私たち原告は今回の住民訴訟で全面勝訴をしましたが、私たちには一銭の賠償金も入ってきません。私たちは弁護士費用、印紙代・切手代等の費用をすべて手弁当、カンパで賄いました。
まさに、カネも組織もない徒手空拳の市民有志が、国立市民全体の利益のために市政の適正化を実現しようと住民訴訟を提起したのです。
これに対して関口市長は、私たちの血税で賄われている市の公金をふんだんに使って、弁護士を二人も雇ったうえに(その費用としてすで100数十万円も支出しています!)敗訴した結果、市議会の議決を経ずに勝ち目のない控訴をするという道を選択しました。これでは権利の濫用と言われても仕方がないのではないでしょうか。
市長は、公金を使って控訴するわけですから、やはり「住民訴訟で市長が敗訴した場合の控訴・上告に際しては、市議会の議決を要する」というルールを地方自治法に盛り込むべきだと思います。

それにしても、法治主義・民主主義の原則に従いながら、徒手空拳の市民が、法を守らない市長の悪政を正すには、大変な労力とコストと時間が必要なのだ、とつくづく感じます。
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全面勝訴-判決内容の詳細(その5-完)

2011年01月05日 22時48分39秒 | 国立マンション訴訟
判決内容の詳細、第5弾(最終回)です。

今日は、最後の争点についてご紹介します。

(4) 被告が本件違法行為に係る求償権の行使を違法に怠っているか否か

私たち原告は、「関口市長は、市長として地方自治法に従って市の財産を管理すべきであるにもかかわらず、これを怠り上原前市長に対して求償権を行使しておらず、関口市長の不作為は、違法に財産の管理を怠る事実に該当するものである。」と主張しました。

判決は、まず「違法な怠る事実」について、次のような一般論を述べています。
(1)普通地方公共団体が有する債権の管理について定める地方自治法240条、地方自治法施行令171条から171条の7までの規定によれば、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず、原則として、地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はない(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第二小法廷判決・民集58巻4号892頁参照)。
もっとも、地方公共団体の長が債権の存在をおよそ認識し得ないような場合にまでその行使を義務付けることはできない上、国家賠償法1条2項に基づく求償権は、債権の存否自体が必ずしも明らかではない場合が多いことからすると、その不行使が違法な怠る事実に当たるというためには、少なくとも、客観的に見て当該求償権の成立を認定するに足りる証拠資料を普通地方公共団体の長が入手し得たことを要するものというべきである。」(判決38頁)


要するに、関口市長の求償権不行使が違法な怠る事実に該当するためには、関口市長が、当該求償権の成立を認定する証拠資料を入手、又は入手し得たという事実が存在しなければならないということです。

判決は、次のように続きます。
(2)前件控訴審判決は、明和地所の国立市に対する損害賠償請求につき、上原前市長を含む国立市らの行為が全体として明和地所の営業活動を妨害する違法な行為であると評価することができる基礎となる事実(以下「本件基礎事実」という。)を認定した上、これにより明和地所に対する不法行為が成立すると判示し、上記損害賠償請求を一部認容したものであり、さらに、国立市長である被告は、国立市が前件訴訟の被告であった以上、前件訴訟における証拠資料をすべて入手していたものと認められる。
そうすると、前件訴訟において提出された証拠により、本件基礎事実を認定することができ、これによれば、上原前市長の一連の本件違法行為が存在し、かつ、これが『本件建物の建築・販売を阻止することを目的とする行為』であると認定することができるのであれば、上原前市長に少なくとも重大な過失があることは容易に認定することができるというべきであるから、被告は、客観的にみて本件求償権の成立及び行使が可能であることを認めるに足りる証拠資料を入手していたものということができるのであり、そうであるとすれば、前件控訴審判決が確定した時点では、被告において、本件求償権を行使することにつき、格別の支障はなかったものと認めることができる。」(判決38~39頁)


ここで、被告側の主張をみてみましょう。
被告は、①本件寄附により国立市の損害が実質的に填補されたから本件求償権が消滅しており、上原前市長に対して本件求償権を行使することが信義則に反して許されないという事情があるほか、②前件控訴審判決において、上原前市長の故意又は重大な過失があるかどうかが判示されていなかったこと、③上原前市長に対する本件違法行為に係る求償権の有無につき、弁護士の鑑定等を実施したが、現時点において当該求償権の有無の判断は困難であるとの結論を得たことから、被告において当該求償権があると判断して、これを行使することは不可能であり、違法に財産の管理を怠っているとはいえない旨主張しています。

しかし、判決は、こうした被告側の主張をすべて退けています。
まず、①については、すでに争点(3)のところでご紹介したとおり、判決は、「本件寄附は、本件損害賠償金を実質的に填補する趣旨でされたものとはいえず、これをもって国立市の損害が実質的に填補されたから本件求償権が消滅したと認めることはできない。」と述べて、被告の主張を退けています。

次に②については、以下のように判示しています。
「確かに、前件控訴審判決は、上原前市長の故意又は重大な過失の存否について明示的な判示をしていないが、前件控訴審判決では、前件訴訟で提出された証拠に基づき、本件違法行為を含む本件基礎事実が詳細に認定され、これに対する法的評価も判示されていたことに照らすと、被告において、前件訴訟で提出された証拠に基づき、本件違法行為につき上原前市長に少なくとも重大な過失があったと認定することは容易であったというべきであり、上記②の点は、前記(2)の判断を左右するに足りるものではない。」(判決39~40頁)
ここでも、被告の主張を退けています。

さらに③については、次のように述べています。
「そもそも被告指摘に係る弁護士による鑑定等結果の詳細は明らかではないものの、前記(2)で指摘した諸点、特に本件求償権の存否が本件違法行為の存在とこれに対する上原前市長の故意又は重過失の存在を中心とする事実認定に係るものであることに照らすと、上記のような弁護士による鑑定等結果があることから、被告において本件求償権があると判断することが困難であったとはいえないというべきであり、むしろ、前記前提事実及び証拠によれば、原告の平成21年2月27日付け住民監査請求に対する国立市監査委員の監査結果に関する平成21日4月24日付け決定においても、被告が上記のような弁護士による鑑定等結果を得たことも考慮した上、なお『損害賠償金等を支払った後この1年間の行政の対応は、請求人が指摘した視点から鑑みれば十分とは言えず、最高裁判所の上告棄却等決定により確定した東京高等裁判所判決に基づく公金支出について、その求償可能性の検討もせず、その権利があるとした場合の行政としての対応も検討がなされていないと決め付けざるを得ない。』と指摘されていることを併せ考慮すれば、上記③の点をもって、被告において、本件求償権を行使することにつき、格別の支障があったということはできないというべきである。」(判決40頁)
このように、やはり被告の主張を退けています。

そして、争点(4)に対する判断として、判決は「よって、被告による本件求償権の不行使は、違法な怠る事実に当たるというべきである。」(判決40頁)と明確に述べています。

何度読み返しても、素晴らしい判決だとつくづく思います
これまでにご紹介したように、私たち原告の主張がすべて認められていて、被告側の主張は悉く退けられています。
まさに全面勝訴の判決ですね

最後に、判決理由の最終頁に述べられている結語をご紹介しましょう。

「以上によれば、国立市は、上原前市長に対し、本件求償権に基づき、3123万9726円及び之に対する本件損害賠償金の支払日の翌日である平成20年3月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができるところ、被告において本件求償権の行使を違法に怠っているものといわざるを得ない。よって、原告の請求は理由があるから認容することとし、訴訟費用については、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、66条を適用して、主文のとおり判決する。」(判決40~41頁)
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全面勝訴-判決内容の詳細(その4)

2011年01月04日 22時54分03秒 | 国立マンション訴訟
判決内容の詳細、第4弾です。

今日は、争点(3)からですね。

(3) 本件違法行為による損害賠償義務の履行による国立市の損害に対する実質的填補の有無又は求償権行使の信義則違反の成否

まず、上記争点(3)の「本件違法行為による損害賠償義務の履行による国立市の損害に対する実質的填補の有無」ですが、これは、明和地所が国立市から受け取った損害賠償金と同額の寄附を国立市に対して行ったことが、国立市の損害に対する実質的な填補になるか否かが争点となっているという意味です。
もちろん、私たち原告は、明和地所の寄附はあくまで国立市民のための教育・福祉の施策の充実にあててほしいとの趣旨の一般寄附であって、明和地所は損害賠償金に係る債権を放棄したわけではないから、この寄附が国立市の損害を填補するものではない旨主張しました。

この点について、判決は次のように述べています。
「本件寄附は、国立市による本件損害賠償金の支払を契機として行われたもので、本件損害賠償金と同額のものではあるが、①明和地所においては、本件損害賠償金に係る債権を放棄してこれを返還することは明示的に拒絶し、国立市における子供たちの教育環境の整備や福祉の施策等に役立ててほしいとの趣旨を明示して拠出されたものであり、②これを収受した国立市においても、本件損害賠償金の返還ではなく一般寄附として取り扱ったものであること、③明和地所は、本件寄附の申出前には、国立市が同社に対して本件損害賠償金に含まれていない前件訴訟の訴訟費用に係る請求をするのであれば、本件損害賠償金相当額から当該請求額を差し引いた額を寄附する旨述べ、結果的に、国立市が前件訴訟の訴訟費用に係る請求を放棄することを事実上の条件として本件寄附の金額が確定したことに照らすと、本件寄附は、本件損害賠償金を実質的に填補する趣旨でされたものとはいえず、これをもって国立市の損害が実質的に填補されたから本件求償権が消滅したと認めることはできない。以上の認定に反する被告らの主張は、理由がなく採用することができない。」

このように、ここでも私たちの主張が全面的に認められています

次に、争点(3)の後半部分の「求償権行使の信義則違反の成否」ですが、これは、被告側が「本件違法行為は、上原前市長が国立市とともに同市の景観施策を実現するために行ったものであるから、本件求償権を行使することは信義則に反して許されない」と主張したことから、争点となったものです。

被告側の主張に対して、私たち原告は、以下のような主張をしました。
被告関口博市長は、公務員であり全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない。関口市長は、法令に従い住民全体のためにその職務を執行すべき地位にあるのであって、自己の政治信条に与するものの利益のために職務の執行を怠ってはならない。例え、関口市長と上原前市長とが景観の保護という政策目標、政治信条が一致するとしても、関口市長がが上原前市長に対して求償権を行使しないことは住民全体の利益を犠牲にして自己と党派を同じくする上原前市長の利益を守ることであり許されるものではない。関口市長が上原前市長に対して求償権を行使しないことこそ、国立市民に対する信義に反し、市民全体に対する利益について公平に反するものである。
国立市が上原前市長の違法行為により受けた実質的な損害は、明和地所に支払った損害賠償金にとどまらない。国立市は上原前市長の本件違法行為による裁判手続に応訴するため弁護士費用だけでも金3918万0904円を公金から支出している。さらに、国立市は、通常であれば、国立市開発行為等指導要綱に基づきマンション建設事業主から清掃施設整備協力金及び公園緑地整備協力金の納入を得られるところ、上原前市長の違法行為により国立市は明和地所と同要綱に基づく協定書を作成できず、総額金7881万2000円の協力金の納入を得られていない。この結果、国立市は上原前市長の違法行為により、原告らの知るところだけ でも損害賠償金以外に金1億1800万円近くの損害を蒙っており、明和地所の寄附金は何ら損害の補填とはならないものである。
よって、国立市が上原前市長に対して求償権を行使することは被告のいう信義公平の原則に反しない。
    
この争点について、判決は次のように述べています。
「上原前市長は、普通地方公共団体の長として行政目的を達成する上での中立性・公平性が要請される立場にありながら、建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として、少なくとも重大な過失により、自ら主体的かつ積極的に一連の本件違法行為に及び、これにより明和地所に損害を与えたことから、国立市を相手とする前件訴訟を提起され、国立市において明和地所に本件損害賠償金を支払わなければならない事態を招いたものであり、上記一連の行為により国立市が受けた経済的不利益は本件損害賠償金にとどまるものではないことに照らすと、国立市が明和地所から本件寄附を受けたことや国家賠償法1条2項が公務員に軽過失があるにとどまる場合に求償権の成立を認めない趣旨等を考慮しても、なお国立市が上原前市長に対して本件求償権を行使することが信義則に反するとはいえないというべきである。したがって、被告らの上記主張を採用することはできない。」(判決37~38頁)

ここでも、私たち原告の主張がすべて受け入れられています
痛快ですね
まさに胸のすくような判決です

今日はここまでにしておきましょう。
(続く)

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全面勝訴-判決内容の詳細(その3)

2011年01月03日 23時55分49秒 | 国立マンション訴訟
明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、判決内容の詳細、第3弾です。
今日は、争点(2)からですね。

(2) 本件違法行為による明和地所の損害の有無及び額

上記の争点(2)について、まず、上原前市長の営業妨害による損害を判決は次のように認めています。
「明和地所は、本件違法行為により、本件建物の住戸について、本来売却できたものが売却できず、また、売却できたとしてもその売却時期が遅れ(例えば、明和地所が本件建物を販売するに当たり、飲料水、電気及びガスの供給のための施設の整備の状況等について宅地建物取引業法35条1項4号により顧客に説明する必要があるところ、上原前市長による電気、ガス及び水道の留保要請行為により給水の確約ができなくなり、購入を検討している顧客にも不安を与え、販売時期の見込みに影響を与えたことは経験則上十分考えられる。)、その結果、一定の損害を受けたことを優に推認することができるが、その具的的損害額については、本件建築物の既存不適格化、明和地所による強引とも評されかねない営業手法、桐朋学園らによる適法な反対運動部分、それらについてのマスコミ報道等による影響等を考慮する必要があり、その性質上その額を立証することが極めて困難といえるから、民事訴訟法248条により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき相当な損害額を認定することとし、上記の損害額は1500万円と認めるのが相当である。」(判決32頁)

次に、上原前市長による信用毀損行為による損害を以下のように認めています。
「明和地所は、本件第3行為及び本件第4行為により信用を毀損された結果、一定の損害を受けたことが認められるが、その具体的損害額は、その性質上その額を立証することが極めて困難であるから、民事訴訟法248条により、明和地所の通常の売上高を始めとする過去の実績、企業規模及び市場規模なども合わせ考慮した口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき相当な損害額を認定することとし、その損害額を1000万円と認めるのが相当である。」(判決33頁)

今回のこうした認定は、明和マンション裁判の東京高裁判決(2005年12月19日)における損害額認定を踏襲しています。

ちなみに、民事訴訟法248条は、損害額認定について次のように規定しています。
「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」

この規定を根拠に、今回の損害額が認定されています。

以上をまとめて、判決は、上原前市長に対する国家賠償法1条2項による求償権の成立について、次のように判断しています。
「上原前市長は、その職務を行うについて、重大な過失により、国家賠償法上違法である本件違法行為をし、これによって明和地所に2500万円の損害を与えたから、国立市は、明和地所に対し、国家賠償法1条1項による損害賠償責任を負うものと認められる。そこで、国立市は、平成20年3月27日、明和地所に対し、前件控訴審判決で認められた不法行為による損害賠償金2500万円及びこれに対する平成15年4月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金623万9726円の合計3123万9726円(以下「本件損害賠償金」という。)を支払ったことにより、上原前市長に対し、国家賠償法1条2項により、これと同額の求償権(以下「本件求償権」という。)を取得したものと認められる。」(判決34頁)

筋の通った、とても明快な判決ですよね

今日はこのくらいにしておきましょう。
(続く)

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全面勝訴-判決内容の詳細(その2)

2010年12月31日 20時08分19秒 | 国立マンション訴訟
判決内容の詳細、第2弾です。

公務員が違法な行為によって他人に損害を与えた場合、国家賠償法という法律に基づき国や地方公共団体がその公務員に代わって損害を賠償することになっています。したがって、上原前市長の違法行為が原因で生じた損害賠償金は、国立市が肩代わりしたわけです。

ただし、公務員の違法行為に故意または重大な過失があった場合には、国や地方公共団体は、その公務員に対して求償することができます(国家賠償法1条2項)。
私たちは、上原前市長には故意があったという結論に達し、「上原前市長の故意による違法行為が原因で、国立市が損害賠償金を肩代わりしたのであるから、関口博市長は、上原前市長に対して、市が肩代わりしている分を自らの責任で支払うよう請求せよ」という今回の住民訴訟提起に至りました。

本件訴訟の争点(1)では、上原前市長の明和地所に対する故意又は重大な過失による営業活動の妨害行為及び信用毀損行為の有無に焦点が当てられています。
これに対する裁判所の判断は、以下のとおりです。

まず、裁判所は上原前市長の違法行為について、次のような事実を認定しています。

上原前市長は、平成11年7月3日、桐朋学園らを構成員とする三井不動産マンションに関する懇談会出席者に対し、本件建物(明和マンション)の建築計画があることを話した上、「皆さん、このマンション問題も大事ですが、あそこの大学通りにマンションができます。いいんですか皆さん。はっきり申し上げて行政は止められません。」などと述べ、その話を聞いた桐朋学園などの周辺住民らに本件建物の建築反対運動が広がった結果、同年8月8日、桐朋学園らを主な構成員とする市民団体「東京海上跡地から大学通りの環境を考える会」が結成され、その後の明和地所による本件建物の建築計画説明会が大きく紛糾するなどした(以下これらの行為を「本件第1行為」という)。

上原前市長は、当初は、国立市と共に、明和地所に対し、本件建物に対する具体的な指導は行わず、専ら大学通り周辺の景観保全のための自主的な対応を期待する対応をした。しかしながら、上原前市長は、強い意向を示して、国立市をして「国立都市計画中三丁目地区地区計画」(以下本件地区計画という)及び「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」(以下本件条例という)の制定という方策に変更させるとともに、平成11年11月24日、本件地区計画原案の公告・縦覧を開始させると、平成12年1月24日、本件地区計画を告示・施行した。さらに、上原前市長は、本件条例を早期に成立させるため、同年1月28日及び同月31日の日程で臨時市議会を招集し、同日、議長及び副議長等が開会しない中、臨時議長が開会した臨時国立市議会において、自ら本件条例案を議案として提出し、本件条例を成立させると、同年2月1日、その送付を受けてこれを公布し施行した(以下これらの行為を「本件第2行為」という)。

上原前市長は、平成13年3月6日及び同月29日の定例国立市議会において、建築基準法に違反しない適法建築物であった本件建物につき、留保を付けずに違反建築物である旨の答弁をした(以下これらの行為を「本件第3行為」という)。

上原前市長は、平成12年12月27日、建築指導事務所長に対し、平成12年の東京高裁決定での本件建物が違反建築物である旨の判断部分を尊重する対応を求め、また、東京都知事に対し、同年7月10日付け文書で、本件建物のうち、高さが20mを超える部分について、電気、ガス及び水道の供給承諾を留保するよう働き掛けるなどした。さらに、本件建物の完成後の平成13年12月20日、明和地所に本件建物の検査済証を交付したことについて、桐朋学園らと共に東京都建築主事に抗議し、国立市としては本件建物が違法建築物であると判断している旨の報道を繰り返させた(以下これらの行為を「本件第4行為」という)。

そして、争点(1)については、次のような判断を下しています。

「上原前市長による本件第1行為から本件第4行為までの一連の行為は、全体的に観察すれば、上原前市長が、建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として、桐朋学園らにおいて妨害行為に及ぶことをも期待しながら、明和地所に許されている適法な営業行為すなわち本件建物の建築及び販売等を妨害するものというべきであり、かつ、その態様は普通地方公共団体の長として要請される中立性・公平性を逸脱し(特に本件第1行為及び本件第4行為)、行政の継続性の視点を欠如した急激かつ強引な行政施策の変更であり(特に本件第2行為)、また、異例かつ執拗な目的達成行為であって(特に本件第1行為、本件第3行為及び本件第4行為)、これにより害される私人の権利に対して相応の配慮がされた形跡もうかがわれないのであるから、社会通念上許される限度を逸脱しているというべきである。そうすると、以上の行為については、上原前市長が、明和地所に対して負う職務上の法的義務に違反したものと認められるから、国家賠償法1条1項にいう違法があるというべきである。」(判決27~28頁)

裁判所は以上のように述べて、私たち原告の主張を全面的に認めています

ちなみに、被告側は、本件建物の建築・販売を阻止する目的はなく、本件地区計画及び本件条例が本件土地を含む一帯の土地にある内在的制約を現実化させたもので明和地所を狙い撃ちしたものではない等と主張しましたが、裁判所はこうした被告側の主張を「理由がなく採用することができない」と悉く退けています

さて、争点(1)の核心ともいえる上原前市長の故意又は重大な過失について、判決は次のように述べています。

「上原前市長は、建築基準法に違反しない適法建築物である本件建物の建築・販売を阻止することを目的として、一連の本件違法行為が、普通地方公共団体の長として要請される中立性・公平性を逸脱し、急激かつ強引な行政施策の変更又は異例かつ執拗な目的達成行為であると評価することができる基礎事実を十分に認識しながら、本件違法行為に及んで明和地所の適法な営業活動を妨害したと認められる以上、少なくとも重大な過失があることは明らかというべきであり、この認定に反する被告らの主張は、理由がなく採用することができない。」(判決31頁)

以上のごとく、判決は、上原前市長が、少なくとも重大な過失により明和地所の営業活動を違法に妨害し、かつ信用を毀損したと断じています。
これによって、国立市は、上原前市長に対する、国家賠償法1条2項に規定されている求償権を有することが明確となりました。

国家賠償法
1条1項:国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を与えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
1条2項:前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。




今日はこのくらいにして、紅白歌合戦でも見ましょうか
(続く)


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全面勝訴-判決内容の詳細(その1)

2010年12月29日 22時02分45秒 | 国立マンション訴訟
さる12月22日に言い渡された判決の詳細な内容をご紹介します。

まずは主文です。

1 被告は、被告補助参加人(上原公子)に対し、3123万9726円及びこれに対する平成20年3月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。

2 訴訟費用のうち、原告に生じた費用は被告の負担とし、被告及び被告補助参加人に生じた費用はそれぞれ各自の負担とする。


この主文は、何度読み返しても痛快な気分になりますね
私たちの請求が、まさに満額で認められています
訴訟費用も、私たち原告の分を被告が負担せよ、となっていて小気味よいですよね。
ちなみに、被告は、国立市長です。

国立市は、いわゆる国立マンション訴訟に敗訴し、上原公子前市長らの違法行為が原因で、明和地所株式会社に3123万9726円の損害賠償金を支払いました。このお金は、当然私たち市民の血税で賄われています。上原前市長の行為がたとえ景観を保護するためであったとしても、それが違法行為であると最高裁判所で認定され、そのために市が大きな損害を被った以上、私たちは納税者としての立場から上原前市長の責任を追及すべきであると考えました。
法治国家である日本においては、自らの違法行為が原因で他人に損害を与えた場合、自らの責任でその損害を賠償するというのが大原則だからです。

そこで、私たちは昨年5月、「上原公子前市長が明和地所のマンション建築を阻止する目的をもって同社の営業活動を妨害し、その信用を毀損したという違法行為が原因で、国立市が3123万9726円の損害賠償金を肩代わりしたのであるから、関口博市長は、上原前市長に対して、市が肩代わりしている分を自らの責任で支払うよう請求せよ」という住民訴訟を提起しました。

今回の判決は、こうした私たちの考えを全面的に受け入れた内容となっています

さあ、判決文を読み進みましょう。
主文のあとに、今回の住民訴訟の概要や、明和地所が国立市を相手取って起こした訴訟(いわゆる国立マンション訴訟)の概要などが述べられたあと、本件訴訟の争点が以下のように明示されています。

本件の争点は、被告が違法にその行使(財産の管理)を怠っているとされる国立市の上原前市長に対する国家賠償法1条2項に基づく求償権の存否及び行使の可否並びに被告が当該求償権の行使を違法に怠っているか否かであり、具体的には次のとおりである。
(1) 上原前市長の明和地所に対する故意又は重大な過失による営業活動の妨害行為及び信用毀損行為(以下、これら行為を総称して「本件違法行為」という。)の有無
(2) 本件違法行為による明和地所の損害の有無及び額
(3) 本件違法行為による損害賠償義務の履行による国立市の損害に対する実質的填補の有無又は求償権行使の信義則違反の成否
(4) 被告が本件違法行為に係る求償権の行使を違法に怠っているか否か
(判決9頁)


(続く)
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全面勝訴-続報

2010年12月23日 15時12分04秒 | 国立マンション訴訟
昨日(12月22日)の午後1時15分、東京地方裁判所の522法廷において川神裕裁判長の声が静かに響きました。
冒頭で「被告は・・・」という言葉がはっきりと聞こえた瞬間、原告席に座っていた私は勝訴を確信しました。
案の定、判決の内容は、私たち原告の全面勝訴でした
ちょっと早めの、素敵なクリスマスプレゼントをいただいた気分です

ちなみに、民事事件の場合、裁判長は主文を読み上げるだけなので、「原告の・・・」ではじまったら敗訴です。
「原告の請求を棄却する」のひと言で敗訴が決まるわけです。

裁判長が主文を読み終えると、もう閉廷です。
私と原告団のひとりであるHさん、弁護士のH先生、そして傍聴に駆けつけてくださった支援者の皆さんは法廷を出て、廊下でお互いに握手を交わしながら喜びを分かち合いました。

そのあと地裁の書記官室で判決文を受け取り、急ぎ国立へ引き上げました。
夕方に行われる記者会見の準備のためです。

記者会見は、立川市役所内にある立川記者クラブの一室で午後5時から行われました。
記者の皆さんに勝訴の報告をしたあと、様々な質問を受け、約30分ほどで会見は終了。
(今朝の各紙朝刊を見ると、朝日・毎日・読売・日経が私たちの勝訴に関する記事を掲載しています)

午後7時からは、国立市内のお店で祝勝会が開かれました。
今回の住民訴訟を支援してくださった方々が数十名集まり、美酒に酔いしれました
本当に最高の一日でした

私たちが昨年2月に行った住民監査請求の際に署名をして下さった259名の国立市民の方々や、今回の住民訴訟を支援してくださった方々に改めてお礼を申し上げます。
どうもありがとうございました。


なお、判決内容の詳細につきましては、のちほどこのブログでご紹介いたします。





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全面勝訴です! (速報)

2010年12月22日 15時52分10秒 | 国立マンション訴訟
本日、東京地方裁判所で、私たち国立市民有志が提起した住民訴訟(上原公子前市長への求償権行使請求)の判決言い渡しがありました。

判決内容は、私たちの請求をすべて認めるもので、私たち原告の全面勝訴となりました。

判決主文は以下のとおりです。

「被告(国立市長)は、被告補助参加人(上原公子)に対し、3123万9726円及びこれに対する平成20年3月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。」

正義を体現する素晴らしい判決だと思います。
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判決言い渡しは12月22日です!

2010年10月20日 23時34分21秒 | 国立マンション訴訟
本日、私たち国立市民有志が提起している住民訴訟(上原前市長への求償権行使請求)の第6回口頭弁論が東京地方裁判所522号法廷で行われました。

裁判長より、原告・被告双方の主張が出揃ったので、今回をもって結審としたい旨の発言がありました。

判決の言い渡しは、12月22日13時15分より522号法廷で行われる予定です。

昨年5月19日に訴状を提出してから、今日までに合計6回の口頭弁論を経て、12月に判決言い渡しというところまできました。
いよいよ大詰めですね。
思えば、この1年半は、あっという間だった感があります。

6回にわたる口頭弁論を振り返ると、まず上原前市長の「故意による違法行為」認定は、今回の法廷において確実になされると思います。
あとは、上原前市長への求償権について、裁判官がどのように判断するかが焦点になるでしょう。
社会正義を体現するような判決を期待したいと思います。
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住民訴訟(上原前市長への求償権行使請求)の第5回口頭弁論

2010年07月01日 15時41分59秒 | 国立マンション訴訟
昨日(6月30日)、私たち国立市民4名が国立市長に対して提起している住民訴訟の第5回口頭弁論が東京地裁で開かれました。

私たちの主張は、「上原公子前市長が明和地所のマンション建築を阻止する目的をもって故意に同社の営業活動を妨害し、その信用を毀損したという違法行為が原因で、国立市が約3100万円の損害賠償金を肩代わりしたのであるから、関口博市長は、上原前市長に対して、市が肩代わりしている分を自らの責任で支払うよう請求せよ」というものです。

上原前市長の違法行為については、すでに東京地裁、東京高裁が認定し、最高裁で確定しています。

昨日の口頭弁論では、裁判長より「すでに原告・被告の主張は準備書面によってほとんど尽くされた感があるので、次回の口頭弁論を最後にしたい」旨の発言がありました。
次回の口頭弁論は、10月20日です。

思ったより早く口頭弁論が終了することになったため、判決も年内に言い渡される可能性が出てきました。
上原前市長の違法行為については、最高裁が認定しているので、今回の裁判でもまず違法行為の認定が覆ることはないと思われます。

判決の言い渡しが、来年4月の国立市長選挙前に行われることは確実なので、この判決は選挙に大きな影響を与えることになるでしょう。
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住民訴訟(上原前市長への求償権行使請求)の第4回口頭弁論

2010年03月10日 12時50分10秒 | 国立マンション訴訟
昨日、私たち国立市民4名が提起した住民訴訟(上原公子前市長への求償権行使を求めた訴訟)の第4回口頭弁論が、東京地方裁判所522号法廷で午前10時30分より行われました。

私たち原告側は、私を含めて原告2名、弁護士が出席。

被告側は、国立市職員3名と弁護士2名。
そして、補助参加人として前回12月の口頭弁論から姿を見せている上原公子前市長が、今回の口頭弁論にも出席していました。自らの違法行為が原因で、国立市に約3100万円もの損害賠償金を肩代わりさせた張本人です。
今回の住民訴訟で私たちの請求が認められれば、上原前市長は約3100万円を個人の責任で弁償しなくてはなりません。
さすがに訴訟の行方が気になるのでしょうね。
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