BLOG DE UKE

ブログでウクレレ

Nutscoモニタ報告

2008-08-31 23:33:14 | ウクレレ
Nutscoを借り受けて約8ヶ月が経ち、このウクレレの特徴がかなり理解できてきたので、ここで一度まとめてみます。

私がNutscoを借り受けることになった経緯はこちらを参照



----------

(1)ぱっと見た感じ「マーチン」と勘違いされることの多いルックス。


Nutscoで何度か人前で弾いたのですが、演奏後に声をかけられ「そのウクレレってマーチンですか?」と質問されること多数。


Nutscoの外観。ものすごくマーチンっぽい。



ビジュアル面でのコストパフォーマンスが非常に高い機種です。

・・・って、あんまり本質的じゃない話ですね。で、これ以降が本編です。



----------

(2)軽い。


Nutscoウクレレを初めて持ったときの私の第一声は「軽っ!」でした。

ここでいう「軽い」というのは、「ウクレレ本体そのものが軽いと感じる」ということのほかに、「弦を弾いたときにタッチがすごく軽く感じる」という2つの意味があります。

じゃあ、実際にどのくらい軽いのか。

まずは「そもそも物理的にはどのくらいの重さなのか」についてマジメに測定してみようかなと。

我が家で稼働中のウクレレはNutscoを含めて3本なので、この3本で比較してみようかなと。なお、最初に断っておきますが、この3本は作成時期、価格、製品セグメントがバラバラなので、比較結果が「優劣」につながるわけではなく、あくまでも特徴を分りやすくするため比較です。


今回比較してみた3本(左から「カマカケイキ」、「Nutsco」、「ケイラニ」)



左側の「カマカケイキ」は、昔々カマカが子供向けに作っていた機種で、ボディサイズがとても小さいウクレレです。

で、右側の「ケイラニ」はわりと入手しやすいモデル(ちょっと前までは「ケリィ」というブランド名でしたよね?)で、こちらはスタンダードサイズのウクレレ。ちなみにこのケイラニは我が家の長女のウクレレです。

上記画像をみると「Nutsco」の小ささがわかるかなと。さらにいうとフレットの数がものすごく多いわけですが、これは後述します。

大体の大きさ違いを踏まえて、さっそく重さを計ってみましょう。


ケイラニ(内蔵ピックアップ有り)・・・400g



Nutsco(内蔵ピックアップ有り)・・・335g




Kamaka Keiki(内蔵ピックアップ無し)・・・284g




一番最後のケイキカマカは「ピックアップ無し」なので、一番軽いのは当然の結果ですが、ケイラニとの比較で軽いことはよく分かるかと思います。

以上の数値としての重さを見た感じですと「重量としては少し軽いよね」というレベルなのですが、次に「体感としての軽さ」はどうか。

ウクレレを持った時に「軽い」と感じるポイントは「本体の重量が軽いか否か」のほかに、ウクレレを抱えたときの「ネックを握る左手で感じる重さ」も重要なポイントです。(ウクレレのペグを変えたら、ピッチはあわせやすくなったのだけど、なんだかウクレレが重く感じられるようになった、という体験がありませんか?あれが「左手で感じる重さ」です。)

Nutscoはこの「ネックを握る左手で感じる重さ」がとても軽く感じられます。

私自身はこの理由を定量的に説明できないのですが、ウクレレ本体が物理的に軽い、ということに加えて、右手でウクレレを抱え込んだ時の体とのフィット感が良いために、左手でウクレレのネックを握ったときに、左手で感じる重さが軽く感じる、ということだろうと思っています。

(あるいペグも含めたウクレレのヘッド部分が軽いのか?とも思ったのですが、上記の3本でウクレレの重心を確認したところ、どれも大体ネックとボディの接合部分あたりで、特に差異はありませんでした)

----------

(3)弦高が低い。


これはNutscoの大きな特徴の1つ。前述の「ネックを握る左手で感じる重さ」が軽く感じる、という話とも関連するのですが、Nutscoは我が家にある全てのウクレレと比較しても弦高が一番低いです(我が家にノギスがないので弦高の数値を正確に提示できないのが残念)。

しかも弦はナイルガットという念の入れよう。(ナイルガットが標準仕様かどうかは不明。私の手元にあるNutscoは最初からナイルガットが張られていました)

弦高が低いので、左手の指で弦を押さえる際に軽く押さえるだけでOK。

ソロプレイのフィンガリングがバツグンに軽やかになります。


----------

(4)サスティンはかなり効く。


ソロ曲を弾く時に気になるのはサスティン。特にスローやミディアムテンポで、二分音符や休符が多い「隙間で聞かせるような曲」の場合はサスティンが効いていないとマヌケな曲になってしまいますよね。

これは弦の特性によるところが大きいと思いますが、Nutsco本体+ナイルガットの組み合わせは、サスティンがかなり効きます。


-----

(5)ハーモニクスの音が結構クッキリと出る。


私個人の事情なのですが、最近、弾いている曲ではハーモニクスを必要になるケースが多くなりました。
しかもここで必要なハーモニクスは「12フレット」の倍音だけでなく、「7フレット」と「5フレット」も必要になるような曲。
ふつうのウクレレだと絶対ムリなのです。我が家の他のウクレレ(カマカケイキ、ケイラニの2本)では12フレットの倍音はバッチリOKですが、7フレットの倍音までが精一杯な感じ。

Nutscoだと「7フレット」はバッチリOK、「5フレット」もピックアップでなんとか音を拾えるレベル。

これはウクレレ本体の性能によるのか、弦によるのかはわからないのですが、現状の「ウクレレ本体+弦」の組み合わせならOK。

ちなみにウクレレでハーモニクスが必要になるのは、例えばこんな曲ですね。かっちょええ。




HARD RAIN / 押尾コータロー



-----

(6)なんといっても17フレット!


見てのとおり17フレット。フレット数が多いので、当然の事ながら演奏可能な曲の選択肢が広がります。
先日「情熱大陸」のウクレレスコアを作ったのですが、そのときにソロパートでどうしても17フレットが必要になる箇所がありました。我が家のウクレレで17フレットがあるのはNutscoのみだったので、「情熱大陸」を弾く時は常にNutscoの出番となっております。

え?なんで「情熱大陸」をウクレレで弾こうと思ったのか、ですか?
すでにご存知の方も多いであろう、こちらの動画を観て衝撃を受けたからです。もうスゴイとしか言いようがありません。




「事務員G」さんの「 1人で同時に情熱大陸を演奏してみた」



-----

私のNutscoモニタレポートは以上です。

長々と書きましたが、一番のウリは「弦高が低くて弾きやすい」ということだと思います。

価格的には10万円オーバーですので、初心者の方ですとちょっと躊躇する金額なのですが、この「弾きやすさ=タッチの軽さ」は初心者にとって一番うれしい特徴なのではないでしょうか。

まだまだ深堀りできるポイントはあるのですが(例えば材質とか、ブレイシングとか。でもこういうのは数値的に違いを検証するとなると、マジメに周波数特性を測ってみるとかいう話になるので、ちょっとムリかなと)、このくらいでごカンベンを。

ちなみにNutscoの製造量&流通量ってどのくらいなんでしょうね。ローリングココナッツでもちょくちょく紹介されてますし、バンバンバザールの方々も使ってたりしているので、それなりに知名度はあると思うのですが、どこの楽器店でも売っている、という訳にはいかないはずですよね。

近所の楽器店でNutscoを見かけることがない(大多数の)方々にはNutscoのサイトを見てもらうしかないかなと。

でも、サイトのほうも情報量があまり多くないんですよね。

なんか、いまひとつ商売気がないといいますか・・・

Nutsco、もっと自己アピールしていいんじゃないでしょうか。