50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

ぼんやりとクモは・・・

2015-03-21 20:00:00 | 小説
ぼんやりとクモは彼の目線をたどる。艶めく初の絵姿。それが何とも遠い先妻を忍ばせている。その一方で耳に若い男の声がしきりに届く。クモは頭の中でその回想の部屋をでて閉じ、彼が聞こえる一方のその部屋に急いできていた。逃げてきている。
「お会いしてること、彼女は知らないのです」

(つづく)