江利チエミファンのひとりごと

江利チエミという素晴らしい歌手がいた...ということ。
ただただそれを伝えたい...という趣旨のページです。

66) 焼き直しされた曲/ あの歌...⑭さよならはあなたから ⑮ゆきやまつむぎ

2005年07月05日 | 江利チエミ(初期記事・本編)
テネシーワルツ、カム・オン・ナ・マイ・ハウス、さのさ...この代表曲に至っては数々の「焼き直し」があります。
それは膨大なテイクがあり、そのテイク違いは本家「江利チエミ・ジャズ・ポップスの世界」HPに詳しく掲載されております。なかでも、データベースの部屋...そこでは「何の歌が」どこに収録されているのかが検索できるシステムになっています... 凄い!電脳主婦でぶりさんの本領発揮であります。

ここでは、わたしの視点から、焼き直された隠れた名曲について書き連ねてみようと思います。

♪さよならはあなたからどうぞ...
  別れには足音がないから 傍に来るまで 気がつかないのね

「さよならはあなたから」...しっとりしたいい曲であります。この曲ははじめ昭和45年9月にEP「この道を」のB面に収録されました。
2回目のテイクは51年3月のEP「ひとり泣く夜のワルツ」のこれまた2回目のシングル発売(ひとり泣く...の最初のリリースは42年です。)のB面に収録されました。
これは同時に発売の「長い夜のひとりごと」LPにも収録されました。

長い夜のひとりごと...江利チエミファンのひとりごと...
はい、このblogのタイトルは、このLPからパクったものであります。(笑)
このLPは、先に発売された「ご存知!チエミ節」2枚組LPと同様に、チエミさんが「優しくだまして」「知りすぎたのね」「アカシアの雨が止む時」「ベッドで煙草を吸わないで」などの演歌色の強い歌謡曲のカバーと、「酒場にて」など自身のオリジナル曲を集めて構成された意欲作でありました。

ひとり泣く夜のワルツ...は、前掲のとおり、49年発売の「チエミオリジナルLP」のテイクが好評となって再EPリリースをされたものです。この再発売の時にB面に選ばれ、新たなテイクで収録されたのが「さよならはあなたから」です。
この流れ...を考察するに、おそらくは江利チエミさん自身がこの曲がお気に入りだったのでは...ということになるのではないかと思います。

チエミさんが亡くなってからのCD全集10枚組BOXのオリジナル曲のCDにも、このB面のみの採用曲が編集されています。これは偶然だったのか... それともキングさんがチエミさんの遺志をくんでのことだったのか... 残念ながらこの答えを知るすべは私にはありません。



もう1曲、焼き直しされたオリジナル曲で、これは2度ともA面なのですが、ゆきやまつむぎ...という曲があります。
最初の発売は、42年4月。二度目の発売は47年2月です。
ゆきやまつむぎ...には「謎」があります。
作詞が、松山善三さんなのです。言わずと知れた高峰秀子さんのご夫君で、木下圭介さんの一番弟子です。

♪初恋は 初恋は
  十五の春よ 雪山越えてよ 越えてよ 村をでる。
♪人恋し 人恋し
  ゆきやま見れば 募る思いがよ 思いがよ 肌焦がす
♪幸せは 幸せは
  いつの日来るんだろう こんな女によ 女によ 涙呑む

メロディも民謡風でもあり、いや日本の歌曲といった荘厳な大曲でもあります。
 まずなにより歌謡曲らしくないのです。

ここからは勝手な想像です...
この曲はもしかしたら、松山善三さんが脚本をとるはずだった映画かドラマの主題歌として用意されたものだったのではないのか??
あるいは江利チエミ主演で考えられていた映画かドラマか舞台の歌だったのではないのか??
(発売年と舞台の公開時期がズレるのですが、わたしはこれは舞台「芸者春駒」ならピッタリ挿入歌としてはまる...なんていう気もしているのですが。舞台の再演予定があった...またはドラマ化の予定があった...しかしサザエさんが好評でロングラン...企画が流れた。<---想像はどんどんと膨らんでしまいます。)
それがなにかの理由で流れてしまった...
そこにこの曲だけが残ってしまった。
ボツにするのは惜しい!...しかしレコードセールスには即繋がらない可能性が高い...
でも、オリジナル曲のなかに名曲を残したい... そんな思いでEPとして発売された...と。
この曲も、色々調べてみたのですが、未だ「謎」のまま...です。

二度目のEPは「雪山つむぎ」という表記に変っています。
46年から47年にかけてチエミさんはまさにこの世の地獄を味わいます。前年5月に「旅立つ朝」を発売して久々のEP発売がこの曲となりました。
B面は(カップリング形式ではありましたが)「朝を待つ私」という、ニューポップスで久々のカバー曲。英語・ニッポン語のチャンポンでの吹き込みです。私としては、「旅立つ朝」、そのB面の「明日に生きる女」そして「朝を待つ私」が、当時のニューポップス3部作...で、前を向いて生きていく女・江利チエミ...というのにピッタリないい曲だったと思うのですが...
この再発売に際しても、チエミさんがこの「ゆきやまつむぎ」に相当の思い入れがあったのでは?...という気がしてならないのです。


※最初のテイクの42年4月のゆきやまつむぎ...
このB面にも名曲が埋もれています。
「砂の城」...演歌系でない、また新妻に捧げる歌といった「咲子さん的」健全家族愛路線でもない、日本のポップス歌謡。
ゆったりとしたバラードです。
この路線ですすんでいたら... 島倉千代子さんが同時期「ほんきかしら」「恋しているんだもん」「愛のさざなみ」...といった前までの泣き節を覆して成功したポップス系歌謡曲の線... 江利チエミ流で確立できたんじゃないかな??...などと(勝手に)想像していたりもしています。

※画像は最初の「ゆきやまつむぎ」EPです。






最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
? ? ? (kou)
2005-07-05 20:46:05
さようならはあなたからはチエミさんとても好きな曲だったようですよ。ラジオでいっているのをきいたことがあり、「ひとり、、」のB面に再度なったときやっぱりと思いました。「ゆきやま、、」は当時の映画の主題歌じゃないのですか?主演は分かりませんが、昔の新聞で広告をみたような。佐藤・松山コンビですし。47年発売のときはフジ昼の帯ドラマの主題歌で同名のドラマでした。映画のテレビドラマ化だったんじゃないですか。2曲とも地味な曲ですがわたしも好きなニッポン語の曲です。
返信する
kouさん!ありがとうございます。 (う--でぶ)
2005-07-05 20:59:58
テレビドラマデータベースでも調べたのですが...

47年の時は「ドラマ」だったのですか...

 ありがとうございます。

あながち、私の推理も間違ってなかったみたいで、スッキリしました。
返信する
「ゆきやま」賛歌 (RYOUTA)
2006-02-11 14:12:25
初めて投稿させて戴きます。殆どリアルタイムでチーちゃん(敢えてチーちゃんと記します)の事は覚えていますが、若い熱心なファンにこの様なブログまで作ってもらってチーちゃんは世界一の幸せ者!ありがとうございます。声を壊してからの歌声には正直ファンとして聞き難い時(歌)もあるのですが、そんなチーちゃんにも暖かい応援をしてくれている皆さんに対しいささか恥ずかしい!と反省しきりです。

さて「ゆきやまつむぎ」は私も大好きな歌で、私の

記憶では・・・昭和40年の東京映画(東宝の子会社)製作の「六条ゆきやま紬」脚本監督松山善三

主演高峰秀子のテーマ音楽です。映画は撮影の岡崎氏

共演のフランキー氏共に記憶されて良い仕事でした。

又、音楽も佐藤勝氏で黒澤映画の音楽を担当した方で

すが、これもスケールの大きな素晴らしい音楽でした。これが好評だった為封切り後2年経ってから松山

作詞佐藤作曲として発売された、と記憶しています。

ですから厳密な意味での映画主題歌ではありませんが

映画のテーマに沿った歌詞になって、日劇の「チエミ

大いに歌う」でレコーディングに入ってない歌詞の

「騙されて~騙されて~・・・・」を入れてチーちゃんが歌ったのを見た(聞いた)記憶があります。

この歌はレオンサンフォニエットと演奏が記されて

いますが、実はNHK交響楽団のはずです。

フルメンバーかピックアップメンバーかは知りませんが、とても「深い」音で良いですネ。筒井さんの編曲

もとても良いです。余談ですが私はこの歌を気に入っていて、知人の日舞の方(藤間流)に紹介したらこの曲で踊りたいと現在熱望し、再三、振付を替えながら推敲中です。松山、佐藤のコンビではひばりにも「一本の鉛筆」と言う良い歌があります。ひばりは嫌いですがこれも記憶に残る歌です。



返信する
RYOUTAさん!ようこそ!! (う--でぶ)
2006-02-11 15:10:25
書き込みありがとうございます。

会社からはリストラ勧告寸前の瀬戸際会社員45歳のう--でぶです。大変貴重な証言...ありがとうございます。

新たにトピックを立てましたので、そちらもどうかご一読ください。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。