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flexaret Ⅳのレストア、まとめ

2008年02月16日 15時17分45秒 | flexaret Ⅳ レストア
Zorki-4 Jupiter-8 50mm/f2 Pro400

PRONTOR-SVS B,1~1/300 搭載のflexaretⅣについての私のレストア記事のまとめです(flexaretⅣには、PRONTOR-SVSではなく、METAX搭載のものもありますのでご注意ください)。レストアについての記事を書いたのは、私自身の備忘録としてとともに、同じように分解して行き詰った方や失敗した方、またはこれから分解しようと思っている方の参考になればとの考えからでした。

もちろん、私はレストアについてはド素人です。私の書いたことは、鵜呑みにするのではなく参考程度にしていただきたいと思っています。よく、レストアについての記事に、「分解は自己責任で」とあります。これは、書いてある通りに分解した人に対しては逃げに見えるかもしれません。しかし、的を射ています。カメラのことを思うなら修理はプロに任せるべきです。下手に手を出すと失敗して、大切なカメラを再起不能にしかねません。金額のことを気にして、修理店に出すのを躊躇している方がいらっしゃるかもしれません。しかし、自分で修理するにしても、道具や油、グリス、皮、薬品等、結果的に初期投資でかなりの金額になります。この記事が、それでも自らの手でカメラを直したい方や、既に分解し途方に暮れている方にとって一助になれば、幸いです。

このまとめでは、今まで書いた記事の中から参考になるだろうと思われる箇所を、項目ごとに目次と付記の形式で表したいと思います。その中から、自分の目的にあった記事を探して読んでいただければと思います。構成としては、「一、各部分別」で各部品ごとの記事を紹介しています。そして、「二、問題・症状別」では、問題や不具合について、その症状別に記事を紹介しています。ただし、問題や症状別に、その原因を載せてありますが、必ずしも「同じ問題・症状であればここに書かれている原因のいずれかに当てはまる」というわけではありません。一つの可能性としてご参照ください。

※私が、正式名称を知らない部品もあり、そういった部品については私的な名称を用いて書いていますので、ご注意ください。




一、各部分別

1.シャッターユニット

 .前板およびシャッターユニットの外し方

  flexaret Ⅳのレストアへ向けてをご覧下さい。私は、深いところまで届くカニ目回しを持っていなかったので、安全のため、前板を外してからテイクレンズとシャッターユニットとを外しました。深いところまで届くカニ目回しがあれば、前板を外さずにシャッターユニットを外せます。ただ、後玉を傷つけない等の安全のこと考えると前板を外してからシャッターユニットを外した方がよいでしょう。ちなみに、シャッターユニット裏側の4本のネジは、シャッター羽や絞り羽に用がないなら、外すべきではありません。

 .セルフタイマーユニットの外した方

  flexaret Ⅳのレストア、実験失敗だったということですか?の「2.セルフタイマーブロックの取り外し方」をご覧下さい。必要最低限のネジを外して取り外せるように説明してあります。他のネジを外すと、セルフタイマーユニット内のギアがバラバラになり兼ねません。また取り付けは、ここに示してある手順の逆をすれば出来ます。

 .セルフタイマーのギアをバラバラにした場合の対処

  まず、コメントにお応えしますの「1.セルフタイマー」をご覧下さい。これは、怜さんからのコメントに応えたものです。しかし、これだけでは、ギアの位置の調節までは話及んでいません。それについては以下ので。

 .セルフタイマーのギアの位置の調節

  flexaret Ⅳのレストア、セルフタイマーユニット復活!をご覧下さい。セルフタイマーユニットを取り外すだけでなく分解をもした場合、セルフタイマーユニットのギアは、ただ組み立てるだけでなく、ギアにある突起の位置を調節する必要があります。長い記事ですが、参考になると思います。

 .スローガバナーの外し方

  flexaret Ⅳのレストア、実験失敗だったということですか?の「3.スロガバナーの取り外し方」をご覧下さい。スローガバナーはシャッター速度を操る重要な役目をしています。スローガバナーを取り外すには、チャージした状態にする必要があります。スロガバナーのギアの軸受けへの注油ですが、爪楊枝で、一回スピンドルオイルをギアの軸の見える範囲にいきわたるくらい最低限の量だけ注油し、スロガバナーを何回か動かし、もう一度同じように注油する。このように都合2回の注油で十分だと思います。明るいところでやるとわかりやすいです。

 .バネについて

  flexaret Ⅳのレストア、シャッターユニット完成!のはずが。。。の「3.バネの働きと取り付け」をご覧下さい。シャッターユニットを分解する際に外れやすいネジが二つあります。一つはシャッターユニット裏の4本のネジを外すと外れます。もう一つはシャッター羽の回転輪を外した時に外れやすいものです。

 .シャッター羽回転輪の取り付け

  flexaret Ⅳのレストア、シャッターユニット完成!のはずが。。。の「1.シャッター羽のある面の洗浄」をご覧下さい。回転輪を取り付ける際に、一つだけ他より一回り小さいワッシャーがあるので注意です。

 .シャッター羽の取り付け

  flexaret Ⅳのレストア、シャッターユニット完成!のはずが。。。の「2.シャッター羽の取り付け」をご覧下さい。一円玉を重ねて取り付けていますが、慣れてくれば、そんなものは要らなくなります。

 .絞り羽の取り付け

  flexaret Ⅳのレストア、絞りバネの組み立てと爪の謎の「2.絞り羽の組み立て」をご覧下さい。この記事の「1.爪の謎」はあまり役に立たないと思いますし、かえって失敗のもとになりますので、参考にしないようにしてください。

 .チャージレバー

  flexaret Ⅳのレストア、絞り羽の組み立て爪の謎の「3.現状」に多少書いてあります。私は、チャージの際に引くレバーをチャージレバーと呼んでいます。このレバーがシャッターを切った際に回転することでシャッター羽が開閉する。つまり、シャッターの根本の動作をしています。この箇所を外して軸に注油することで、シャッターの動きがかなりよくなりました。しかし、汚れを落とすだけで、注油は不要だったかもしれません。取り付けに時間がかかること、また止めているネジが弱いことから、汚れを落としただけの状態では実験せず、油を注油してから取り付けた次第です。また、チャージレバーから出ている回転輪の軸をつかむアームと、そのアームを回転輪の軸に押さえつけているバネとの間の摩擦が激しかったので、こちらにも油をつけました。


2.ヘリコイド

  flexaret Ⅳのレストア、ヘリコイドに載せてあります。これは、一つの実験で、もし、ケガキを入れてやったかたも、そうでなかった方も、ここに書いてある方法に収まる結果になったとすれば、きっとflexaretのヘリコイドは同じ規格で出来ているのだろうと。そうなれば面白いだろうと考えての報告です。もちろん、ケガキや記録を忘れた方の参考になれば幸いです。


3.ビューレンズ

  flexaret Ⅳ分解番外編の「2.ビューレンズ」に載せてあります。ただ組み込むだけですが、もし、記録し忘れた方がいらしたら、その方のために。


4.巻き上げカウンター

  flexaret Ⅳのレストア、巻き上げカウンターに載せてあります。flexaret Ⅳはセミオートマットです。このセミオートマットの仕組みを実現している機構。これが、分解してみたところ、不具合を起こしやすい構造になっていました。私は注油で解決しましたが、他にも解決策があるかもしれません。製造された当初の状態を知らないので、これ以上は言えないのが私の現状です。


5.巻き上げノブ

  flexaret Ⅳのレストア、巻き上げノブにあります。特に難しいことはありません。一箇所、取り付け方のわからないバネがあったので、もし、正しい付け方を知っている方がいらしたら、ご一報いただけると幸いです。


6.前板、側板の皮型

 flexaret Ⅳ 皮型にスキャンした画像を載せてあります。使用される際は、<使い方>を読んでから、ご使用ください。




二、問題・症状別

1.開いたシャッターが閉じない

  この症状について、いろいろと原因が考えられます。そのうち、私が経験したものや、怜さんの経験されたものについて書きたいと思います。

 .バネの欠落

  シャッターユニット裏側の4本のネジの内、一本だけ他より長いネジがあり、このネジを抜くと、チャージの際にシャッターが開くことを防止しているバネが外れてしまいます。どうやら、このバネがシャッターを閉じる際にもそれを助けているようです。特に、スローガバナーを広い範囲にわたってチャージレバーが押すことになる速度のシャッターでは、このバネがないために、シャッターが上手く閉まらなくなることがあるようです。このバネについては、コメントにお応えします。の「2.シャッターが閉まらないことについて」をご参照ください。

 .スローガバナーにシャッター羽の回転輪の爪が衝突し引っかかる

  シャッター不動のジャンク品を買った場合、かつ、前の持ち主が分解して手を加えていた場合、内部でゆがんでいる部品がありえます。きっと私が経験した問題もそのために出ていたのでしょう。シャッター羽を動かしている回転輪から出ている爪。シャッターが閉じる際には、これがスローガバナーの下に入り込むのですが、爪がゆがんでいるらしく、途中で引っかかって最後までシャッターが閉じない状態になっていました。これについて私がした対策はflexaret Ⅳのレストア、シャッターユニット完成!のはずが。。。の「6.シャッターが最後まで閉じない問題とその対処(スローガバナー)」に載せてあります。ただし、金属ですので、いじくりすぎると、一気に劣化します。また、私はこの時にはペンチでやりましたが、その後は、マイナスドラーバー二本ではさんで整形するようにしています。いずれにせよ、大きく失敗すると再起不能になりますので、最終手段として。

 .バネと部品との間の摩擦

  前述の「一、1..チャージレバー」で触れた箇所ですが、チャージレバーから出ているシャッター羽を動かす回転輪の軸をつかんでいるアームと、そのアームを回転輪の軸に押さえつけているバネとの間の摩擦がかなり激しい。アームがこのバネの上を滑る構造になっているのですが、これは構造上の欠陥だと考えています。押さえ込みながら金属と金属が擦れ合うのですから、バネの表面が新品同様ならまだしも、経年変化で劣化すれば、摩擦が大きくなるのは至極当然でしょう。シャッターが開いたところで、指で押さえ、少しずつシャッターを閉めていくとわかりますが、バネとアームとの間の摩擦のために、「クシュクシュ」と音を立てながら、「カキカキ」した動きで羽がしまっていきます。私は、バネに注油することで解決しました。この箇所については、flexaret Ⅳのレストア、シャッターユニット完成!のはずが。。。の「3.バネの働きと取り付け」を参照くださるとよいと思います。ちなみに、他のシャッターの様子をネットで見ていると、バネの取り付け方が違う仕組みになっているシャッターをよく見ます。

 .チャージレバーの汚れ

  チャージレバーを引いて、そこについているバネに力を与え、シャッターを切ることで、この力が解放される。それによって、チャージレバーが回転し、その力を基礎として、シャッターが開閉する。つまり、チャージレバーの回転力を如何に効率よく出すかで、シャッターが閉まらない症状を改善することも出来そうです。この点については、前述の「一、1..チャージレバー」をご参照ください。


2.チャージ時にシャッターが開いてしまう

 前述の「二、1..バネの欠落」をご参照ください。


3.シャッターを切ってチャージレバーは動いているのにシャター羽が動かない

 チャージレバーから出ているアームがシャッター羽の回転輪の軸をつかむように、アームをシャッターユニット外側の方向に押さえ込んでいるバネがあります。このバネがアームから外れていると、チャージレバーは動きますが、回転輪をアームがきちんとつかまないことがあり、その場合、シャッター羽が動きません。この点については、flexaret Ⅳのレストア、シャッターユニット完成!のはずが。。。の「3.バネの働きと取り付け」をご参照ください。また、このアームとバネとの間の摩擦の問題については、前述の「二、1..バネと部品との間の摩擦」をご覧下さい。


4.セルフタイマーが正常に作動しない

 .ギアの位置の調整

  これは怜さんのブログ報告でされいたことです(勝手にリンク貼ってしまいました。差し支えありましたら、お手数ですが連絡ください)。シャッターを切る前に、勝手にセルフタイマーが最後まで動いてしまう、セルフタイマーが途中で止まるといった症状に効きます。セルフタイマーの仕組みを見ると、セルフタイマーユニットに分解された形跡のあるものや誤ってギアをバラバラにしてしまった場合は、セルフタイマーユニットの内部のギアの位置(ギアについている突起の方向)を調節する必要がありえます。私の記事では、flexaret Ⅳのレストア、セルフタイマーユニット復活!に載せてあります。

 .回転輪の爪がセルフタイマーが動ききってもぶつかったままになっている

  セルフタイマーの仕組みは、セルフタイマーから出ている部品がシャッター羽の回転輪からでている爪を押さえながら動き、一定まで動くと、この押さえが外れシャッターが切れるといったものです。私のものでは、この押さえがセルフタイマーが動ききってもぶつかったままでした。他に方法があるかもしれませんが、私は、爪を整形して解決しました。これについては、flexaret Ⅳのレストア、セルフタイマーユニット復活!の「4.成功」に載せてあります。また、この爪と周辺の部品との位置関係は怜さんのものを怜さんのブログに掲載していただいた写真の方が理想的です。私のものは、爪を整形する必要があったため、しかし、爪の強度を保つ必要もあったので、正常に動く最低限の位置関係になっています。


5.巻き上げが止まらない

  flexaret Ⅳはセミオートマットです。なので、一枚分巻き上げると、シャッターを切らない限り、それ以上巻き上がらない仕組みになっています。しかし、この仕組みを実現している構造が、どうも、不具合を起こしやすそうです。私は構造上の欠陥だと考えています。一枚分巻き上げても、止まらない。または、二枚目以降からはちゃんと止まるのに、一枚目だけ止まらないといった症状については、flexaret Ⅳのレストア、巻き上げカウンターをご参照ください。


6.本体のレバー式シャッターを下げても、シャッターが切れない

 シャッターユニットの位置が、カニ目の緩み等でシャッター速度を変えているうちに動くと、レバー式のシャッターの動きをシャッターユニットへと伝える部品と、シャッターユニットのレバーとの間の位置関係がずれ、シャッターが切れなくなりえます。詳しくは、flexaret Ⅳのレストア、ヘリコイドの中の一番下の写真と、その写真のすぐ上にある説明をご参照ください。




最後に、組み立てた後の試し撮りの結果はflexaret Ⅳ、試し撮り結果にあります。

以上、私の記事のまとめでした。これらの記事の幾許かが、flexaretⅣを分解して、行き詰ったり、途方に暮れたりしている方にとってお役に立てれば、幸いです。

文末になりますが、早い段階から怜さんとお互いにレストアの経過や解説等をお互いのブログでやりとりしながら、作業を進めることができました。もし、一人で孤独にやっていたら、途中でめげていたかもしれません。見ず知らずの他人だった怜さんとお互いにやりとりしながら作業できたことをとても嬉しく思います。また、怜さんの報告を参考にさせていただいたり、閃きを得たりもしました。重ね重ね、怜さんに感謝申し上げます。そして、怜さんの成功をお祈りいたします。


flexaretⅣ Belar 80mm/f3.5 ASTIA100F


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2 コメント

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Unknown (上州屋)
2008-03-11 12:19:09
初めまして.Prontorシャッターの分解整備についてこの記事を参考にさせていただきました.私のブログに備考録をあげておりますが,その中でリンクさせていただきました.事後になりますがご了承いただきますことをお願いいたします.今後もよろしくお願いいたします.
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ご報告ありがとうございます (uragyoku)
2008-03-11 15:45:00
はじめまして。ペルケオのリペア記事を拝見いたしました。お役に立てるのであれば、幸いです。なので、いくらでも、リンクをして頂いて構いません。

こちらこそ、今度ともよろしくお願い致します。
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