お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

いつでも算数 どこでも算数

2009-07-30 | about 英語の絵本

Math For All Seasons

グレッグ・タン(Greg Tang)は一風変わった数学者です。両親それぞれが電気工学と数学の教授という家庭に育ったグレッグはハ―バード大学で数学を修め、卒業後はニューヨークで大手製薬企業に勤めるエリート社員でしたが、小学1年生の息子のクラスでボランティアで算数を教えた経験からひらめきを得てユニークな数学教授法を練り上げ、"赤ちゃんから大人まで、誰にでも楽しく且つわかりやすく数学を学ばせる"ことをビジネスにしようと脱サラ起業。教科書や絵本の執筆、学習教材の開発・制作・販売を手掛けるほか、学校や教育委員会向けに数学教授法をコンサルテーションし、またさまざまな教育ソフトを開発しています。

世の中には「算数は苦手」と言う人が少なくありませんから、このマーケットは広いですよね。

グレッグの教授法の特徴の一つは、数字からではなく、数の実体を一覧で視覚的に認知させることから入る代数。これを応用すると、ひとつずつ数字を覚えて足し合わせていく、従来のいわゆる伝統的な数の絵本(Counting Book)とは一味違った絵本ができます。その一冊が、今日ご紹介している "Math For All Seasons"(いつでも算数)です。

本書についてのアマゾンの読者評を読むと、褒めている場合も、批判している場合も、すべてのレビューに共通しているのが「従来の退屈なカウンティングブックの発想を超えて数の概念を"集合""分類"などの概念と組み合わせて面白く教えていて、楽しく、わかりやすい」というコメントと、「1度読むだけで十分という気になってしまい、何度も繰り返して読む気にはなれない」というコメントです。

確かに「一読、きわめて楽しく、わかりやすい」というのがグレッグの絵本の最大の特徴です。ちなみに本書は彼自身のサイトではお勧め年齢5-8歳となっていますが、実際にはもっと小さい子でも十分理解でき、楽しめます。そして実は、だからこそ、あまりにも楽しく読めて且つ理解しやすいために、グレッグの絵本は「繰り返して読む必要がない」と感じられてしまうのでしょう。

その意味で本書を始めとするグレッグの絵本は、繰り返し読んで楽しめることを期待する"絵本"としてではなく、多くの人が苦手だと感じている算数を、きわめてわかりやすく教える"教科書"または"副教材"として考えるべきなのかもしれません。お洒落なデザインとウィットにとんだタイトルのこの絵本を教科書と呼ぶのは、いささか惜しい気もしますが・・・。

最近のグレッグは、街角で道行く人をつかまえてはMathのパフォーマンス「Math Math Street Smart」を展開しています。You Tubeでご覧ください。

ところで、"数を数字ではなく実体で視覚的に教える教授法”には先駆者がいます。脳障害児の能力開発法の研究から、一般児童の英才教育法までを編み出したグレン・ドーマン(Glenn Doman)です。彼が創設した"The Institutes for The Achievement of Human Potential"(日本では「人間能力開発研究所」として紹介されています)では、生後3カ月程度の赤ちゃんから数学を学べる方法論を開発していて、教授法の本やビデオとともに、真っ白な28cm四方の紙に鮮やかな真紅のドットが散ったDots Cardとよばれる教材が販売されています。



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