雑談の達人

初対面の人と下らないことで適当に話を合わせるという軽薄な技術―これがコミュニケーション能力とよばれるものらしい―を求めて

このまま日本にビンボー人が増え続けても、困るのは金持ちエリートだけというパラドックス。

2010年07月27日 | 政治の雑談
日本の凋落を憂いている人たちの偽善を突いた内容のシリアスなエントリが続いてしまって恐縮だが、他にも思い当たることがある。

日本がビンボー人で溢れかえるようになると、本当に困るのは金持ちエリート層だけなのである。

ビンボー人は、周りにビンボー人が増えようと増えまいと、別段困ることはない。むしろ、日本人の場合、同類の友達候補が増えてうれしいとさえ感じるのではないか。

他方で、金持ちエリート層だが、衣食住足りるようになると、これ決まって名誉が欲しくなる。そして俄か愛国心に目覚め、オラが国は素晴らしい歴史と伝統をもった偉大な国だっぺ(=そんな国籍をもったオラは素晴らしい=そしてそんな素晴らしい国で金持ちになったオラはもっと素晴らしい)と主張するようになる。

ところが、足元の御国がボロボロだと、そういう手前勝手な自己満足に浸ることができなくなってしまう。特に海外に出たりすると馬鹿にされ放題である。発展途上国の資源成金が、全く尊敬されないのがいい例である。世界のセレブに、「Oh! 哀レナ自国ノ貧乏人ヲ搾取シテ、金持チニナッタノデスネ。少シハ恥ヲ知リナサイ!」という冷たい視線を浴びせられる。

日本がたいして豊かでもなく、世界に通用する文化も生み出せず、世界経済の足を引っ張りつづけていると、衣食住足りて名誉が欲しい金持ちエリートの方々にとっては、非常に都合が悪いのである。とるに足らない三流国家で成功したに過ぎないというのは、彼らのプライドを甚く傷つけてしまうのだ。今でこそ日本のパスポートを持っていればビザなしでほとんどの国々を旅行できるが、その内招かれざる客になるかもしれない。

「世界第二位の経済大国としての責任」という使い古されてきた看板を、来年にも下ろさざるを得なくなり、極々ささやかな成功であるサブカルチャーの健闘に望みを託すしか打つ手のない、政府関係の方々は本当に痛々しい。「多額の国連分担金を払っているから、安保理の常任理事国にしてくれ」と言ったら、「でも、御国は借金まみれで、国民は皆困窮してるって話じゃない? もう、無理な背伸びはしないほうがいいんじゃないの?」ってツッコミが返ってきそうだ。どうするつもりなんでしょう?

そんなわけで、日本が没落して困るのは極々一部の人たちなので、我々一般庶民には全く関係のないことなのである。こういう金持ちエリート偽善階級の人たちが哀れなビンボー人を煽る決め台詞は、「このままでは日本は世界から取り残されてしまう!」である。こういうもっともらしいセリフを聞かされたからといって、決して浮足立ってはいけない。取り残されて困るのは、彼らだけである。

コンゴやトリニダード・トバゴやブータンやパプア・ニューギニアのフツー人たちが、世界から取り残されているからって、特段困っているだろうか。別にビンボー人はビンボーなりに幸せに暮らしているはずである。そりゃ、多少なりとも豊かな方が良いに決まっているが、金持ちエリート偽善階級の皆様の自尊心を満たすために、我々ビンボー人が必要以上に奮闘する必要は全くないのである。

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