50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

幸男の気がつかなかった心情があった。

2015-10-31 13:19:12 | 小説
幸男の気がつかなかった心情があった。夏子を相手にし、あまりにも近しい間には近親憎悪の素地があった、その素地に知らない間に乗りかかっていたことであった。

(つづく)

自閉的と建設的との矛盾のことと・・・

2015-10-29 21:39:34 | 小説
自閉的と建設的との矛盾のことと幸男は認めていたのだが、守勢に立てば熱っぽい口調になった。無益な夏子との諍いをわけのわからないままで、浮き立たせてしまった。根にある理恵、しかも記憶にある恋人に会い、それはショックな感情の根にあるものを浮き立たせてしまった。

(つづく)

もしか理恵の心理状態がこんなのだったか・・・

2015-10-27 22:20:41 | 小説
もしか理恵の心理状態がこんなのだったかと幸男は思った。夏子のこと、必ず守勢のまま引きさがらない。
「へえ、そんな事情とは知りませんでしたわ。幸男さんはでも言いすぎです。あの会は説明しますが、都市化現象の中で、闘う姿勢で取り組もう、それが代表の見解だったんですわ」

(つづく)

虚言癖の専売を横取りしたようだが、・・・

2015-10-26 19:43:27 | 小説
虚言癖の専売を横取りしたようだが、幸男はテレビの顔に無意識裏に励まされていた。が案外、平然としている自分に驚かれもする。
「妙に同情して」
と言ってうつむき、悲しそうな表情も容易につくれたように思う。
「海は私たちにとっては物心両面の支えですと、彼らは」
とテレビが言っている。

(つづく)