お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

活躍する グランマとグランパ

2009-07-29 | from Silicon Valley


アメリカに"AARP" という団体があります。
正確な名称は 「The American Association of Retired Persons(米国退職者協会)」。加入資格は50歳以上であることだけで、もちろん""退職"していなくても構いません。

名前から地味な年寄りくさいグループを思い浮かべてしまいそうですが、とんでもない間違い!AARPは50年の歴史と3800万人以上の会員を誇る米国最大規模の団体のひとつ。

政治的には中立を保ちながら、しかし、こと高齢者問題に関しては大統領に対しても議会に対しても強力なパワーを発揮する"圧力団体"です。かつて1980年代に、このグループが高齢者医療制度の改革法案に反対した時の行動力には目を見張るものがありました。上下両院を通過し、大統領が署名した(つまりすでに法案として成立していた)法案を、実力行使でひっくり返して廃案に追い込んだのです。反対運動ただ中にシカゴ近郊で議員の乗用車を転覆炎上させたアグレッシブな実力行使はアメリカ政治史に残る大事件。以来、AARPはアメリカの政治家が絶対に無視できない有権者団体のひとつとなりました。

AARPのミッションは「誰もが、年をとっても、なお質の高い生活を維持できるよう力を尽くすこと(AARP is dedicated to enhancing quality of life for all as we age)」です。でも、AARPは「"高齢者"だから、なんでも”やってもらって当たり前”」などとは考えません。むしろ、逆に、「高齢者といえども、いかに社会に積極的にかかわり、貢献できるか」を常に考え、提案し、メンバーがそれを実践できるよう支援を惜しみません。それもそのはず、AARPのモットーは「ひとに尽くしてもらうひとになるのではなく、ひとに尽くせるひとになる」" To Serve, Not To Be Served”なのです。

さて、そんなAARPのホームページの最近のホットトピックは「高齢者がいかにして若い世代を支援できるか?」です。不況が深刻の度合いを増すにつれ、このテーマはますますホットになっています。

具体的には、たとえば「祖父母の立場から、いかに子ども世代の家庭生活や子育て(孫の成長)を支えるか」。AARPのHPには、レイオフされて保育園の費用が払えなくなった家計を助けるために孫の面倒をみることになったメンバーのケースが紹介され、孫の育児・教育への祖父母のかかわり方を考える特集が組まれています。

孫がまだ幼い場合とすでにティーンエイジャーの場合それぞれに、ベビーシッター役の祖父母が祖父母ゆえに果たせる積極的な役割を論じ、孫の世話をしているからと言って「子どもと孫との『親子関係』に余計な口をはさんだり、立ち入り過ぎないように!」と注意を促しつつ、子どもや孫との"適切な距離のとり方"についての実践的なアドバイスを紹介しつつ、経済不況下で苦労している子どもをどう精神的にも生活的にも支えたらよいかの具体的なアドバイスが多数紹介されています。

実用的なところでは、”孫と留守番する夜に観るお勧めビデオ映画”が孫の年齢別にリストされた記事もあり、また、もっと積極的には、忙しい子どもに代わって孫の学校行事やスポーツの試合の写真やビデオを上手に撮れるようになろう!と言う記事もあり、企画から編集までを玄人はだしでこなせるビデオ操作の徹底指導・指南マニュアルもあり、いずれも、子どもや孫に「何をしてもらえるか」を受け身で待つ祖父母ではなく、むしろ彼らのために「何ができるか」を考える/考えられる祖父母になるための記事ばかり。AARPの精神"To Serve, Not To Be Served "を具現する生き方を具体的に教えてくれる実践的なHPです。

話がわかって、サポーティブで、ハイテク機器も使いこなせて、しかもべたつかずに適度なおとなの距離を保ってくれる・・・こんな親がいてくれたらなぁ・・・と思わずため息がでそう。

そう、AARPのHPには「こんな親がほしい!」「こんな祖父母がほしい!」と言われる、期待されるシニアになるための"テクニック"と"情報"が満載。しっかり読んで実践すれば、そのまま素敵なおじいちゃん(グランパ Grandpa)、おばあちゃん(グランマ Grandma)になれそう。

アメリカのお年寄りもなかなかやる!のご紹介でした。


コメント (2)
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