プラチンブリの風 第26章 タイ総選挙(#2) By Harry H.
7月3日に、3年7カ月ぶりに行われたタイの下院総選挙は、タクシン派のタイ貢献党(プエタイ)と現政権である民主党との一騎打ちであったが、結果は、御承知の通り、500議席(比例区:125議席、選挙区:375議席)の中、タイ貢献党が、265議席の過半数を制し、民主党の159議席に対し、圧倒的勝利を収める結果となった。
この結果、タイ貢献党の比例区一位指名で当選したタクシン元首相の妹であるインラック(44歳)が、タイでは最初の女性首相になることになった。彼女は、政治経験はないものの、女性であることも相まって、マスコミ・一般市民からも関心を持って見られており、選挙期間中、精力的に農民層はもとより、民主党のSTRONGHOLDであるバンコクでも、指示を得るに至り、投票前の国民調査でも、51:34と、タイ貢献党が、10ポイント以上の差をもって、民主党をリードしており、選挙結果は、まさにその通りとなった。
インラックは、早速にも、新しい組閣人事に取り掛かり、また、党幹部との会合で、新しい政権での重要課題として①物価対策 ②医療制度見直し ③麻薬撲滅 ④隣国問題 ⑤RECONCILIATION(政治的和解)を決定した。一方、民主党の完敗で、その責任をとって、アピシット首相は、辞任を表明した。が、彼の後継者が見当たらない民主党で、再び、アピシットが再登場する可能性も高いと伝えられている。
7月5日に選挙委員会が、今回の選挙結果を公式に発表した。それによると、
【2011年7月3日:下院総選挙結果】
・有権者数:4692万人(18歳以上で選挙権が与えられる)
・投票者数:3520万人(投票率:75%)
各党獲得議席数:
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Phue Thai(タイ貢献党): 265
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Democrats(民主党): 159
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Phumjaithai: 34
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Chartthaipattana: 19
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Chart Pattana Puea Pandin: 7
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Phalang Chon: 7
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Others: 9
圧倒的勝利を獲得したタイ貢献党による新政権は、問題山積みであり、海外(ドバイ)に逃亡しているタクシンの処遇を巡っても、反タクシンン派との関係があり、慎重な対応が求められる。写真 Bangkok Post から
(2011年7月8日記)