江利チエミファンのひとりごと

江利チエミという素晴らしい歌手がいた...ということ。
ただただそれを伝えたい...という趣旨のページです。

◆ 笠置さんとの共演

2024年02月21日 | 江利チエミ(続編)

お染久松の話は、近松半二作の人形浄瑠璃として大阪竹本座で初演。
通称「お染の七役」は1813年鶴屋南北作の長編世話物です。女形が七役を早変りで演じることと、悪婆(あくば)という役柄を演じるのが見所のお芝居です。原作と違って、芝居では場所が江戸の柳橋・向島界隈に、神社も妙見(みょうけん)さまに置き換えられています。
大和屋主人にその娘/お染・丁稚/久松・奥女中/竹川・後家/貞昌・悪女/土手のお六・許婚/お光・芸者/小糸、の七役を演じると云う歌舞伎ファンには堪らない「早替わり」が呼び物の芝居であります。

原作野崎村では屋形船で油屋一家総動員の野崎観音へお参り、ところが油屋の小僧久松はことごとく大番頭、小番頭にいじめられる。見かねたお染は、なにくれとなく久松をかばうが、ますます意地悪をされる。久松の故郷野崎村でのお祭り、かけくらべで、階段から落ちた久松が偶然一等になる。こんな事があってから、お染は久松を気に入ってしまう。お染は若旦那なんて、てんで相手にしない。そして毎日お染と久松の「逢引き」がはじまる。色々と邪魔が入りますが、最後はハッピーエンドとなるという長編恋愛物であります。
「♪野崎参りは屋形船で参いろ、何処を向いても菜の花盛り、粋な日傘にや蝶々もとまる、呼んで見ようか土手の人」。東海林太郎「野崎小唄」は昭和10年発売の歌謡曲で、この「お染久松」ゆかりの野崎観音を歌った唄です。
「お染久松」は歌舞伎以外にも歌う喜劇王「エノケンのお染久松」が笠置シヅ子さんとの共演で舞台にかけられ、このとき少女歌手/江利チエミさんが舞台出演を果たしますが(昭和26年/有楽座)、他の舞台で「笠置のブギを歌っている」ということでクレームがつき、(美空ひばりさんと同じ理由で)途中降板となります。

※エノケン・笠置のお染久松 は、原作に近い?野崎参りの設定ではじまります。
>今日は“野崎まいりは屋形船でまいろお染久松せつない恋の……”というところで屋形船で油屋一家総動員の野崎まいり、ところが油屋の小僧久松は、ことごとく大番頭、小番頭にいじめつけられている。見かねたお染は、なにくれとかばうが久松はますます意地悪くされる。久松の故郷野崎村でのお祭。人出はたくさんの中で「もしもしカメよのかけくらべ……」である。偶然にも久松が石段からころげ落ちて一等となり人気を博す。こんなことがあってから久松はお染のお気に入りとなるが、ますます面白くないのは大番頭、小番頭の連中である。特に三河屋の若だんなはお染に感心を持っているので、大番頭の太郎衛門の弱味につけこんで彼を使ってお染を嫁にとひどく熱心になる。お染は若だんななんかてんで相手にしない。そして毎日お染と久松が歌と躍りで楽しく歩いているのがどうも気に食わない。母親のお常も何かと心配でたまらない。太郎衛門もこれにつけこんで久松を除け者にしようとして悪計を演じ彼を追い出してしまう。怒ったのはお染でハンストのお蔵入りとなる。一方久松は妹のお光が実は妹でなくて父の久作が久松とお光を夫婦にしようとしていると知ってお染をますます忘れられなくなってしまう。蔵の中に入っていたお染も久松を恋しくなって逃げ出してしまった。行き先は野崎村の久松の家であった。ところが久松の父の久作はそぐわぬ縁であるといってお光と久松を無理に夫婦にしようとする。お常もかけつけて来た。ところがお光は、久松とお染のせつなるものを知っていさぎよく身を引くところで野崎村を去って行くとお染と久松はめでたしめでたし。

歌舞伎などの芝居では、久松は実は奥女中竹川の実弟。二人の父の主君、千葉家の宝刀午王吉光(ごおうよしみつ)が盗まれ、久松の父親が切腹の憂き目を見ます。久松は姉弟の乳母に引き取られ、今では刀と折り紙を探す為、浅草瓦町の質屋・油屋に奉公しますが、お染と恋仲になってしまいます。お染は久松の子を身ごもってしまいます。お染の義母は亡き父の遺言だからと言って久松をあきらめて、清兵衛に嫁ぐように諭しますが、お染に逢いに忍んできた久松は、久作に土蔵にいれられてしまいます。お染は土蔵の久松に向かって心中する決意を告げます。
※「♪お染久松 ほんとにそうだわね チョイト 蔵の中・・・」 チエミの俗曲の十八番「深川くずし」の歌詞の意味はこれです。
お染を取り戻した久松が心中しょうとすると、土手のおろくが駆けつけて二人の命を救います。お家の重宝、午王吉光の刀と折り紙も戻り、すべてが「めでたしめでたし」となります。

さて、チエミ版「お染久松」ですが、昭和42年11月の新宿コマ/江利チエミ特別公演が初演でした。(芸術祭参加作品)
「雪がこんなに冷たいものとは知らなかった…」これは舞台の中の台詞です。
この台詞のところで決まってチエミさんの目からは涙が溢れてきたのだとか...


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あき)
2024-03-01 08:13:08
私はチエミちゃんが大好きなのですが、周りに語り合える人もおらず、貴殿のブログを見つけ嬉しくて思わずコメントしてしまいました!!あげてくださったブログの記事でたくさんのことを知ることができています。ありがとうございます!

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。