50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

それは大阪育ちの女に対するコンプレックスがないとは・・・

2016-07-06 06:31:23 | 小説
それは大阪育ちの女に対するコンプレックスがないとは言えないだろう。けど大阪弁にはキザさが似合うはずもないだろう。『楽しければ』
「寒くないかい」
和子は啓の南側に位置している。御堂筋の太陽にあたたまっている。そう啓は的外れな声をかけたことになったのだ。が彼女はすぐ、
「お日さまがかげったら、心斎橋から御堂筋にいってみませんか。私、御堂筋よりも、今日は道頓堀の方が」
彼女が初めてうつむいている。
「わかって?」
「ああ」
「はしたないかなあ」
「ぼくかてスケートの後にはおなかがすくよ。つまりはそういうことやろうと思うけど」
啓は和子と笑顔をみせ、ビルの端にかかる浮き雲をともにあおぎみた。

(「南幻想曲」つづく)


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