ツアーの昼食後レストランの前で樫村さんと私
時々ふっとご無沙汰してしまった人々を思い出すことがある。
先日は樫村治子さんのことが気になって仕方が無かった。ウィキペディアくらいには載っていてもいい人だと思うので Google してみたが、見付けることが出来なかったけれど、朗読家 樫村治子さんと言うページに巡り会った。
私の樫村さんとの出会いは、彼女がたまたま私の案内するグループの一員だったことと、昼食時に隣り合わせに座ったというご縁。長距離のツアーならグループの名簿も丁寧に読むのだけれど、その日一日だけのツアーだったから、ざっと目を通した程度だったので、そのような名前の人にさえ気付いていなかったのだ。
日本人にしては大柄な美人で、笑顔が優しい。食事中色々お話もして、終わる頃に名刺を頂いた。
「まさか、あの樫村治子さん?」
私が腰を抜かさんばかりに驚いたのはその時の樫村さんは高校生だった私がラジオの「私の本棚」の朗読家の声から連想した年齢の人だったからだ。
母が毎朝聞いていて、聞きながら遅刻しそうな私を叱咤激励しつつ追い出しに掛かっていたもので、朗読の内容は全く理解しては居なかったけれど、落ちついた少し太めの声は聞き慣れていた。50代のおばさんと私は想像していたのだ。
「まさか、そんなに若い訳がないでしょう」と言うのが私の反応だった。
その後しばらく文通もしていた。姿と同じように綺麗な文字を書く人だった。
熱川健三さんと言う人のページで「朗読家 樫村治子さん」に巡り会い、2003年に他界されていることを知った。
合掌。
熱川さんのお陰で樫村さんの真摯な人生も知ることが出来た。美しいのは外見だけではなかった人。
先日ふと思い出した或る人の傲慢な態度を不愉快に思い出し、そのことを妹に書いたら「そう、あの人は傲慢な人。話題にすると不快になるから・・」と言う返事が来た。このような記憶を人に強いるような人間でありたく無いが、樫村さんの思い出は、そのような人に薬として上げたいくらいだ。
短いお付き合いだったが、その数時間を持てたことを嬉しく思う。
ニューヨーク市、ブロードウェーの「オペラ座の怪人」は今年25周年だそうで、最も長く続いた且つ収入の最も多いショーなんだそうですが、これを上回りますね。読む本の選び方も上手なのでしょう、きっと。