旧刊時空漂泊

さまざまな本・出版物がランダムに現れます。

十誡

2011-07-01 20:33:26 | 日記
トーマス・マン 著
加藤子明 訳
1948年11月20日 発行
世界の日本社

          



          「先づその装釘を遠く盤谷(バンコック)に滞在中の里見宗次畫伯に、
          更に挿繪をわが前衛派の巨匠福澤一郎畫伯に依嘱し、坊間流布の
          一般出版物とは確然異なるものにするに努めた。サトミの名は、往時
          巴里に於いて畫家のフヂタと並び、邦人の最大出色者として喧傳され
          た圖案界における第一人者であって、   ・・・中略・・・
          たゞ、彼が送り届けた原圖案は今の日本に於いては餘りにも豪華過ぎ
          るものであり、到底資材や經費やの上からそのまゝに採用することが
          できず、僅かの部數にそれを用いることにしたゞけで、普及版にはそれを
          應用せる圖案を制作・使用するの他はなかったことは、獨り彼に對しての
          みならずわが読書界に對しても、遺憾この上もない次第である。」
                                           (11頁)

僅かの部数の特装版が出版されたようです。

そして、それはトーマス・マンの手元にも届けられました。



 『トーマス・マン日記 1949-1950』 紀伊國屋書店 53頁

          「パシフィク・パリセイズ、

           四九年二月十四日 月曜日

           『十誡』の日本語版の金糸で綴じたコピー、美しい印刷。」

           

 『トーマス・マン日記 1949-1950』 紀伊國屋書店 101頁

          「パシフィク・パリセイズ、

           四九年四月一日 金曜日

           『掟』の日本語版を国会図書館での展示会のために。」



特装版『十誡』は何部、現存しているのでしょうか。

 

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