歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

鋼の錬金術師 102話「扉の前」感想

2009年12月15日 | ◆新刊読んだ!
ネタバレ回避に、関係ない話です。

初読んときは、なんていうか、歯車がずれててですね。
つまり、獣とかまあいろいろ、作品ではなくて私にとっての色々な思いのせいで、横っちょから余計な力がかかって歯車がずれちゃって、ざりざり空回りする感じの・・・ああいうのがありまして。

面白い、あるいは面白くない、と思う自分のキモチが、ちゃんと自分で把握できないの。
邪念が邪魔してわかんなくなるのよ。
もうさ、鋼が好き、って、ほんっと恋と似てるよねえ。大好きなはずなのに自分わけわかんなくなるとことかさあ。

で、まあちょっとざりざりガタガタしてたんですが、コメレス書いてるうちに、あ、やっぱり感想書きたい!と。歯車噛み合いましたv
会話っていいよねー♪たとえそれが反対意見でもさ。賛成とか反発とか、自分ん中の何かが回り始めるじゃん?
いつもコメントありがとう!

じゃ、だべり終わり。
ネタバレ回避スクロール~































まず先に「黄昏の少女」のプレビューコミック感想!

最初見たとき「どこまで荒川弘を牛馬のごとく働かせるんじゃスクエニっっっ!」とか思ったけど。
これ、先生けっこう楽しんで描いてらっしゃいますよね(笑)
だってモブが細かいじゃないですか。街角に猫がいたりとか、走る子供と犬、それを見てる大人とか。こういうのはアシさんの絵じゃないんですよ。(アシさんがこういうのを描ける技量が無いという話ではなく、他人の作品に絵を入れるという立場において、もっと通り一遍の硬いモブになるんじゃないかと)
本編がずっと軍部施設のバトルだから、こういうチマチマした街とか人とか描きたい気分だったんだろうなーv
対して、大総統執務室の本棚はたぶんアシさん。だって荒川先生はずらっと本を並べたら、厚みとか置き方とかに変化をつけたくなる性格…じゃない?(笑)
そして道行くモブのトーンの多彩さに、細かいトーンありがとうアシさん、これなら24巻もトーン率UPの上でリリースして頂けそうですねv とか思ってみたり。←嫌なファンですホント(苦笑)

決して余分な時間があったはずも無く、またずっと簡素にもできるプレビューコミックなのに、この1・2ページ目ってとっても楽しそうv ゲームのお仕事、先生も楽しかったんだろうな、なんて思いました。
いいなあ、うらやましいなあ成田正美プロデューサー!

あと、ゲーム関係では冒頭カラーの特集ページ。
声優さんがコメントしてるんですが、「印象に残ったシーンは?」という問いへの三木さんの回答が。
「シーンというよりも、本編のアニメより長く喋っていて、スタジオに長時間いたこと自体が印象的でした」
そうなんだー!(笑) 確かにロイロイ、台詞少ないもんね。いや、たっぷりな回もあるけども!
あと、エンヴィーが変身しているという設定の大総統を、柴田さんが軽~い口調で演じているという・・・!そっ、それは面白そう!

ゲームお持ちの皆さん、楽しんでくださいませーv




さて。
本編です。
順序なんか無視して、一番印象的だったコマ。

アルが、自分の肉体に背を向け、自ら扉へ走り出すコマ。

震えた。

エドが二度とも否応無く真理の触手に絡めとられ引きずり込まれていったのに、アルは、その触手へ向かって走るのか・・・!と。
すごい。

その前の、鎧のアルの表情の変化も。
目を見開き驚愕し、目を閉じ、怒り、慟哭し、「あっちに戻りたい?」という問いに、自分の中にあった答えをみつけ、決意する様。
見事な。

アル。アル。
ああ、アルの気持ちを思うと、もう、震えて言葉が出ない。

(だから、触手の中を手を伸ばし向かってゆく姿が、ゲームん中の巨大蒸気メカ・アルツーに見えちゃった、なんて、このシリアスな場面にそんなギャグかぶせちゃだめってば。
目が覚めたときの目から光が1話アニメの目からビーム!に見えちゃったなんてそんな台無しキングなこと、言っちゃダメだってばあーっ!)(ごめんなさいごめんなさい!)


戻りまして。
「私はご覧の通りの有様だ」
の、ブラッドレイの背中のコマ。
ここも、本当に美しい!

でも「勝てる気がしねえ」のゴリさんの台詞は、私にはちょっと余計だったな。だって、絵ですべてを描いているんだもの。説明はいらないと思う…。
けど一介のキメラ、ジェルソが床の下と気づいたのはおおっ!って思った。そう、鋼のキャラに馬鹿はいない。誰もが常に自分の頭で考えている。こういう台詞はメインキャラに花を持たすものだろうが、群集劇においては、荒川先生にとっては、キメラーずもまたメインキャラなのだ。

ここのところちょっと気の抜けていたスカーの作画が、今月一気に気合が入った。
「この下にいる、か」の表情。
「名無し同士殺しあうのも」のコマ、ブラッドレイとの対峙の、張り詰めた空気!

「私の最期の相手は」
ブラッドレイの人生は戦いだったのか、殺して殺して生き抜いて、そして殺されることを望んでいる。
だが、殺されることを望む言葉を口にしたとき、物語の圧力は生きる方へ傾いたはず。
彼はまだ死なない。その生き汚さ=人間らしさの答えを示すまでは。

マスタングの失明、は、あんまショックじゃなかったです。
だってもう、何でもありうるし。
逆転の錬成陣の発動で、視力が戻るも良し。
非情な荒川弘の采配で、戻らぬも良し。
どちらにしても、彼はもう自分の頭で考え自らの足で歩いているので、運命を受け入れそれを乗り越えることができるから。
今は現状が飲み込めず呆然としていますが、一呼吸おけば立ち直るでしょう。奴はそんな弱っちいタマじゃーないからね!


そして、最後に。
「そこで打ちひしがれていなさい」の、セリム・プライド。
初めて「弱さ」を見せた、その表情。
セリムとプライドは本当にイコールなのか?容れ物とは何か。
なぜ彼は子供の姿をしている。なぜ子供の姿として描かれたのか?

お父様は、どうせフラスコの中の小人だ。頭でっかちのワガママなガキだ。
知らぬうちに、意に沿わず、偶然に切り取られた真理の切れ端。己が何者かわからないでぐずぐずしてる哀れな存在。
全知に生まれようとお前は全能ではない、その自分を認めろ、お前は俺と同じにこの世の万物の一部なんだ、と、エドやホーエンハイムが頭ぶったたいて気づかせてやれば、それで済む話だ。

でも、セリム・プライドは違う。
彼は何者だ?何を思っているのか?
ホムンクルスであろうと「人間」のはずだ。なら、彼は自ら、何を考え、どこに立ち、そしてどこへ行こうというのだろう。


面白いよ!
やっぱり、鋼の錬金術師は面白いよ!!!


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13 コメント

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悲しいです (松田)
2009-12-16 00:54:55
いつも、楽しく歌猫様のblogを拝見しております。深い考察や、愛に溢れた洞察を楽しみにさせていただいていたのですが、今回のご感想の
>てか、エドの活躍のためにしばらく非力でいてくれてOKよんv
というお言葉は、とても悲しかったです。
私は大佐大好きで、102話は物凄くショックで泣きそうになって読んでいたのです。歌猫様が、ショックでないのも、戻るも戻らぬもありと思われるのもご自由と思いますが、この一言だけはマスタングファンとしては、冗談にしても心に突き刺さりました。
誰かの活躍の為に誰かを貶めるというのは、荒川先生のやり方ではないようにも思いますし。
お気を悪くなさるかもしれませんが、このように思う者もおりますことを知っていただければと思います。
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Unknown (きなこ)
2009-12-16 01:55:36
マスタングの両目失明シーンは,思わず前アニメ終盤の片目失明マスタングを思い出しました。ひょっとして先生自身「アニメが片目ならこっちは両目だ!」とか考えたのですかね?
もしマスタングの目が治るときがくるのなら、最初に見る景色がなんなのか楽しみです。

あと盲目の錬金術師は眼球をもっていかれましたが、マスタングがもっていかれたのはあくまで視力だけなのでしょうか?その場合手パン錬成はできるのでしょうかね?

不死身のブラッドレイにもいよいよ最期が近づいてきましたが、個人的には最期は夫として死んでほしいです。

長文失礼しました。歌猫さんの感想毎月楽しみにしてます。
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2009-12-16 06:58:36
松田様こんにちは。
ごめんなさい・・・。そうね、マスタングファンの方にはすごくショックな展開ですものね。申し訳ありませんでした。当該行は削除しました。
教えてくれてありがとう。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

きなこ様こんにちは。
そうですね!マスタングの目が治ったとき、最初に見る景色・・・部下の面々かなあ。美しいセントラルの町並みかなあ。涙を湛えたリザかしら。わあ、いいですね!
マスタングは視神経とかそういうところを持っていかれたのでしょうか・・・?手パンはできると思います。火トカゲ錬成陣を使用不能にしたのは手パンへの前振りという見方もできるのでは?と。
ブラッドレイは死なないで欲しいなあ。彼はまだ、自分の頭で考え自分の人生を歩んでいないから。決してスカーの死を望んでいるわけではないけれど、スカーが己の捨てた名を、ブラッドレイに与える・・・なんていう展開を妄想してみたり。
コメントありがとうございましたv
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目がぁー!! (penchan)
2009-12-16 21:17:17
いつも楽しく読ませて頂いてます^^

今回のは説明回?になっているからか、
個人的にはマスタングの目の事は、
わりとさらりと読んでしまっていた1人
なのですが、作者はきっとかなりの初期の
段階から「目にしよう!」と決めていた
のでしょうね~。

今回のお話まで進んでみて、「うん。
ここ以外ない!」部位が切り取られて
しまったなぁTTという感想です。
(大佐ファンの方すみません;)

んでも個人的には、某ラ○ュタの大佐・・・
「目がぁーーっ!目がぁーーーっ!!」が
脳裏によぎったのはここだけのヒミツ(苦笑)
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Unknown (松田)
2009-12-16 23:10:31
ご配慮、ありがとうございました。こちらこそ、不躾なコメントで失礼致しました。
またお邪魔させていただくと思いますので。こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2009-12-17 07:02:34
penchan様こんにちは!
ム○カ大佐・・・そっ、それはっ!(笑)
視力を奪うことはきっと最初から決めてらしたんでしょうね。もしそうでなかったとしてもすごく納得いく部位で、なんというか、本当に上手い。
イズミがマスタングの背に手を添えてるとこに冷静さが感じられてさすがイズミとか違うとこで萌えてみたり(笑)
軽めのコメに含まれた優しさ、受け取りました。ありがと!

松田様こんにちは!
私もこの後にロイファンのブログ訪ねたら、いつもは淡白なブロガーさんがコメレスですごい語ってらしたりして、ロイファンさんには本当にショックなことなんだ、と、改めて。
来月は25巻最後の話。これは焦らされそう…。
でもねでもね。きっと大丈夫だと思う。ロイはロイだから、絶対に大丈夫。
コメントありがとうございましたv
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持っていかれた~。 (アルミ)
2009-12-17 09:06:53
人体練成の後、何か「持っていかれる」のは決まっていることとしても、大佐の「なにも見えん。」の表情はショックでした。もしかしたら「鷹の眼」がロイの眼になるのではないかと・・たぶん諦めないでしょう。ロイは。鋼の登場人物たちは!
今はおとなしくしてるホーパパもきっと皆の窮地を救いに出てくるのではないかと思ってます。
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頭をからっぽに (クロノア)
2009-12-17 10:12:10
こんにちは。こちらのネタバレ感想の方にもお邪魔します!

大佐が扉の前に立っている図を見ることになるとは思いませんでした。
私はものすごい大佐ファンというわけではないのですが、やはり今回の残酷な展開には衝撃を受けました。大佐自身が受けたショックが、容赦なくこちらまで伝わってきましたよ。
視力が奪われたという現実。すぐに受け入れられなくて当然ですね。最後のコマまで床に手を置いたままの大佐の気持ちを想像してつらくなりました。どんなに強い人でも、まず最初の反応はああなると思います。そこからどう這い上がるのか見守るつもりです。大丈夫、立ちあがらせてくれる人がいっぱいいるんだもの。

自ら黒い触手の中へ飛び込んで行ったアルの姿、私も震えました。それを見送ったアルの体のぞっとするほど冷たい目にも。
でも、体を取り戻したとしても、真理の世界に閉じこもって現実世界に戻らないなんて選択をアルがするわけがない。道は一つでしょ。「何を意地の悪いこと言ってんの!」と怒っちゃいました。

あと、「あ 体を取り戻すかどうかって選べるんだ・・・」とちょっとびっくり。アルが自分の体と再会したら、否応なしに合体させられるんだとばかり思っていたので。

これまでにもこれからどう展開するのかあーでもないこーでもないと予想はしてきましたが、新刊を読む時はやめることにしました。雑誌やコミックスを読んでいない時に頭の中で考えることはありますよ~。
でも、新しい話を読む時は何の予測もせず頭をからっぽにして読んでます!「ええっ」「うわっ」「そうきたか!」ってな感じで、ジェットコースターに乗ってブンブン振り回されるような感覚を楽しむことにしたんです。

あと6話くらいで終わってしまうのでしょうか?最後の最後まで荒川先生に振り回されたいです!先生、お体をどうか大切に・・・
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コメントありがとうございます。 (歌猫)
2009-12-19 23:55:03
アルミ様こんにちは!アルミってもしかして元素記号Alのアルミですか?鋼と対比しつつアルも含んでる素敵なハンドルネームですね♪
「目」は「意思」の象徴として何度も作品中で触れられてきただけに、うわあ・・・!と思いました。でもおっしゃるとおりロイは絶対あきらめませんよ!
「暗転の24巻」から「逆転の25巻」へ続くか?来月が待ちきれませんー!

クロノア様こんにちは!
大佐が扉の前に立っているとき、「真理君、足が長い・・・」と思ったとか、そういう台無しキングは言わないのっ!(すみませんすみません)
ショックを受けても平然と流すキャラ(ブラッドレイやオリヴィエ)と、ありのまま顔に出てしまうキャラ(エド)をくっきりと描き分けるハガレン。ロイとリザはちょうど中間なので、彼らの表情はある意味、エド以上に、物語を揺さぶる力があると思います。
アルは本当に強く美しい心を持つ子。エドが同じ立場でもきっと同じ選択をすると思うけれど、エドよりアルの方が、なんていうか、純粋ですよね。
>体を取り戻すかどうかって選べる
エドもグラトニーの中で真理の扉を開けたとき、自分の手足をスルーしてますし、奪うときは否応無くだけど、返すときは本人の意思が関わる、って面白いですよね。神は自ら助くる者を助く、なのかしら。
>ジェットコースターに乗ってブンブン振り回されるような感覚
まったくそのとおり!ものすごく怖いし先行きが読めないけれど、でも絶対に客(読者)を放り出したりしない。その信頼が絶対だから、楽しい!!
あああ、そろそろ先生は年末前の修羅場なんだろうな。がんばってくださいー!
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どきどき (蘭芳)
2009-12-22 14:28:32
こんにちは歌猫様。 
読み終えてすぐ、続きが読みたくなりますー!

ロイの扉は、手袋の錬成陣…というより、リザの背中の錬成陣に似ているのですね。

アルのシーンは、…ああアルってほんとに強い人間だなぁ、と。(「強い子」とは書けません!もう子供とは思えなくて。)
アルを見送る、アルの肉体の表情が、エドを見送った時と同じですね。彼にとって、「必ず来るから」と言われるのは二度目…三度目の正直ですよね、きっと!!

この胸の高鳴りも、あと数回しか味わえないのですか…

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